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Eurobank 社:信頼性の高い正確な勤怠管理システムにより、新たな労働法に迅速に対応

SAP のお客様 Eurobank のロゴ

法令遵守のために厳格な期限に対応

透明性が高く予測可能な労働環境を準備するための労働法がギリシャで制定されたとき、Eurobank 社では何をなすべきかわかっていました。すでに SAP SuccessFactors HCM を導入していた同社では、SAP SuccessFactors Time Tracking ソリューションと SAP Business Technology Platform を利用して、従業員エクスペリエンスを重視しながら迅速に法令に対応しました。

業種地域企業規模
銀行・金融ギリシャ、アテネ 従業員数:6,500 人
99%

法令に則って出退勤時刻を記録した割合

44%

退勤時刻の記録漏れの減少率

25%

精度の向上・データアップロードエラーの削減率

SAP SuccessFactors Time Tracking と SAP Business Technology Platform によって、従業員とマネージャーの双方が透明性の高いスケジュール管理を効率的に行うための近代的プラットフォームを構築しています。
マリア・タチャタキ (Maria Tachataki) 氏
Eurobank 社、人材テクノロジーおよび社内コミュニケーション責任者

コンプライアンスを確保しながら従業員を保護

ギリシャ最大級の雇用主である Eurobank 社は、企業責任を果たしながら、従業員を中心に据えて事業運営を進めるというポリシーを掲げています。同社は、ギリシャ国内に 500 カ所のオフィス、ヨーロッパに 120 カ所の拠点を構え、幅広く業務を展開しています。重点を置くのは、シームレスな従業員エクスペリエンスと従業員のウェルビーイングを確保することです。

 

すべての人事プロセスを通じてこのシームレスなエクスペリエンスを維持すると同時に、仕事と私生活の健全なバランスを推進することの意義が、ギリシャ政府による新しい労働法の制定を受けて重要視されるようになりました。この法律は、労働検査機関の情報プラットフォーム ERGANI II 内の手順を簡素化し、透明性が高く予測可能な労働環境を促進することを目的とし、従業員の勤務スケジュール、シフト計画、時間外勤務を綿密にモニタリングするように、特定セクターの組織に義務付けています。従業員は毎日の出退勤記録を求められており、雇用主はこの従業員データを ERGANI II プラットフォームにリアルタイムで送信する必要がありました。

 

そして、新たな規制要件に直面した Eurobank 社は、既存の人事プロセスを中断することなくシームレスなコンプライアンスを確保しなければなりませんでした。課題に挙がったのは、現行システムとスムーズに統合できる、信頼性が高く正確な勤怠管理ソリューションを見つけることです。Eurobank 社は解決策として、法的要件を満たすだけでなく、効率化と従業員サポートのための同社フレームワークに沿った高度な勤怠管理テクノロジーを採用することにしました。

 

5,000 人のギリシャ人従業員が出退勤を毎日記録できるようにするのは簡単な作業ではありませんでしたが、期限は絶対であり、導入を遅らせるという選択肢はありませんでした。プロジェクトの厳格なスケジュールを遵守し、効果的なリスク管理戦略を適用することで、コンプライアンス違反によって生じる従業員 1 人あたり約 1 万ユーロの罰金を回避する必要があったのです。

 

新しいソリューションは、コンプライアンスをサポートするだけでなく、人事管理者の作業負荷を軽減し、効率を向上させるものでなくてはなりません。同社で人材テクノロジーおよび社内コミュニケーション責任者を務めるマリア・タハタキ氏は次のように述べています。「シンプルであることが必要でした。新しいソリューションに基づいたレポート作成と分析を行って意思決定を改善するとともに、厳格な法的要件への対応とスムーズで柔軟な業務エクスペリエンスを両立させたいと考えていました。そして、私たちは手際よく、迅速に行う必要があったのです」

SAP SuccessFactors Time Tracking によって、従業員は、リアルタイムでインタラクティブな信頼性の高いエクスペリエンスを享受できます。デジタルタイムレコーダーを利用できるのも魅力的です。
マリア・タチャタキ (Maria Tachataki) 氏
Eurobank 社、人材テクノロジーおよび社内コミュニケーション責任者

データの正確性、統合、従業員エクスペリエンスを優先する

Eurobank 社は、この課題に対して有利なスタートを切っていました。2018 年以来、SAP SuccessFactors HCM を使用して魅力的な従業員エクスペリエンスを提供していたのです。SAP Business Technology Platform (SAP BTP) も導入しており、イノベーションに対応し、進化するビジネスニーズに適応することが可能でした。

 

このため、SAP SuccessFactors Time Tracking ソリューションを選択することは自明の理でした。このソリューションは、統一された人事エコシステム内の多様なソフトウェアとの円滑な統合により、データの一貫性を促進し、データサイロを解消し、各種人事機能間の効率的な情報交換を支援します。また、複数のデバイスに対応した直感的でパーソナライズされたユーザーエクスペリエンスにより、アダプションとコンプライアンスが促進されます。

 

カギとなったのは、SAP SuccessFactors Employee Central ソリューションと SAP SuccessFactors Time Tracking の円滑な統合でした。前者にはロール、在籍区分ステータス、所属情報などのコア従業員データが含まれますが、後者では休務、勤務スケジュール、時間外勤務、および勤務時間実績といった詳細な情報が処理されます。両ソリューションを連携すると、勤務時間の関連データを正確かつ最新に保ち、容易に管理することができます。

 

例えば Eurobank 社では、SAP SuccessFactors Employee Central 内で休務管理機能がすでに有効化されていました。つまり、既存の従業員スケジュールや時間プロファイルなどの勤怠関連データを、SAP SuccessFactors Time Tracking とネイティブに接続することができる状態でした。同様に、タイムシート機能によって、所定労働時間、休暇、時間外勤務など、従業員の勤務時間と休務のさまざまな側面が統合されました。マネージャーはこの一元化された情報を活用して、従業員の勤務時間を確認し、それに合わせて、要員配置や作業割当、計画をどう調整すればよいかを、包括的に把握できるようになりました。

 

一方、SAP BTP と、SAP Integration Suite、SAP HANA Cloud、SAP BTP 向け Cloud Foundry ランタイムなどのオファリングにより、Eurobank 社は自社のニーズに合わせて SAP SuccessFactors Time Tracking を柔軟に拡張できるようになりました。同社は、ギリシャの法律の要件に正確に従ってデータを収集するために、インターフェースをカスタマイズしました。同社の担当チームは、労働検査機関のプラットフォームとの 24 時間 365 日のデータ交換を容易にするため、合計で 28 のインターフェースを開発しました。

 

設計フェーズを含む集中プロジェクトと、労働省とのほぼ毎日のやり取りを経て、Eurobank 社は 6 カ月で SAP SuccessFactors Time Tracking の本稼動を開始しました。

 

プロジェクトの成功に不可欠だったのは、しっかりとしたステークホルダーエンゲージメント戦略とコミュニケーション戦略で構成される変更管理プログラムです。さらにアダプションを促すために、懸念事項を話し合うワークショップやフォーカスグループに加え、管理された環境で従業員が新しいシステムを体験し、フィードバックを提供できるパイロットプログラムも用意されました。

 

タハタキ氏は次のように述べています。「本稼動前に多くのトレーニングを用意し、サポートを提供しました。従業員がしっかりとこの新しい環境に慣れるように、社内全体で変更管理を行いました」

リアルタイムのインサイトと直感的なアプリケーションで透明性を確保

現在、Eurobank 社の従業員 5,000 人は、出勤するときはいつも、SAP SuccessFactors Time Tracking によるパーソナライズされたアプリケーションに出勤時刻を記録しています。このソリューションを利用して労働時間を測定し、従業員が所定労働時間を厳守していることを確認すれば、労働法の遵守に役立つとともに、従業員への給与支払を正確かつ期日どおりに行うことができます。

 

従業員は、出退勤のどちらを記録する場合でも、明確でシンプルなインターフェースで簡単に操作でき、フレックスタイム、承認済みの時間外勤務、予定休暇時間などのスケジュールを確認できます。

 

この強化されたインターフェース、リアルタイム通知、高度なレポート機能により、導入から 2 カ月でコンプライアンスが約 75% 改善され、最終的には 99% に達しました。どの組織でも完全なコンプライアンスを日常的に確保することは困難ですが、SAP SuccessFactors Time Tracking を利用する Eurobank 社は、データの正確性と透明性を高めて、この目標に近づくことができます。

 

退勤の記録漏れを追跡し、その頻度を削減できたことは、最も重要な改善の 1 つです。退勤の記録漏れに関する速やかな通知によって、従業員は即座に対応でき、詳細なレポートによって、マネージャーはコンプライアンスに影響を及ぼす前に迅速に問題に対処できます。

 

Eurobank 社では、事前承認済みの時間外勤務を適切にモニタリングして、作業負荷が増加した場合の人件費を効率的に管理することができます。マネージャーは、このような時間外勤務パターンを把握して、要員配置やリソース割当について情報に基づいた決定を行うことが可能です。同社では、作業負荷のピークを特定して要員配置を事前に調整できるため、従業員の労力をニーズに合わせて調整し、繁忙期に適切なサポートを提供しています。

 

また同社は、信頼できる指標で従業員の休務の傾向をモニタリングし、効果的に要員充足率を管理しています。予定外の欠勤によってチームパフォーマンスにギャップが生じる可能性に対処できれば、高い生産性を維持し、業務の中断を最小限に抑えることができます。

 

IT 面においては、労働検査機関のプラットフォームとの強固な接続により毎月 13 万 1,000 回の API コールが処理され、データアップロードの大幅な合理化と、エラー、障害、リスクの軽減が実現しました。

統合されたランドスケープ内で成長を続ける

Eurobank 社は、SAP ソリューションを追加すれば、従業員の働き方をさらに向上させることができると考えています。

 

そこで、革新的なソリューションを統合し、高度なテクノロジーを活用することで、従業員が成長できる環境の創造を目指しています。

 

Eurobank 社の戦略的ビジョンには、SAP SuccessFactors ソリューションへのタレントインテリジェンスハブと成長プロファイル機能の導入が含まれます。これにより、AI とピープルアナリティクスを活用し、人材の獲得、開発、維持を最適化するデータ主導型の意思決定を促進することができます。また、包括的なスキル分類法に重点を置くことで、組織は従業員の能力と適切な役割を効果的にマッチングし、動的で即応性の高い社内体制を確立できます。このアプローチは、同社の業務効率を向上させるだけでなく、スキルベースの組織になるというさらに大きな目標もサポートします。

 

また同社では、SAP BTP の堅牢なインフラストラクチャーを利用して、革新的なカスタムアプリケーションを構築する予定です。これにより、業務の合理化とデジタル化を推進し、従業員の満足度を向上させることができます。同社の目標は、SAP BTP 上に構築される軽量かつ従業員中心のアプリケーションで、生産性とエンゲージメントを向上させることです。この実現に向けて、セルフサービスツール、フィードバック、パーソナライズされた学習レコメンデーションなど、重要な人事オファリングにリアルタイムでアクセスできるようにします。

 

また、課題として、Joule コパイロットで人事プロセスの合理化と自動化を行って時間を節約し、効率を向上させる方法についても検討しています。

 

同社では、これらすべてに対応することで、さらに統合の進んだ即応性の高い人事エコシステムを構築する計画です。定型業務を自動化し、従業員の行動とパフォーマンスを適切に把握できるようにすることで、Eurobank 社は、顧客と従業員双方の「繁栄に満ちた世界」を思い描き続けることができるのです。

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