24 のグローバル事業全体で調達・購買プロセスを調和させ、可視性、サステナビリティ、サプライヤーとの連携を強化

SAP とともに歩む Adani 社のジャーニー
多国籍複合企業である Adani Enterprises Limited 社は、複雑でサイロ化された調達・購買業務をシンプル化し、統合する必要がありました。同社は、SAP Business Network と SAP Ariba ソリューションを基盤とする一元化されたプラットフォームによって、一貫した調達・購買プロセスを確保しつつ、持続可能な価値創出と成長に必要なアプリケーションを開発する柔軟性も手に入れています。
| 業種 | 地域 | 企業規模 |
| 全業種 | インド、アフマダバード | 従業員数 43,000 人 |
デジタルチャネルで請求書が初回で正しく処理される割合
請求書処理の年間削減時間
サプライヤーのデジタル化によって 1 年間に節約できた紙の枚数
Adani Enterprises Limited 社、ビジネスエクセレンス/戦略的イニシアチブ担当グループ責任者
多角的事業の調達・購買業務をシンプルに
多国籍複合企業 Adani Enterprises Limited 社の事業規模は非常に大きく、所有する 10 社の上場企業は、輸送/ロジスティクス、エネルギー/公益事業、空港、資材など、50 以上の事業を運営しています。
Adani 社は「善意ある成長」という理念を掲げ、サステナビリティを非常に重視しています。同社は、国連の持続可能な開発目標 (SDGs) の多くを採用し、脱炭素発電からマングローブ林の保全まで、幅広い取り組みを支援しています。
この非常に複雑な背景の中、Adani 社は 24 の事業を対象に一元化されたプラットフォームを構築することで、調達・購買プロセスを変革したいと考えていました。このプロジェクトの主な推進要因は 3 つです。1 つ目は、成長を支えるシステム、能力、人材を確保したいと考えていたことです。
2 つ目は、プロセスを調和させたいと考えていたことです。同社のビジネスエクセレンス/戦略的イニシアチブ担当グループ責任者であるムケシュ・ラルハン氏は、次のように説明しています。「当社はサプライヤーに大きく依存しており、調達は日常業務の中核を成すものです。しかしながら、事業部ごとにサイロ化しており、ソーラー、防衛、港湾、空港など、各事業部に独自の作業手順がありました。そのため、唯一の正確な情報源を確立して、会社全体で一元化されたソフトウェアソリューションを使う必要がありました。その際、画一的なアプローチは避け、『標準化』ではなく『調和』を図りたいと考えました。つまり、24 の事業部それぞれのコアな部分は統一するものの、多少のカスタマイズも許容することにしたのです」
3 つ目は、外部関係者にもデジタル化を進めてもらう必要があったことです。ラルハン氏は次のように述べています。「当社のデジタルトランスフォーメーションは、サプライヤー、ベンダー、パートナーなど、当社の『影響圏』の外にいる人々に実際にメリットをもたらすものでなければなりませんでした。そうすれば、彼らも当社の取り組みに加わって、成功を後押ししてくれると考えたのです」
Adani Enterprises Limited 社、ビジネスエクセレンス/戦略的イニシアチブ担当グループ責任者
柔軟に拡張できる統合型「Procure-to-Pay」プラットフォームを構築
Adani 社は、グループ全体の調達・購買の変革を支えるには、SAP Business Network と多様な SAP Ariba ソリューションを選択することが最適だと判断しました。
ラルハン氏は次のように述べています。「SAP Ariba ソリューションは非常に強力な調達機能を備えています。これらのソリューションは互いに連携可能で、SAP Fieldglass などのソリューションとも相性が良いため、現在だけでなく将来的なニーズにも対応できると考えました」
Adani 社は、SAP Ariba Sourcing、SAP Ariba Supplier Lifecycle and Performance、SAP Ariba Contracts、SAP Ariba Spend Analysis の各ソリューションを導入しました。また、同社の変革の鍵となったのは、SAP Business Network Commerce Automation ソリューションでした。
SAP Business Technology Platform (SAP BTP) は、新たな調達・購買環境の統合を進める上で重要な役割を果たしました。Adani 社の CIO であるタラン・バルガヴァ (Tarang Bhargava) 氏は次のように述べています。「事業ごとにニーズが異なるため、既存の基幹システムでこうしたニーズに応えようとしていたのですが、もっと先を見据える必要があると気づき、SAP BTP の検討に踏み切りました」。ラルハン氏によると、SAP BTP を活用すれば、SAP Ariba ソリューションが提供するポリシーや手順の枠組み内で、承認ワークフローなどのカスタムアプリケーションを柔軟に提供できるようになるということでした。
Adani 社は SAP MaxAttention サービスを活用して、自社の変革をサポートしました。ラルハン氏によると、10,000社のサプライヤーにおける定着率の最大化に役立ったアプローチが 2 つあったそうです。1 つ目の「専門知識を借りる」アプローチでは、SAP Ariba ソリューションのエキスパートと連携し、このソリューションをすでに利用していて、オンボーディングに際してトレーニングがそれほど必要でないサプライヤーを特定しました。2 つ目の「正しく近道をする」アプローチでは、サプライヤーに対し、ソリューションのトレーニングをサプライヤー自身のコミュニティに展開するよう支援を求めました。ほかにも、定着率をさらに上げるために、サプライヤー向けの情報ポータルを構築し、情報シートや簡単な操作方法を紹介するビデオを掲載しています。
社内調達・購買チームとサプライヤー双方の成功を支援
Adani 社の調達・購買プラットフォームは現在、1,700 人以上のサプライチェーン担当者と 22,000 社を超えるサプライヤーをサポートしています。同グループの広範な影響力を考えると、これらの数が驚異的なのにも頷けます。例えば、SAP Business Network Commerce Automation は、前会計年度に 30 億米ドルの発注書を処理しており、前年比で 269% 増加しています。また、20 万件以上の請求書(163% 増)と 20 億米ドルの支出(83% 増)を処理しています。同社は毎月、SAP Ariba ソリューションを使用して、13,000 ~ 14,000 件の発注書、35,000 ~ 36,000 件の請求書、38,000 ~ 40,000 件の入庫伝票やサービス入力シートを処理しています。
Adani 社は現在、購買活動の全体像を把握できています。ラルハン氏は次のように述べています。「現在、1 日あたりの発注書件数や購買担当者 1 人あたりの発注書件数のほか、平均支出額を把握しています。つまり、こうしたデータを完全に可視化できていると言えます。SAP Ariba ソリューションへの請求書の取り込み作業をサプライヤー各社が適切に行ってくれたおかげで、こちらでの手戻り作業が大幅に削減されました」
SAP Ariba Sourcing は、調達情報を一元化し、強力なバージョン管理機能を提供して、調達サイクルの短縮や管理コストの削減に役立っています。また、より深い購買インサイト、ベンチマーキングデータ、分析へのアクセスを可能にしています。ほかにも、同社はビジネスルールやコロケーション戦略を使用して、支出管理を強化することができます。
Adani 社は、SAP Business Network Commerce Automation を活用して、調達・購買の取引やワークフローを自動化するとともに、調達・購買のコンプライアンスを強化しています。同社は、事前出荷通知、入庫伝票、買掛金、却下された請求書をオンラインで効率的に追跡でき、パートナーとの連携もより効果的に行えるようになりました。ラルハン氏は次のように述べています。「サプライヤーに対して透明性を確保することが目的でした。私たちはスピードを向上させるだけでなく、サプライヤーにもメリットをもたらしています。支払状況や運転資本管理の透明性を確保することで、サプライヤーはより的確に意思決定を下せるようになり、結果的に当社の成長につながっています」
さらに、SAP Ariba ソリューションは、計測可能な方法で Adani 社のサステナビリティ目標を支援しています。1 年間で 850 万枚の紙を削減したことで、1,025 本の樹木を保護し、水、廃棄物、エネルギー、二酸化炭素排出量を削減することができ、選択した国連 SDGs の達成に貢献しています。
一方、SAP BTP によって、Adani 社の各事業は調和のとれた調達・購買プラットフォーム内でそれぞれのニーズに合ったツールを開発しています。バルガヴァ氏が現在の事例を 3 つ紹介してくれました。1 つ目は、グリーンエネルギー事業における屋外倉庫での仕入先品目の照合に関するものです。2 つ目は、石油化学事業におけるコンテナや資材の第三者検査、物流、輸入業務の連携をサポートする業務推進ポータルに関連するものです。そして 3 つ目は、SAP Ariba ソリューションとの統合に関するものです。バルガヴァ氏は次のように述べています。「SAP Ariba ソリューションからデータを抽出し、SAP BTP に取り込み、承認ワークフローを実行し、テンプレートを作成し、SAP Ariba ソリューションに戻します。その際、ユーザーエクスペリエンスがあまりにもスムーズなので、ユーザーは SAP Ariba ソリューションから SAP BTP へ移動し、再び SAP Ariba ソリューションに戻ったことに気づかないほどです」
強固な調達・購買業務を基盤にイノベーションを推進
新たな調達・購買プラットフォームを基盤に、Adani 社はさらなる効率化とイノベーションを推し進めています。
例えば、SAP Digital Boardroom を使用して、SAP Ariba ソリューションでの取引を一元的に把握する方法を模索しています。
ほかにも、契約ガバナンスにおける基準設定の支援に SAP Ariba Contracts を活用することも計画しています。
こうした取り組みがどの方向に進もうとも、SAP のソリューションは、持続可能な「善意ある成長」を将来にわたって達成できるよう Adani 社を支えていきます。