
カスタマイズされた SAP Build Work Zone により、SAP ソリューションポートフォリオ全体で従業員エクスペリエンスを強化
プロセス産業向け製品のメーカーである PILLER Blowers & Compressors 社は、従業員エクスペリエンスと IT システムの使用状況を改善したいと考えていました。SAP とサードパーティーの複雑なハイブリッドシステムを抱える同社は、SAP Business Technology Platform を使用してユーザーとシステムの統合を行い、アクセス管理の調和と役割ベースのデジタルワークプレイスの構築を実現しました。
| 業種 | 地域 | 企業規模 | パートナー |
| 産業用機械製造 | ドイツ、モーリンゲン | 従業員数:500 人 | projekt0708 GmbH |
最重要ビジネスワークロードに対するアクセス速度向上率
日常業務で PILLER Work Zone にアクセスできる従業員の割合
従業員、マネージャー、学習者向けのイントラネットゾーンの数
PILLER Blowers & Compressors GmbH 最高情報責任者
複雑なハイブリッド環境を一元化されたワークプレイスに統合
PILLER Blowers & Compressors GmbH は、プロセス産業向けの高性能送風機とコンプレッサーの開発、設計、製造を行っています。同社は 100 年以上にわたり、食品、製紙、化学、医薬品などの業界向けに効率的でカスタマイズされた機械を供給してきました。
PILLER 社では、多数の SAP ソリューションとサードパーティーのソフトウェア製品が使用されていました。この複雑でハイブリッドなソフトウェア環境により、さまざまなワークフローとインターフェースが発生し、プロセスの統合が困難になり、トレーニングの必要性が高まると同時に、オンボーディング期間も長くなっていました。従業員は職務役割に応じて、最大 5 つまたは 6 つの異なるシステムにログインする必要がありました。これらのシステムは、異なる資格情報を必要とし、異なるユーザーエクスペリエンスを提供するものでした。
同社は、急速な成長を遂げたことにより、世界中の従業員が職務役割別の関連情報に、より簡単にアクセスできるようにする必要がありました。コンピューター化された職場やイントラネットへのアクセスがなければ、ブルーカラー労働者や「デスクレス」ワーカーは、会社の情報、安全性説明書、休暇申請や学習コンテンツなどのデジタルプロセスに直接アクセスすることができませんでした。また、イントラネットは古く、交換する必要がありました。PILLER 社は、人事、購買、IT チケット管理などのセルフサービスプロセスを含む複数のシステムやプロセスに簡単にアクセスできるようにすることで、ユーザーエクスペリエンスを調和させたいと考えていました。また、マネージャーに対しては、レポートと KPI 追跡に関連するアナリティクスや、購買依頼や休暇申請を承認するためのさまざまなシステムからの承認ワークフローへの一元的なアクセスを提供する必要がありました。そこで、関連するビジネスアプリケーションを統合することで、従業員エクスペリエンスの統一と強化を期待し、さらに、プロセスの標準化を推進して、システムをまたいだプロセスを可能にするエンタープライズオートメーションプラットフォームの確立を目指していました。
PILLER Blowers & Compressors GmbH 最高情報責任者
ワークフローとインターフェースを調和させる最新のイントラネットの開発
PILLER 社は、SAP S/4HANA を活用しています。SAP S/4HANA オンプレミスをコアシステムとして使用し、SAP S/4HANA Cloud Public Edition を世界各地の子会社に使用するという 2 層構造モデルで運用しています。また、SAP SuccessFactors、SAP Sales Cloud、SAP Ariba、SAP Analytics Cloud、SAP Datasphere、SAP ERP Human Capital Management (SAP ERP HCM) ソリューション、SAP Fiori アプリなどのソフトウェア製品も採用しています。
PILLER 社は、いくつかのスイートクオリティをSAP Business Technology Platform (SAP BTP) に導入しました。SAP Integration Suite と SAP Cloud Identity Access Governance ソフトウェアにより、システムとアプリケーション間の接続性が確保されただけでなく、SAP ランドスケープ全体で一貫したセキュリティ、ID、アクセス管理を実現させることができました。認証面では、SAP SuccessFactors Employee Central ソリューションの従業員情報を利用することができるようになりました。
同社は、SAP Build Work Zone, advanced edition を選択することで、SAP ソリューションとサードパーティーのアプリケーション、データ、プロセスを統合する一元化されたプラットフォームを開発することができました。その結果生まれた最先端のグローバルイントラネット「PILLER Work Zone」には、世界中の従業員がどのデバイスからでも利用することができます。デジタルハブにより、従業員は職務役割別に日常のタスク、情報、アナリティクス、プロセスに一元的にアクセスすることが可能です。
PILLER 社は、SAP Build ソリューションを導入し、フュージョン開発アプローチを使用して、イントラネットの機能を拡張し、自動化率を向上させました。ノーコード機能を備えた SAP Build Apps ツールを活用することで、特定の要件に合わせてカスタマイズされた UI 統合カードの迅速な追加も実現しました。ノーコードツールでは作成できない、時計ウィジェットなどの複雑なコンポーネントの追加には、SAP Build Code が使用されました。SAP Build Process Automation ソリューションを導入することで、訪問者の登録や管理など、会社固有のプロセスにカスタム構築されたワークフローを作成することが可能になりました。従業員が訪問者を登録できるようになり、追加の安全要件がある制限された領域(製造など)に訪問者を連れて行く場合、マネージャーがアクセス承認のワークフローを受け取るようになりました。訪問予定者には、関連するセキュリティガイドラインと情報確認のために電子メールが送信され、スムーズな訪問を実現することができます。これには、駐車場の詳細、Wi‑Fi パスワード、登録用の QR コードが含まれています。PILLER Work Zone を使用するすべての人が詳細確認を行うことが可能です。緊急時には訪問者の追跡も重要になります。 PILLER 社は、SAP Build Process Automation ソリューションとそれに組み込まれた AI ベースの Document Information Extraction サービスも活用することで、さまざまなソースと形式(Microsoft Excel スプレッドシートなどの構造化データと PDF などの非構造化データ)からデータを抽出することができるようになりました。
projekt0708 社は、SAP BTP、SAP Build、SAP SuccessFactors、SAP ERP HCM の分野で人事プロセスに関する深いノウハウと技術的専門知識を活かして、PILLER 社にコンサルティングおよび導入サービスを提供しました。
PILLER Blowers & Compressors GmbH 最高情報責任者
従業員のコミュニケーションを改善し、作業負荷を軽減
最新のイントラネットは、従業員、マネージャー、学習者など社内の対象グループ向けのワークスペースをホストし、ヒューマンエクスペリエンス管理の分野で特定のコンテンツ管理を推進します。これらのカスタマイズされたゾーンは、関連するすべてのアプリケーションへの単一のエントリポイントを提供することで、ユーザーエクスペリエンスを最適化し、生産性を向上させます。例えば、ホームページには、包括的な検索機能、会社のニュースやイベント、現地時間の表示、最も頻繁に使用される SAP クラウドソリューションへのリンクが備わっています。セルフサービスで、従業員が休暇申請を送信したり、チームカレンダー、組織図、社内求人、会社契約、職務役割固有の文書を検索したりすることができます。マネージャーは、SAP Analytics Cloud や SAP Datasphere ソリューションを使用して、複数の KPI やダッシュボードにアクセスし、受注に対する納期遵守率、収益レポート、承認ワークフローや重要な文書を表示することができます。また、学習ゾーンには、SAP SuccessFactors Learning ソリューションによるトレーニングコンテンツが用意されます。
これまでとは異なり、デスクレスワーカーもイントラネットにアクセスできるようになりました。安全で管理された BYOD(個人所有デバイスの業務利用)により、自分のモバイルデバイスを使用することができます。情報やワークフロープロセスは、ソーシャルメディアアプリケーションのように、シンプルなモバイル対応で表示されるため、従業員はイントラネットの使用にあたりトレーニングを受ける必要がありません。
SAP Task Center サービスにより、ハイブリッドな SAP ソリューション用に一元化された受信ボックスを構築することができました。ワークフローを一元化された受信ボックスで処理することで、日々の業務量が削減されるだけでなく、休暇申請、発注文書、経費精算などの承認にかかる時間も削減することができます。その他のメリットとしては、コミュニケーションの改善により、豊富な情報で熱心な従業員を育成したり、アナリティクスの利用増加により戦略的なデータ主導の意思決定を実現したりできるようになりました。時間管理を強化することで、納期の遵守と効率化が促進され、納入タイムラインの可視性向上により、業務管理が強化されます。また、SAP ソリューションの使用が増えることで、ビジネスプロセスが改善されます。
PILLER 社は、統合、自動化、クロスアーキテクチャーシナリオ、プロセスデジタル化向上のために、将来を見据えた基盤として SAP BTP を選択しました。ローコード/ノーコードの開発アプローチとプロコードソリューションを組み合わせることで、シンプルなコンポーネントと複雑なコンポーネントの両方を提供し、新しいアプリケーションの開発時間と労力を削減することができるようになりました。スイートクオリティを備えた包括的かつ標準化された統合戦略を採用することで、安全で合理化されたユーザーエクスペリエンスが実現し、効率性が向上しました。これにより、PILLER 社は新しいイノベーションを実現することができたのです。clean core とクラウドファースト戦略の一環として、モバイルデバイス上のさまざまなアプリケーションとソリューションを調和させることで、運用コストとサポートコストを削減し、ROI を最大化することができました。また、IT スタッフは、より戦略的なイニシアチブに専念できるようになりました。
PILLER Blowers & Compressors GmbH 最高情報責任者
PILLER Work Zone を改善し、新しい部門や支店に拡大
PILLER 社は、SAP Build Apps を使用して UI の改善とシナリオの追加を行い、営業や財務などの部門の特定要件を満たす新しいアプリケーションを作成したいと考えています。これにより、各部門は独自のワークスペースを作成、編集、変更し、それに応じてアプリケーションを組み込むことができるようになります。Work Zone のイントラネットの拡張に加えて、子会社にも独自のゾーン(ワークスペース)が提供されることで、より多くの従業員をネットワークに参加させ、よりよいサービスを提供できるようになります。
従業員のオンボーディングのための新しいアプリケーションも構想しています。製品の可用性にもよりますが、SAP Build Code に Joule コパイロットを導入し、AI コードを生成することを検討しています。これにより、ビジネスロジック、サンプルデータ、テストの生成など、日常的かつ反復的な開発者タスクが自動化され、SAP Build Code における開発者の生産性を向上させることができます。「次の最善策」機能など、状況に即したインテリジェントなガイダンスを活用することで、プロジェクトを迅速化することができます。これにより、PILLER 社は、自然言語を使ってレポートを生成したり、プロセスをトリガーしたりすることが可能となり、IT システムとのやり取りをさらにシンプル化するシナリオを実現することができます。
PILLER 社は、SAP Build Process Automation ソリューションによる承認プロセスをさらに追加したいと考えています。例えば、現在、プロセスの自動化を利用することで、さまざまなソースや形式の ESG(環境・社会・ガバナンス)データを調和させ、サステナビリティレポートを作成できるようにすることを検討しています。このデータを抽出し、それを SAP Datasphere ソリューションにインポートすることで、SAP Sustainability Control Tower ソリューションで使用することができます。最後に、同社は、インフラストラクチャー管理を改善し、アプリケーションとデータの統合をさらに効率化するために、SAP LeanIX ソリューションを使用した継続的なプロジェクトに取り組んでいます。
主要パートナー
革新的な IT サービスおよびコンサルティング会社である projekt0708 GmbH は、将来を見据えた人事および IT 戦略に基づいて、人事プロセスの変革、デジタル化、自動化を行います。SAP Build、SAP BTP、SAP SuccessFactors、SAP ERP HCM に対する深い見識を持つ同社は、あらゆるデバイスから SAP やサードパーティーのアプリケーション、プロセス、データに一元的にアクセスできるデジタルワークプレイスを構築し、エンドユーザーの生産性とエンゲージメントの向上を実現させました。