
Grundfos 社:スキルの循環を促して、働き、学び、成長できる世界クラスの職場を築く
人と職務ではなく、スキルと業務をつなぐ
ポンプや水処理に関するソリューションを提供する世界トップレベルの企業、Grundfos 社は、従業員の能力やスキルに関する情報が極めて重要であり、人事部門のあらゆる活動に影響を与えることを理解しています。同社は、SAP SuccessFactors ソリューションのタレントインテリジェンスハブ機能を活用し、人材とビジネスニーズを新たな方法で結びつけようとスキル情報の一元化を進めています。
| 業種 | 地域 | 企業規模 |
| 産業用機械製造 | デンマーク、ビェリングブロ | 従業員 20,000 人 |
HR テクノロジー/データ基盤担当責任者、Grundfos 社
唯一の正確な情報源でスキル管理をシンプルに
1945 年、ある顧客の農場に水を引くのに満足のいく品質のポンプが見つからなかったポール・デュー・イェンセン (Poul Due Jensen) 氏は、自宅の地下室で独自のモデルを開発しました。それから約 80 年後、彼が創業した Grundfos 社は、世界中の水道事業、産業、建物に向けて、インテリジェントな省エネポンプと水処理のソリューションを提供しています。
革新に深く根ざした企業らしく、Grundfos 社は常に製品の品質と人材育成の両方に焦点を合わせ続けてきました。1970 年代には、生産労働者が夜間学校で言語や工学などのスキルを学べる機会を提供していました。今日でも、同社には「人を重視する」という価値観が根付いています。満足度の高い顧客と従業員がこの会社の基盤であり、最近では従業員のモチベーションと満足度において、過去最高スコアを記録しています。
Grundfos 社はこのような成果を上げながらも、自社の高い目標に完全に沿った人材を育成することに課題を抱えていました。例えば、若手社員の中には、成長機会が少ないことを理由に、1、2 年で退職する者もいました。反対に、長く勤めている従業員は同じ役職に留まり、変化への抵抗感を強めていました。重要なスキルを持つ人材を外部から採用するのは、競争の激しい市場では困難であり、社内で見つけるのも難しい状況でした。また、コンピテンシー、行動、知識、能力、経験、資格に関するデータの管理は、さまざまなプラットフォームにわたる複雑な作業でした。
人材開発や後継者計画から、コンプライアンスや要員計画に至るまで、あらゆる人事プロセスの中核を成すのはスキルだということを認識し、同社は新たなアプローチの導入に乗り出しました。従来のように人を職務に当てはめるのではなく、スキルを業務に結びつける必要がありました。これを実現するには、個人、チーム、組織の各観点から、誰にどのようなスキルがどのレベルで備わっているのか、また将来的にどのようなスキルが求められるのかを明確に把握しておかなくてはなりませんでした。
Grundfos 社の HR テクノロジー部門でビジネスアーキテクトを務めるセーレン・ニールセン (Søren Nielsen) 氏は次のように述べています。「スキルが何であるか、どのようなスキルが必要か、そして、それらをどのように結びつけることができるのか、こうしたことを一元的に把握できない限り、従業員を一貫してサポートすることなど不可能です。スキルは、当社にとって何よりもまず優先すべき基盤です。当社の目標は、唯一の正確な情報源、つまり複数のプラットフォームにわたって異なる要員グループを支援する単一の分類法を構築することです」
同社の HR テクノロジー/データ基盤担当責任者であるマッズ・キドモース (Mads Kidmose) 氏は、次のように付け加えます。「今ある仕事の多くは、10 年前には存在すらしていませんでした。では、将来の労働力にはどのようなものが求められるのでしょうか?デジタル人事ソリューションを活用すれば、この疑問への答えが得られ、スキル重視の組織になる方法に関し、データに基づいた意思決定ができ、ビジネス目標を達成できるようになることが分かっていました」
ビジネスアーキテクト、HR テクノロジー、Grundfos 社
従業員の成長機会を特定し、実現する
Grundfos 社で採用する人事ソリューションは、「従業員エクスペリエンスの向上」、「効率性の向上」、「コンプライアンスの支援」の 3 つの基準を満たしていなければなりません。そのため、同社では、SAP SuccessFactors Learning、SAP SuccessFactors Performance & Goals、SAP SuccessFactors Succession & Development ソリューションなど、SAP SuccessFactors ソリューションの包括的なスイートをすでに導入していました。
SAP SuccessFactors ソリューションのタレントインテリジェンスハブ機能が、スキル重視の企業を目指す同社の希望に合致していることが分かり、同社は SAP Early Adopter Care プログラムを通じて、このハブ機能を検討することにしました。このタレントインテリジェンスハブは、SAP SuccessFactors ソリューション内で使用できる一元化されたフレームワークであり、従業員の現在のスキル、不足しているスキル、この不足を埋めるための方策などの把握に役立ちます。機械学習と AI を活用したタレントインテリジェンスに基づき、学習やキャリアデベロップメントに関してパーソナライズされたアドバイスを提供し、従業員が自分の希望に沿ったキャリアを追求しながらスキルを強化できるよう支援します。これによって、従業員に独自の人材エクスペリエンスを提供すると同時に、大規模なアップスキリングやリスキリングを短期間で実施できます。
Grundfos 社は、タレントインテリジェンスハブがスキルベースの人材管理手法に対応しており、優秀な人材の特定、育成、維持に役立つことに気づきました。職種や学位から、従業員のスキルを包括的に理解することへ焦点を移すことで、同社はさまざまなレベルの人材をより正確かつ効率的に評価できるようになりました。
また、従業員に成長ポートフォリオを提供することで、AI を活用したアドバイスなどによって、従業員が社内外の公式・非公式な学習機会に自分のスキルや能力をマッピングできるように支援することもできます。
さらに、同社はユーザーエクスペリエンスと生産性の両方を向上させる AI 支援を備えた機能、Joule コパイロットにも大きな可能性を見出しています。
スキル重視の組織へと着実に移行
Grundfos 社は現在、タレントインテリジェンスハブのテストを行い、データモデルの改良、スキル分類法の定義、試験導入とトレーニングセッションを進めています。このプロジェクトはまだ初期段階ですが、非常に良好な結果が出ています。
この新しいアプローチによって、スキルに対する考え方がすでに変わりつつあります。キドモース氏は次のように述べています。「今後、スキルに関わる業務は、年次パフォーマンスレビューのサイクルに基づいて特定のタイミングで行うものではなく、日常業務に組み込まれるようになるでしょう」
Grundfos 社がこの分野に投資して得られた初期の成果のひとつは、タレントインテリジェンスハブによって、人材を管理するリーダーがチームメンバーの必須スキルの全体像を把握し、迅速にスキル評価を行えるようになったことです。これにより、リーダーはこうした情報をデジタル化し、プライバシーの懸念なく一元的に保存できるようになったため、スキルに関する情報を個別に管理しなければならないという課題が軽減されています。
ニールセン氏は次のように述べています。「私たちはタレントインテリジェンスハブを導入するかなり前から、スキルと能力の課題に取り組んできました。しかし、AI の導入とサポートによって、スキル不足を解決する新たな機会がすでにもたらされています。従業員の教育と成長という観点では、タレントインテリジェンスハブが適切なタイミングで適切なトレーニングを勧めて、従業員が適切なスキルを身に付けられるようサポートしてくれます。分類法、スキル、能力、行動が職務に結びつけられていた頃は、その管理は非常に面倒な作業でした。それが今では、スキルだけに絞り込むことができています。また、トップダウンとボトムアップのアプローチによって、職務と個人の両方をサポートするフレームワークを設定できるようになりました」
ニールセン氏によると、スキル基盤が完全に整えば、このタレントインテリジェンスハブは、学習、メンタリング、コーチングに関する提案を各従業員に行い、人材獲得競争で社内の流動性をアピールすることがでるといいます。「これにより、各自のスキルセットに基づいて、これまで自分には適していないと思っていた機会やポジションを有望なキャリアステップとして検討するきっかけを従業員に与えられるでしょう」
また、タレントインテリジェンスハブは、プロジェクトベースの業務を支援して、会社全体の柔軟性を向上させます。このことをニールセン氏はこう説明しています。「私たちは、必ずしも正式な部門を必要としないプロジェクトチームで、より機敏に、より多くの仕事を進めようとしています。そして、この目標を支えているのがタレントインテリジェンスハブです。この機能のおかげで、私たちは従業員をプロジェクトに短期間だけ関わらせたり、さまざまな事業部門を支援するフィールド製品チームに割り当てたりできるのですから」
インテリジェントテクノロジーで新たなスキル基盤の構築へ
Grundfos 社では、データモデルの完成とタレントインテリジェンスハブの完全導入に向けた作業が続けられています。例えば、ダッシュボードの構築方法やストーリーレポートの活用方法のほか、SAP Datasphere ソリューションの使用など、さまざまな情報源からのデータの結合方法を模索しています。
同社はまた、インテリジェントテクノロジーの幅広い可能性を探っています。Joule と SAP SuccessFactors ソリューションを組み合わせて、職位の維持・作成、昇進やスポット報奨の管理、プラットフォーム間のデータ転送などの業務をどのように支援できるかを検証する計画もあります。
キドモース氏は次のように述べています。「当社で最初に Joule を導入しようと考えたのは人事部門です。それには十分な理由があります。Joule は従業員エクスペリエンスの向上と効率化の両面で役に立つためです。まず、Joule はさまざまなプラットフォームにわたって従業員エクスペリエンスを向上させる大きな可能性を秘めています。求人の掲載でも、経費の申請でも、従業員は同じアシスタントにサポートを依頼できるため、一貫したエクスペリエンスが提供されます。次に、コパイロット機能によって、オンラインサービスへの移行が進み、人事業務全体が効率化されます。私たちは Joule に大きな期待を寄せているのです」
タレントインテリジェンスハブの強みはまず、その拡張性にあります。スキルデータは現在、SAP SuccessFactors ソリューションの外に存在し、Grundfos 社の従業員が利用できるプラットフォームのエコシステム全体に広がっています。キドモース氏は次のように述べています。「プラットフォーム全体でスムーズなスキルエクスペリエンスを提供できることは、スキル重視の組織への転換の価値を最大限に引き出す上で非常に重要です。そのため、サードパーティーソリューションでこの拡張性を実現できることに満足しています」
Grundfos 社はまた、人材の獲得や育成、そしてダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンなど、さまざまな分野にわたって、SAP SuccessFactors ソリューションに備わる生成 AI 機能の可能性を探っていきたいと考えています。ニールセン氏はこう説明しています。「当社では、面接の質問を作成したり、応募書類からスキルを抽出したりするデザインがいくつか見えてきています。こうしたデザインによって、単に職務記述書だけでなく、求人広告のスキルに焦点を当てることができます。私たちは、この点に大きな可能性を感じています」
インテリジェントテクノロジーを用いたこうした探求が Grundfo 社をどこへ導こうとも、同社の先駆的な創業者は、スキル重視の企業を目指す現在の会社の姿勢に賛同していることでしょう。