ERP の概要
ERP には、人事、会計、生産管理などさまざまな業務分野のシステムを含みます。企業では、必要なシステムを個別で導入する傾向がありますが、システム間の連携がされていない場合、管理工数が増え、経営に関わる本質的な課題が見えない状態となってしまいます。そこで、各システムを統合するのが ERP です。
近年では、グローバル化の影響による企業のデジタル化の必要性の影響により、多くの企業が ERP を導入しています。また、以前は主に大企業に導入されていた ERP ですが、現在では、SaaS 型の ERP の普及により、より簡単、低コスト、短期間での導入が可能となり、多くの中堅・中小企業でも ERP が導入されています。ITR の調査によると、SaaS 型やクラウド ERP の売り上げが、2021 年で 32.7% も増加していることが明らかになっています。
さらに、ERP の導入は単なるシステム統合にとどまらず、企業のDX戦略を加速させる重要な基盤となります。デジタルトランスフォーメーションを成功させるためには、ERP を活用して業務プロセスのデジタル化とデータの一元管理を実現し、経営の効率化と意思決定の迅速化を図ることが不可欠です。
また、小規模でも中小企業でも競争力強化には デジタル化は必ず必要ですので、クラウド ERP でデータベースを今日からでも一元化し、経営全体を効率化させましょう。
ERP の歴史と進化
ERP 導入の最大のメリットは、企業の情報が統合データベースによって一元管理が実現できることです。これによって、社内のさまざまな部門で管理されている情報をひとつの場所に集約し、正確かつタイムリーに状況を把握し、リアルタイムで正確なデータに基づいた経営戦略や意思決定が可能になります。
エンタープライズリソースプランニングが重要な理由
また、情報の一元管理だけではなく、以下のようなメリットも ERP 導入によって企業にもたらされます。
- 業務効率と生産性の向上:部門ごとのデータ共有が一元管理によって容易になり、コミュニケーションの向上はもちろん、企業全体の効率化が実現します。また、リアルタイムのデータアクセスと分析が可能になるため、多様な業務に対する対応が速やかにでき、全体的な生産性も向上します。特に、ERP と連携したアプリ開発により、現場業務のデジタル化が進み、さらに高い業務効率を目指せます。
- コストの削減:ERP 導入により、データ入力や計算などの手作業を自動化し、AI などを活用してインサイトを提供する機能によって、手作業にかかる人件費を削減できます。
- コンプライアンスの強化:ERP システムは、基本的に各国の法規制や業界標準に準拠した機能を備えているため、コンプライアンスや内部統制の強化も実現します。
- 経営の可視化が実現:ERPなら、企業全体のパフォーマンスを可視化でき、パフォーマンスレポートなどのデータの可視化が実現し、経営者が各部門の状況やパフォーマンスを一目で把握することが可能になります。これによって、より適切な戦略を立てることが実現します。
業種別 ERP 活用事例
組織が ERP ソフトウェアをどのように活用するかは業界によって大きく異なります。それでも、自動車業界から商社・卸業界にいたるまで、あらゆる業界の企業がその競争で生き残るために、正確でリアルタイムな情報と効果的なビジネスプロセスを必要としています。
業界固有の ERP ユースケースの例として、次のようなものがあります。
製造業者
ディスクリート製造、ロット生産、および連続プロセス生産を行っている製造業者には、製品品質目標の達成、資産活用率の管理、時間外勤務コストの管理などのために、ERP が必要不可欠です。また、製造業者は、在庫移動の監視、売上の良い製品とそうでない製品の特定、購買管理の効率化によるエンドツーエンドの在庫管理も実現できます。
小売企業
実店舗が e コマースやほかのデジタル販売チャネルと統合されたことで、小売業界は大きな変革を遂げることになりました。 製品を識別、調整、購買、出荷するためのセルフサービスオプションを提供するには、一貫性のある統合データが必要不可欠です。 ERP は、小売業者がカート放棄率を削減し、Web サイトのコンバージョン率を高め、平均受注額を増やすのを支援します。
サービス企業
会計、税務、エンジニアリング、法務などのプロフェッショナルなサービス企業では、サービス提供へのコミットメントと財務健全性のバランスを取るために、強力なリアルタイムのモバイル ERP テクノロジーが必要になります。プロジェクトの収益性、リソース稼働率、収益認識、成長機会を管理しながら、常にスケジュールを遵守する能力がプロフェッショナルなサービス企業の鍵となります。
公益事業
公益事業会社では、将来のサービス需要を満たすためだけでなく、老朽化した資産の交換のためにも、常に資本資産を確認する必要があります。 ERP がなければ、資産投資の管理は困難で、エラーが発生しやすいプロセスになります。
また、ERP はスペアパーツの予測という公益事業会社が抱えるもう一つの重要課題の解決にも役立ちます。供給停止時に適切な部品がないと、重大なカスタマーサービス問題につながりかねません。反対にスペアパーツの在庫が多すぎると、コスト増を招いたり、期限切れ在庫を抱えたりすることになります。
卸売業者
卸売業者、輸入業者、店舗直送企業、および 3PL/4PL 企業では、物流コストを削減し、在庫回転率を高め、受注から入金までの時間を短縮したいと考えています。 これらの目標を達成するには、統合された在庫管理やロジスティクス機能、カスタマイズされた自動プロセスが必要です。
ERP システムの仕組み
ERP システムは、統合されたモジュールソリューションまたはビジネスアプリケーションで構成され、それらを接続して相互に通信できるようにする共通のデータベースを共有します。通常、各 ERP モジュールは特定の業務領域に焦点を置いていますが、全社的なニーズを満たすために同じデータを使用して連携しながら機能します。
各企業は、財務、ロジスティクス、調達・購買、人事など必要なモジュールソリューションを選択して、必要に応じて追加や拡張を行うことができます。 また、ERP システムは、システムのコア機能の一部もしくはシームレスに統合される拡張アプリケーションによって、各業種に固有の業務要件もサポートします。
これは、ERP ソフトウェアシステムの販売向けユースケースです。そのほかに財務、製造、調達・購買、サプライチェーン分野の ERP モジュールもあります。
最新の ERP システムは、そのままでも幅広いビジネス機能を備えていますが、さらに効果的に活用するには、財務、調達・仕入、サプライチェーン、CRM や HCM ソフトウェア、業種別ソリューション、別の ERP も含め、ほかのアプリケーションやデータソースと接続したり連携したりする必要があります。
この統合により、企業は、さまざまなシステムからの情報を一元的に把握し、ビジネスプロセスの効率を高め、カスタマーエクスペリエンスを改善し、チームやビジネスパートナーとの協業を促進することができます。
ERP システムは柔軟性が高いため、API などのコネクターやカスタマイズされたアダプターを使用して、幅広いほかのソフトウェア製品と容易に統合できます。ERP 統合には、その他の方法として、エンタープライズサービスバス (ESB) や最新の iPaaS (Integration Platform as a Service) などがあります。
現在のビジネスシステムでは対応しきれなくなっていませんか?
成長が続くにつれ、可視性、効率性、コントロールにおけるギャップが目立ってくることがあります。最新の ERP がビジネスの拡大にどのように役立つかをご覧ください。
ERP 導入の種類
ERP システムには、クラウドベース、オンプレミス、2 層構造、ハイブリッドの 4 つの一般的な導入形式があります。それぞれの形式に長所と短所があり、企業はどの ERP 導入オプションが自社のニーズに最も適しているかを特定しなければなりません。
クラウド ERP
クラウド ERP では、ソフトウェアはリモートのサードパーティーサーバー上にインストールされます。サブスクリプションサービス (SaaS) としてインターネット経由でアクセスし、ソフトウェアプロバイダーが企業に代わってメンテナンス、アップデート、セキュリティ対応を行います。現在、クラウド ERP は最も人気のある ERP の導入方法であり、初期コストの低さ、拡張性の高さ、迅速なイノベーション、統合の容易さというメリットがあります。
オンプレミス ERP
オンプレミスは、ERP ソフトウェアを導入するための従来型モデルであり、最高レベルの制御を可能にします。 通常、ソフトウェアは、会社のデータセンター内にインストールされます。 完全に制御できる点は確かに長所ですが、インストールや継続的なメンテナンスを自社で行うことが必要になります。
2 層構造の ERP
合併、拡張、買収など、業務に大きな変化が起きている企業は、多くの場合、2 層構造モデルを選択します。例えば、ティア 1 ERP が親組織の本社にあるオンプレミスサーバーで、ティア 2 ERP がローカル機能または専門機能を処理するクラウドベースの子会社システムになるような場合です。2 層構造戦略では、企業はクラウドへの移行をコントロールしながら開始し、業務を中断することなく特定の機能またはビジネスユニットの移行を進めることができます。
ハイブリッド ERP
ハイブリッドモデルは、オンプレミスとクラウドベースの導入を組み合わせた 2 層構造の ERP システムの一種であり、企業は各アプリケーションに最適な導入を柔軟に選択することができます。ハイブリッドクラウド ERP は、業界の規制やセキュリティ要件を満たすためにオンプレミスで実行する必要があるアプリケーションを考慮しながら、クラウドのみの 2 層構造モデルへの足がかりとすることができます。
ERP がもたらす 6 つの主なメリット
前述のとおり、ERP システムを導入するメリットは導入モデルによって異なります。とは言え、最新の ERP ソリューションであればどんな ERP であっても、以下の 6 つのメリットは共通です。
- 生産性の向上:コアビジネスプロセスの効率化と自動化により、組織全体で従業員がより少ないリソースでより多くの仕事を行えるように支援します。
- インサイトの提供:データサイロを解消し、唯一の正確な情報源を確立し、ミッションクリティカルな疑問に対して迅速に回答を得られます。
- 迅速なレポーティング:財務やその他業務に関わるレポートを迅速に作成でき、結果を容易に共有できます。インサイトに基づいた行動が可能となり、パフォーマンスがリアルタイムに向上します。
- リスクの軽減:業務の可視性と統制を強化し、規制要件への準拠を徹底し、リスクを予測して回避できます。
- シンプルな IT:データベースを共有する統合型 ERP アプリケーションを使用することで、社内の IT がシンプルになり、あらゆる業務で複雑さが軽減されます。
- 俊敏性の向上:効率的な運用とリアルタイムデータへの即時アクセスにより、新たな機会を見つけ、適切に対応します。
ERP システムの導入に適したタイミングは、どのように知ることができますか?
多くの組織、特に小規模な組織では、QuickBooks や Excel といったシンプルなスタンドアロンツールを使用してビジネスプロセスの管理を始めることがよくあります。 ERP システムの導入は、不要な複雑化を招いてしまうと考えるのかもしれません。 しかし、事業規模に関わらず、ビジネスが成熟して拡大していくと、これらの管理ツールは効率が悪く、使い続けることが難しくなり、それによって拡張性と最適化が妨げられるようになります。
このような管理ツールでは徐々に対応しきれなくなり、最新の ERP システムの導入を検討する時期がやってきます。ここでは、そのタイミングが来ていることを示す一般的な兆候をいくつかご紹介します。
日常業務に費やす時間が長すぎる
決算処理などの日常業務の管理にかける時間が長くなってきていると感じる場合、ばらばらのアプリケーションの数が多すぎることが一因となっている可能性があります。ERP ソフトウェアでは、ソリューションとデータが共通インターフェースを備えた単一システムに統合されます。これにより、部門間のコミュニケーションが容易になり、業務を効率的に遂行できるようになります。
クリティカルなビジネスデータへのアクセスが困難
製品ラインごとの収益や返品数など、現在の業務に関わる重要な質問に即答できますか?それが難しい場合は、分断されたシステムのせいで、重要な指標や KPI への即時アクセスが妨げられている可能性があります。
ニーズを満たしていないビジネスプロセスがある
現在のプロセスでは手に負えなくなっている領域はありませんか? 在庫を管理したり、顧客を満足させたり、コストを抑えたりするのが難しくなっていませんか? そうしたビジネスプロセスは再構築して、成長または変化する優先課題に対応できるようにする必要があります。新しい ERP ソフトウェアを統合すれば、それが可能です。
標準化されたプロセスが欠如し、データセットの重複がある
各部門がそれぞれ独自のアプリケーションやプロセスを使用して業務を行っている場合、重複したデータ入力のために多くの時間を無駄にしている可能性があります。システム間で情報をやり取りできないと、レポート作成に時間がかかり、ミスが頻繁に発生し、意思決定が妨げられてしまいます。
多くの機会損失がある
事業部門が事業の維持にすべての時間を費やしている場合、潜在的な機会やイノベーションを追求する余裕はありません。多くの ERP システムには、機械学習や予測分析など、インテリジェントな機能が含まれています。これらの機能を活用すれば、収益性の高い新しい領域を特定して、そこに集中的に資本を投下することができます。
ERP システムに求めるべき 10 のこと
最新の ERP システムは、多くの場合、業種やモジュールによって機能が異なっていますが、ERP の専門性に関係なく、すべてのエンタープライズリソース管理システムに必要な 10 のコア機能をご紹介します。
- 共通のデータベース:一元化された情報と唯一の正確な情報源により、一貫性のある共有データと職務横断的な視点を提供
- 組み込み型アナリティクス:組み込み型のアナリティクス、セルフサービス BI、レポーティング、コンプライアンス用ツールにより、ビジネス全体にインテリジェントなインサイトを提供
- データのビジュアル化:ダッシュボード、KPI、ポイント&クリック分析により、重要な情報を視覚化して、情報に基づく迅速な意思決定をサポート
- 自動化:AI と機械学習を利用して、タスクとワークフローを自動化する機能
- 一貫性のある UI/UX:モジュール全体で標準化されたルック&フィールに加え、プロセスおよびユーザー(顧客やサプライヤーを含む)ごとの設定やパーソナライゼーションを行う、使いやすいツールを提供
- 統合:ビジネスプロセスとワークフローの円滑な統合、およびサードパーティーソフトウェアソリューションやデータソースとのオープンな統合
- 新しいテクノロジー:生成 AI と機械学習、デジタルアシスタント、モノのインターネット (IoT)、セキュリティとプライバシー、モバイルテクノロジーのサポート
- テクノロジープラットフォーム:ローコード/ノーコードプラットフォーム、iPaaS、データ管理など、長期投資に適した迅速かつ安定したテクノロジースタック
- 多国籍サポート:言語、通貨、各地域のビジネス慣行や規制に対するグローバルサポートに加え、クラウドサービス、トレーニング、実装のためのテクニカルサポート
- 導入オプション:クラウドベース、オンプレミス、2 層構造、ハイブリッドの導入オプションを提供
さまざまな ERP ソフトウェア
中小企業向け ERP
ERP ソフトウェアは、中小企業がスプレッドシートから脱却し、販売、顧客関係、経理・財務、オペレーションなど、成長のあらゆる側面を効率的に管理できるように支援します。 中小企業向け ERP ツールはクラウド対応のものが多く、インストールが簡単です。また、ビジネスの成長に合わせて拡張できるように設計されています。
中堅企業向け ERP
中堅企業および子会社向けに設計された ERP ソフトウェアでは、標準装備のアナリティクス、短期導入支援サービス、さまざまなビジネスプロセスに対するベストプラクティスを活用できます。限られたリソースでも成長企業に拡張性と競争力をもたらすのが中堅企業向け ERP ツールです。複雑なプロセスを扱ったり、急速な成長を計画したりする中堅企業には、モジュール型のクラウドベースのエンタープライズ ERP システムも適しています。
大企業向け ERP
グローバルに展開する、または多くの子会社を持つ大企業には、AI、機械学習、アナリティクスが組み込まれた、市場をリードする堅牢な ERP システムと、ビジネスモデルやプロセスを変革するためのインテリジェントな自動化が必要です。企業は、ニーズに応じて、クラウド、オンプレミス、2 層構造またはハイブリッドで ERP システムを使用することができます。
注目すべき ERP のトレンド
さらに堅牢で俊敏なソリューションが求められており、ERP イノベーションは終わることがありません。注目すべき 4 つのトレンドは次のとおりです。
生成 AI
生成 AI 機能を ERP ソフトウェアに組み込むことで、手動タスクを自動化しながら、企業固有のニーズに合わせてコアプロセスを適応、調整、最適化できるようになります。
生成 AI は、タスクの自動化やインサイトの提供に加えて、自然言語コマンドやクエリを使用して ERP システムと簡単に対話できるようにすることで、非 IT ユーザーをサポートします。どんなユーザーでも質問することが可能で、利用可能なあらゆる文書やデータに基づく回答を即座に得ることができます。
垂直統合
クラス最高のソリューションと統合 ERP の主導権争いは完全に終わりました。新しいオファリングでは、両方の長所、つまり、垂直方向の拡張機能が備わった完全統合型 ERP システムが提供されます。これにより、企業は統合に関わる問題や、データサイロ化に悩まされることなく、必要な特定の機能を利用できるようになります。
クラウドを求める声
場所を問わないアクセスのしやすさ、ハードウェアとテクニカルサポートにかかるコストの削減、セキュリティ強化、ほかのシステムとの統合など、クラウド ERP のメリットに気づく企業が増えるにつれ、その人気はますます高まっています。ビジネスのスピードが増す中、クラウドマインドセットの取り込みがさらに重要になっています。
ユーザーのパーソナライゼーション
スタッフ、顧客、サプライヤーはみな、自身のニーズや関心と一致した、生産性を高めるコンテンツと機能を求めています。特に製造業などの業界では、労働人口統計の変化もまた、ローコード/ノーコードプラットフォームへの関心を高める要因となっています。
これらのプラットフォームは、ユーザーにソフトウェアへの適応を強いるのではなく、簡単にカスタマイズできる環境を提供します。ユーザーはまた、デバイスを問わず、カスタムダッシュボード、AI 駆動型検索、パーソナライズされたチャットやワークフローを利用することもできます。
ERP に関する FAQ
ERP にできることを再考する
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