Snam 社:ビジネスデータの力を引き出して新しいエネルギーモデルを推進
財務データディスカバリーによる透明性の向上
明日のエネルギーネットワークでは、天然ガスはグリーンガスや水素などのクリーンエネルギー源と並んで使用されるでしょう。エネルギーインフラ企業の Snam S.p.A. 社は、SAP Datasphere ソリューションと SAP Analytics Cloud ソリューションを利用して、この移行を後押しする新しいビジネスモデルを強化し、意思決定者がより容易にデータにアクセスできるようにしています。
| 業種 | 地域 | 企業規模 |
| 石油・ガス・エネルギー | ミラノ、イタリア | 従業員数 3,610 人 |
Snam S.p.A. 社 IT プロジェクトマネージャー
包括的なデータアクセスによってスマートなビジネス意思決定を強化
エネルギーインフラ企業である Snam S.p.A. 社には、ただのエンジニアリング企業ではない、という自負があります。企業理念の「エネルギーで世界に感動を与える」は、常に革新的で持続可能な企業を目指すという同社の決意を表しています。具体的には、ガスの輸送や貯蔵といった従来の業務に加え、バイオメタン、水素、炭素回収などの新しい領域に取り組んでいます。
Snam 社は、環境に優しい新技術を模索する中、戦略的計画を支援するために新しいビジネスシナリオを迅速にモデル化する必要があります。しかし、同社の IT ランドスケープは、ビジネスアナリストが広範なデータディスカバリーを実行できるような構成にはなっていませんでした。レポートの提供を IT 部門に依存していたため、適切なビジネス上の意思決定に必要な情報へのアクセスが妨げられ、データシミュレーションもできず、自社のデータウェアハウスの外にあるデータソースを含めることも困難でした。
そこで同社は、IT 部門の介入を抑え、さまざまなチームが独立して会社のデータベースへのクエリーを実行して、レポートやダッシュボードを作成できるようにすることで、ビジネス部門の自律性を高めたいと考えていました。また、レポート作成サイクルの改善と、SAP ソリューションだけでなく、Microsoft Excel などのサードパーティーソースからのデータの統合に要する時間の短縮も目指していました。
これらの目標を達成するために、ビジネスアナリストのニーズを満たし、ビジネス全体に最新のインサイトを提供できる革新的なクラウドベースのセルフサービスアナリティクスツールを導入することにしました。
Snam S.p.A. 社 IT プロジェクトマネージャー
新しいビジネスデータファブリックをクラウドに迅速に導入
Snam 社は、データの管理、分析、使用のための統合プラットフォームを支えるビジネスデータファブリックを構築するにあたって、SAP Business Technology Platform の一部である SAP Datasphere を選びました。
SAP Datasphere の大きな利点は、同社 IT プロジェクトマネージャーのダヴィデ・コルチウロ氏が説明するように、さまざまなデータソースとの円滑な統合です。「SAP Datasphere には追加コネクターが豊富に用意されており、SAP ソフトウェアだけでなく、Microsoft などのソースからのデータも管理できます。このソリューションは、これらすべてのソースをクラウドで統合するというパラダイムシフトを促進し、データの可用性を高めます」と同氏は語ります。
Snam 社は、SAP Datasphere が迅速な導入を支援することも知っていました。コルチウロ氏が指摘するように、「このソリューションはプロジェクト期間の大幅な短縮を実現します。そのため、基盤の構築完了からわずか数週間のうちにレポートを統合できるアジャイルなアプローチが可能になります」
図に示すように、Snam 社は SAP Analytics Cloud と SAP Datasphere を接続することで、新しいデータレイクに基づく直感的なレポートとダッシュボードをサポートしています。また、両ソリューションを SAP ERP および SAP Business Warehouse アプリケーションと統合し、SAP BW/4HANA ソリューションを使用して、企業全体にわたって一貫した統合データビューの実現に役立てています。
また、レポートの作成と公開を担当する新しい部門横断型チーム「Design Authority」を設置しました。
Snam 社は、財務管理者や会計管理者向けのレポートや KPI を作成するために、パイロットプロジェクトで Cloud Success Services チームおよび SAP ActiveAttention サービスと協力して、財務データと調達・購買データを統合しました。コルチウロ氏は、「SAP Datasphere で、サプライチェーン、調達・購買、財務、管理会計全体の情報を統合し、購買発注から支払プロセスまでの領域をカバーする約 15 のカスタムテーブルを作成しました」と述べています。
概念実証の開発とデータソース接続のためのシステムの統合という 2 つのフェーズ以降、導入プロジェクトに要した期間はわずか約 3 カ月でした。
Snam S.p.A. 社 IT プロジェクトマネージャー
唯一の正確な情報源によりビジネスの自律性と俊敏性を強化
現在、Snam 社は SAP Datasphere と SAP Analytics Cloud によって実現するデータモデリング、接続性、仮想化、アクセスの改善のおかげで、新たなインサイトと KPI のメリットを享受しています。
財務チームと調達・購買チームは、セルフサービスを使用してアドホックレポートをすばやく作成できます。チームと上級管理職の双方が、リアルタイムのビジネスアナリティクスとシナリオモデリングにアクセスできるため、財務上の意思決定の改善につながっています。Snam 社の Design Authority チームの支援により、ビジネスユーザーと IT 部門間のコラボレーションが改善され、データ管理やデータ主導型の機能に対するユーザーの意識も高まっています。IT チームは、レポートの実行時間が短縮され、付加価値の高いタスクに費やすことができる時間が増えています。
IT 部門からの独立とレポート作成の迅速化は、コルチウロ氏にとって最も大きなメリットの 2 つです。「チームは、複数のツールにわたる必要な情報をすべて取得し、独自のレポートにまとめることができます。しかもすばやく直感的に行うことが可能で、数秒でレポートを作成できます。SAP Analytics Cloud のダッシュボード機能は、意思決定者に真の付加価値をもたらします」
さらに、SAP Datasphere で SAP SuccessFactors と SAP Concur ソリューションからのデータを統合することで、Snam 社は新しいプラットフォームの利用を人事チームにも広げ、最新のインサイトを活用できるようにしました。
もう 1 つの明らかなメリットは、クラウド運用の俊敏性の向上です。コルチウロ氏は次のように語ります。「クラウドのメリットをすぐに実感できました。ハードウェア管理やシステムサービスコストなどの運用コストの削減に役立つほか、サイバーセキュリティやシステム負債管理などの側面を委任して、リスクを軽減することもできます。さらに、クラウドに移行することで、より拡張性と俊敏性に優れたソリューションが実現します」
将来のエネルギーモデルを特徴付ける意思決定を促進
Snam 社は、財務部門と調達・購買部門全体にわたるデータの透明性とアクセシビリティの向上により、新しいビジネスデータファブリックの利用を他の領域にも拡大できるようになりました。
同社の統合データプラットフォームは、新時代のセルフサービス型のレポート作成機能だけでなく、レポートへのモバイルアクセスのための基盤も提供し、意思決定の俊敏性をさらに高めることが期待されています。
その他のイニシアチブとして、SAP Datasphere への SAP Business Warehouse アプリケーションの移行や、戦略的計画を次のレベルに引き上げる SAP Analytics Cloud の計画機能の検討などが計画されています。
新しい持続可能なソリューションでエネルギー分野の進化を先導する Snam 社は、その革新的なデータおよびアナリティクスランドスケープによって「明日のエネルギー企業」という目標を後押しする意思決定を支え続けるでしょう。