エルベ川のハンブルク港

ハンブルク市:AI 対応テクノロジープラットフォームを利用して基金を迅速に分配

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SAP とともに歩むハンブルク市のジャーニー

自由ハンザ都市ハンブルクの財務省には、芸術家と文化機関向けの支援申請プラットフォームを構築する役割が与えられました。SAP Business Technology Platform、SAP AI Services、およびその他のソリューションを活用して、エネルギー危機時の支援に関連する約 100,000 件の申請を効率的に処理することができました。このプラットフォームはわずか 2 週間で立ち上げられました。

業種地域組織の規模パートナー
州政府・地方自治体ドイツ、ハンブルク従業員数:7 万人Dataport および D-LABS GmbH
2 週間

文化エネルギー基金の支援プラットフォームを立ち上げるのにかかった期間

600 万

自動的に評価・分類された文書の数

99,000

このプラットフォーム上で提出された文化エネルギー基金の申請件数

SAP Business Technology Platform と SAP AI Services の人工知能機能により、連邦エネルギー対策文化基金の申請を迅速に処理することができました。この機能がなければ、これほど迅速な処理はできなかったでしょう。
アルネ・シュナイダー (Arne Schneider) 氏
自由ハンザ都市ハンブルク、予算ディレクター

文化分野向けの資金援助プラットフォームをできるだけ迅速に構築

文化的でクリエイティブな分野の産業は経済と雇用にとって重要です。幸福感、健康、教育、インクルージョン、都市の再生にプラスの影響を与えるため、イノベーションが促進され、コミュニティに利益をもたらします。文化分野は COVID‑19 パンデミックによって大きな打撃を受けました。ドイツ連邦政府は、行動制限の影響を受けたこの分野を支援したいと考えていました。同政府は最新の IT ランドスケープで知られる自由ハンザ都市ハンブルクを参考にして、文化イベントを延期したアーティストが短期的な資金援助を申請して受け取ることができる、全国を対象にしたスケーラブルなプラットフォームの構築を積極的に行うことにしました。25 億ユーロにのぼるこの文化イベント特別基金は、ドイツの文化分野での資金援助プログラムとしてこれまでで最大規模でした。

 

その後のエネルギー価格(電気、ガス)の急激な上昇は、特に劇場、図書館、美術館、映画館など、公共と民間の文化機関に影響を与えました。ドイツにおける広範で多様な文化を維持するため、政府は連邦エネルギー対策文化基金(Kulturfonds Energie des Bundes)を設立し、文化分野に 10 億ユーロを拠出することにしました。

 

ソリューション導入の鍵は、支援を必要とする人に可能な限り迅速に資金を支給することと、最初の申請から支援金の支払いまでのプロセス全体を網羅してデジタル化することでした。また、さまざまな規制の枠を超えて、ドイツの 16 連邦州すべてで適用できることも必要でした。不正行為を防ぐ手段として、データとプロセスの透明性も重要でした。

16 の連邦州すべてで使用できる共通の支援プラットフォームが必要でした。また、申請者と処理担当者のいずれに関しても、申請を処理するための完全にデジタル化されたプロセスを確立する必要がありました。さらには、申請の処理を高速化するためには AI を使用することが特に重要でした。
アルネ・シュナイダー (Arne Schneider) 氏
自由ハンザ都市ハンブルク、予算ディレクター

包括的なデジタル支援プラットフォームの実現

Kasse.Hamburg とハンブルク市の財務省、特にデジタルイノベーションラボとして機能する同省のデジタルファクトリーが、ドイツ政府に代わって COVID‑19 関連の資金援助の申請処理と支給を行うための、文化支援申請プラットフォームを構築しました。SAP Business Technology Platform (SAP BTP) は、このプロジェクトの基盤となり、統合クラウドアプリケーションを構築するための多くのサービスを提供する強力なツールボックスとして使用されました。

 

SAP Business Application Studio によって、ドイツの各 16 州の特定要件に対応できる柔軟なアプリケーションの開発が可能になりました。また、SAP AI Services の機能(特に Document Information Extraction サービスと Business Entity Recognition サービス)により、当局は高度に自動化された AI ベースのプロセスに基づいて支援申請を評価することができました。これらのサービスによって、アップロードされたデータ(イベント費用と収益の証明、ID など)が支援申請の入力情報と一致するかどうかを確認しました。

 

SAP HANA Cloud と SAP Analytics Cloud のソリューションにより、マップを使用したライブデータのビジュアル化とリアルタイムレポート機能を利用することができました。SAP Integration Suite の API 管理機能を使用してドイツ連邦税務局の認証サービス (ELSTER) が統合され、不正行為の防止に役立ちました。支援金の支払いは、この支援プラットフォームに統合されている既存のコア財務ソフトウェア SAP S/4HANA で処理されました。

 

これらの技術と、このときの経験を持つ職員がすでに存在していたため、ハンブルク財務省のチームは、エネルギー対策文化基金が設立されたときにこの支援プラットフォームをすばやく使用することができました。また、生成 AI 機能を使用してプラットフォームを拡張し、効率を向上させることもできました。Document Information Extraction の premium edition をデプロイすることで、申請の処理と計算にかかる時間を節約できました。AI 機能によりデータ照合と検証が可能になり、誤りを防ぐための妥当性チェックも行われました。また、コストの推測値をより的確に把握できるようになりました。文書チェックイン機能と申請受信ボックス機能により、関連情報の読込と準備が行われました。多くの処理担当者はエネルギー市場の詳細にあまり精通していませんでしたが、これらの機能のおかげで、申請に記載されているエネルギー消費を迅速に評価することができました。SAP AI Core インフラストラクチャーの生成 AI ハブ機能は、申請に基づくテキストテンプレートの生成をサポートしました。センシティブなデータをサードパーティーの LLM プロバイダーと共有する必要はなく、それらのテンプレートを編集して申請者に送付することができました。

 

さらには、SAP Preferred Success サービスを利用することによって、アーキテクチャー設計とプロジェクト導入・管理に関する専門知識を活用できました。また、ハンブルク市は主要な外部パートナーとして Dataport および D‑LABS と提携し、関係を強化しました。これらのパートナーは、バックエンド統合、ソリューションの実行、テクニカルサポートの提供、ポータルのユーザーエクスペリエンス構築をそれぞれ担当しました。

文化イベント基金設立の良い経験があったため、それに基づいて物事を進めることができました。連邦政府、Kasse.Hamburg、SAP、パートナーの職員の間には緊密な協力関係がありました。同じ関係者が再び参加したことで、すべての人が何をすべきかを知っていて、文化エネルギー基金の管理の成功に自信を持っていました。
アルネ・シュナイダー (Arne Schneider) 氏
自由ハンザ都市ハンブルク、予算ディレクター

支援を必要とする人への迅速な資金援助を実現

ハンブルク市は SAP BTP と SAP Business AI を活用することによって、同市の高度な IT インフラストラクチャーを基盤とするプラットフォームを開発しました。このプラットフォームは、最初の申請から、妥当性チェック、反対意見への対応、支払いまで、デジタル化された支援申請プロセスをサポートするものでした。16 の連邦州とのコラボレーションを通じて、直感的なセルフサービスプラットフォームを活用した効率的な申請処理と統一された支払いが可能になりました。1 つの都市がすべての人々のためのテクノロジーを提供したことになります。この支援申請プラットフォームは、ハイブリッドランドスケープでサイドバイサイドの拡張として開発され、文化イベント基金用としてわずか 3 週間という短期間で実装できました。

 

このプラットフォームの柔軟性とスケーラビリティは、ニーズの変化に応じて技術的なフットプリントを拡大できることを意味し、文化エネルギー基金を管理するためにプラットフォームを更新するのにかかった期間はわずか 2 週間でした。約 7,000 の「文化クリエイター」が約 10 万件の申請を提出しました。AI と生成 AI を使用することにより、データへのアクセス、申請の審査、意見の作成、テキストブロックの編集に関する支援が提供され、申請の処理を高速化するのに非常に有益でした。これにより、人員の作業時間が大幅に削減され、文化機関とのコミュニケーションが向上し、支払いが迅速になりました。合計で 600 万件の文書が評価されました。AI ベースの意思決定サポートにより、当局側の限られた要員で意思決定プロセスが管理しやすくなりました。ライブレポートでは、申請された予算金額や申請ステータスなどの重要な情報が州当局と連邦政府にリアルタイムで提供されました。

 

全体として、この 2 つの基金プロジェクトは、パンデミックやエネルギー危機に関係なく、ドイツの都市やコミュニティで多様な文化生活を継続できるように支援してきました。このプロジェクトの成功は今後、他の業界や異なる状況で支援を必要とする人々を迅速かつ信頼性の高い方法でサポートするためのベストプラクティスモデルとなっています。

わずか 14 日間で、文化エネルギー基金を管理する 16 のすべての連邦州向けの共通のプラットフォームを提供できました。このプラットフォームは、申請の全体的な処理と承認、および基金の支払に使用されました。
アルネ・シュナイダー (Arne Schneider) 氏
自由ハンザ都市ハンブルク、予算ディレクター

主要パートナー

Dataport 社は、複数のドイツ連邦州の IT サービスプロバイダーであるほか、複数の地方自治体と IT 提携を結んでいます。同社のミッションは、ユーザー志向で安全性を保ちながらデジタル変革を促進することです。

D-LABS GmbH は、デジタル業界向けに革新的な設計の提供も行うコンサルティング企業です。同社の専門家チームは、2006 年以来、人間中心の設計という原則に従って卓越したデジタルソリューションを構築してきています。

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