
SAP とともに歩む Amadeus 社のジャーニー
毎年、世界人口の 4 分の 1 に相当する人々が、旅行時に Amadeus 社のソリューションを利用しています。Amadeus 社は、RISE with SAP ソリューションによって、旅行者とともに、それぞれの目指す行き先に到達するために必要な安定性を保ちながら、クラウド ERP 導入と同時期に財務プロセスの変革も実行しました。
| 業種 | 地域 | 企業規模 |
| プロフェッショナルサービス | スペイン、マドリード | 従業員数:1 万 8,000 人以上 |
月次決算処理の短縮日数
請求処理精度
毎日、管理される取引件数
Amadeus IT Group S.A.、ビジネスアプリケーションプラットフォーム担当アソシエイトディレクター
財務の変革をクラウドへの移行と併せて実施
飛行機、鉄道、あるいは船で旅行したことがある方なら、Amadeus IT Group S.A. のテクノロジーに触れている可能性は高いでしょう。航空会社、旅行代理店、その他旅行業界の企業向けに同社が提供しているソリューションと予約システムは、毎年 4 億 5,000 万件の予約を取り扱い、20 億人の乗客の旅行をより快適にしています。
190 カ国以上にオフィスを構える Amadeus 社は世界中で事業を展開しています。この規模を生かして同社は地域に合ったサポートを提供でき、ホテルから空港運営会社、クルーズ会社に至るまで、多様な顧客にグローバルに対応できます。一方で、オンプレミス ERP システムを使用して毎日 1 億 5,000 万件を超える多様な取引を管理することが、財務と請求業務を進める上で問題になっていました。データ保存の要件を満たし、請求処理に関するサービスレベル契約を履行するために、より高度なサポートが同社には必要でした。
Amadeus 社は、グローバルなプロセスとツールの標準化を可能にする 1 つのデータモデルを構築し、唯一の正確な情報源を確立し、より充実したインサイトと分析結果を迅速に得る必要がありました。また、同社財務部門を同事業に真のメリットをもたらす部門にしようとしていました。
同社が求めていた財務・請求管理ソリューションは、事業の成長をサポートし、受注から入金までのプロセスや、その他のビジネスプロセスを最適化するために必要なツールと知識を社内外のユーザーに提供するものでした。それと同時に、待ち時間を短縮し、スケーラビリティ、セキュリティ、事業継続性を確保するには、IT システムをクラウドに移行することが正しい戦略であると同社は認識していました。
同社のビジネスアプリケーションプラットフォーム担当アソシエイトディレクターであるシュテファン・オートナー氏は、次のように説明します。「当社はクラウドへの移行を戦略的に決断したところでした。並行して当社では財務変革プロジェクトも進めており、その取り組みもまったく同時期に重要な段階に入っていました。このクラウドへの移行が財務プログラムに及ぼす影響を最小限に抑える必要がありましたが、これは本当に困難な作業でした」
Amadeus IT Group S.A.、IT ソリューション担当アソシエイトディレクター
安定した環境で広範な統合型ソリューションをローンチ
Amadeus 社は、RISE with SAP ソリューションが同社のクラウド移行戦略に適していると判断しました。このソリューションを利用すれば、インフラストラクチャー、マネージドサービス、ソフトウェアライセンスに、1 つの商用オファーと契約で対応できます。また、SAP S/4HANA Cloud Private Edition は変革後の同社の財務・請求管理システムに最適なバックボーンになります。
オートナー氏は次のように説明します。「SAP と当社は 1990 年代から長年のパートナーシップを築いており、近年はこの関係がさらに強固になっていたので、SAP を選んだのは当然のことでした。じっくりと期間をかけて評価した末、RISE with SAP を利用すれば、社内では達成が非常に難しい高度なスケーラビリティと技術的成熟度が両方とも得られると分かったので、間違いなく適切な選択だと考えました。また、財務変革を実現するために SAP が欠かせない要素であることも確信していました」
Amadeus 社は、新しい財務・請求管理エコシステムを支える SAP ソリューションを広範に導入しました。例えば SAP Billing and Revenue Innovation Management ソリューションは、受注から入金までのスムーズなプロセスと迅速な請求処理をサポートします。
また、SAP Business Technology Platform (SAP BTP) は統合をサポートし、スペインと英国での税務レポートやイタリアでの電子請求処理など、幅広いユースケースを支えています。またデータ管理も強化し、SAP Analytics Cloud ソリューションと連携して、キャッシュフロー予測や運用計画を含む同社経営企画フレームワークの変革を支援します。
同社の IT ソリューション担当アソシエイトディレクターのジョルジ・ガルセス氏は、次のように述べています。「新しいランドスケープの主なメリットは、SAP S/4HANA Cloud Private Edition を活用した容易な統合です。このソリューションなしに、同じような機能をゼロから構築するのはとても困難だったでしょう」
Amadeus IT Group S.A.、IT ソリューション担当アソシエイトディレクター
財務と請求管理を新たな次元へ
RISE with SAP と SAP S/4HANA Cloud Private Edition を活用して、Amadeus 社は社内プロセスをクラウドに移行する作業を効率よくスムーズに実施し、オペレーショナルレジリエンスを強化して業務を最新化しました。
最新のアップデート、拡張機能、業種別ソリューションへのアクセスが可能になり、スケーラビリティ、柔軟性、効率が向上しています。ガルセス氏は次のように述べています。「イノベーションを以前よりもはるかに迅速に進められるようになりました。従来は、アップグレードとサポートパッケージの管理はチームの稼働状況に左右されていました。現在は、SAP が規定する厳しい期限を遵守しています」このように、市場と需要の状況に機敏に反応して業務のキャパシティを調整する能力が向上したことで、旅行業界で高利益を生み出す成長に向けた同社の態勢が整いました。
財務面では、同社は新しい財務サービスセンターで、標準化された SAP ソリューション、標準化されたグローバルテンプレート、統一された受注から入金までのプロセスを、110 社以上の法人と 15,000 人以上の個人に対して使用しています。これにより請求管理の精度が大幅に向上し、総所有コストが削減され、決算処理が迅速になり、自動化、デジタル化、ポリシーの調整が強化されました。
直感的なインターフェースとアクセスしやすい詳細情報が利用できるようになり、グローバルな財務プロセスの合理化につながりました。そして、より見やすく、きめ細かい多彩なレポートが提供されることで、顧客やベンダーなどの満足度も向上しています。
IT ランドスケープのほぼ 100% が 1 つのソリューション上で稼動することで、高精度のデータが得られます。ガルセス氏は次のように述べています。「社外向け、社内向けのどちらのレポートを作成する際にも、精度の高いデータがあるので数値の正しさに信頼が持てます」さらに同氏は、こうした改善により財務部門がさらに高い価値を生み出せるようになったと付け加えます。「財務部門は、特に報告と管理に関してさまざまなニーズを持つ各部門の業務をサポートできる、真のパートナーになることを目指していました。SAP ソリューションによって財務を変革できたおかげで、当社はこれを実現できたのです」
オートナー氏は、RISE with SAP での体験を次のように総括します。「RISE with SAP の導入を決断したことで、素晴らしい成果が得られました。当社はアプリケーション層に集中して、テクノロジーのオーナーシップを維持しながら、SAP がこのシステムを安定させる技術的作業を担ってくれるという、真のパートナーシップが築かれています」
インテリジェントテクノロジーの新しい世界を探る
Amadeus 社は現在、クラウドへのジャーニーを次の段階に進めようとしています。オートナー氏が詳細を明かします。「今後の大きなマイルストーンは、当社のクラウド変革そのものにあります。社内 IT と Amadeus エコシステムの移行を継続しなければなりません。当社は SAP BTP と SAP Cloud ALM ソリューションを活用して、業務を次のレベルに引き上げ、すでに獲得している能力から真のメリットを引き出していきます」
この新しい能力の 1 つは、AI などのインテリジェントテクノロジーに関わるものです。ガルセス氏は次のように述べています。「当社ではすでに AI ユースケースの検討を進めており、例えばホスピタリティ業界でマッチングを利用して料金徴収を管理する可能性を探っています。おそらく AI によって旅行者の行動が変わり、予約が行われるタイミングを当社のお客様が把握することはさらに困難になりそうです。何が起こるにしても、AI は大変革をもたらし、この業界でたくさんの疑問が湧き上がることになるでしょう。そして私は、SAP こそが確実に正解を教えてくれると心から信じています」
