プロジェクトを成功に導くための ERP 導入チームの構成
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新しいERPソフトウェアを導入する際、多くの企業は要件の特定には時間をかけますが、導入推進チームの編成にはあまり時間を割きません。しかし、ERPプロジェクトチームは、プロジェクトの成否を左右する重要な存在です。どのようなチームを組むかによって、計画通りに導入が進むか、途中で停滞してしまうかが決まります。
一見簡単そうに思えますが、導入を成功させるためには、適切なスキルを持った人材を集め、正しい手順に従うことが大切です。ERP導入計画のスタートと同時に、チーム選定も始めましょう。これから紹介する8つのステップは、プロジェクトチームの編成や計画立案、適切な対応策を考える際に役立ちます。
1. IT プロジェクトではないことを認識する
ERP システムは情報技術を基盤としていますが、ERP の導入は単なる IT プロジェクトではありません。ERP システムは企業全体の業務を支える基盤であり、すべての部門が積極的に関与し、協力することが不可欠です。組織全体の十分なサポートがないまま IT 部門だけで導入を進めると、コストのかかる遅延やユーザーの抵抗、不満が発生し、最悪の場合は完全な失敗につながる恐れもあります。
IT 部門は、ハードウェアやソフトウェアの導入(新しいシステムをオンプレミスで導入する場合)を担当します。また、他のデータ系システムや機器(社内外のシステムを含む)との互換性や統合の管理も役割です。しかし、システムの設定に深く関わる新たなビジネスプロセスの策定は、主にシステム利用者の責任となります。
2. 経営陣のコミットメントを確保する
CIOやCTOから導入プロジェクトの承認を得ても、それで終わりではありません。ERPへの投資承認は、あくまでスタート地点です。経営幹部には、大規模なERP導入プロジェクトがもたらす影響を理解し、メンバーが安心してプロジェクトに力を注げるよう、積極的にプロジェクトを支援することが求められます。
経営幹部は、最初のキックオフミーティングから自らのコミットメントを明確に示す必要があります。プロジェクトに継続的に関与し、チームの進捗を見守り、必要に応じてメンバーを励ましましょう。また、経営幹部の関与が不可欠な対立や課題が発生した場合には、最終的な意思決定者としての役割も担う必要があります。
どのプロジェクトでも、他の優先事項によってプロジェクトへの集中が妨げられることがあります。顧客からの要望やトレーニング、競合プロジェクトなどが、チームメンバーの注意をそらす場合も少なくありません。従業員は、経営幹部の明確なコミットメントや、プロジェクトに専念してよいという「承認」がなければ、こうした状況に対抗できません。
3. 適切なプロジェクトチームリーダーを選ぶ
ERPプロジェクトを成功裏に期限内かつ予算内で完了させるには、熱意と知識を持ったプロジェクトリーダーが率いる効果的なチームが不可欠です。チームリーダーには、業務の現場をよく知る人物を選ぶべきです。多くのメンバーが相談でき、会社の事業内容や社内の人間関係、組織構造に精通している人が理想的です。プロジェクトリーダーには部門長を充てることもありますが、必ずしも部門長である必要はありません。できるだけ早い段階でこのリーダーを選出し、チームメンバーの選定にも関与してもらうことが望ましいです。
チームリーダーは、タスクやスケジュール、コスト管理のためのプロジェクト管理ソフトウェアの使い方に慣れていることが望ましいですが、未経験の場合はしっかり学んでもらう必要があります。過去のプロジェクト管理経験があれば役立ちますが、必須条件ではありません。選ばれたリーダーがプロジェクト管理の手法やツールを学べるリソースも豊富に用意されています。
4. ERP 導入チームに適切な人材を選出する
導入チームは、会社の組織構造を反映して構成する必要があります。プロジェクトチームのメンバーには、すべての主要事業部門、特にシステムの主要ユーザーであり、その恩恵を受ける部門の代表者を選出することが重要です。該当する部門としては、組織やシステムの適用範囲に応じて、エンジニアリング、セールス、顧客フィールドサービス、調達・購買、財務・会計、IT、物理プラントと保全、人事などが含まれます。
チームはプロジェクトの計画や編成を担当し、定期的にミーティングを開催して進捗を確認し、発生した課題に対応します。各メンバーは自分の担当分野での業務を調整し、多くの場合、個別のタスクチームを組織してそのリーダーを務めます。各メンバーは、これらタスクの進捗状況をプロジェクトチームに報告します。
プロジェクトチームは通常毎週ミーティングを行いますが、重要な時期や活動が活発な場合は、さらに頻繁に開催されます。Cレベルの経営幹部はチームミーティングへの参加は想定されていませんが、チームリーダーからの定期的なレポートを通じて、すべての導入活動や決定事項を常に把握しておく必要があります。プロジェクトへの熱意や関心を維持するため、会社全体へのステータスレポートの発信も強く推奨されま
5. 構造化された包括的な導入計画プロセスに従う
計画の策定は、プロジェクトが提案された直後の早い段階で行う必要があります。プロジェクト計画は新たな情報が得られるたびに随時見直されますが、各フェーズの開始時には一旦「確定」させることが重要です。その後、追加の変更が必要になる場合もありますが、プロジェクト進行中の変更はできるだけ避けるべきです。プロジェクトの目標が次々と追加・変更される「スコープクリープ」は、プロジェクト成功への最大の障害となり得ます。プロセスの途中で良いアイデアが出てくることもありますが、些細な変更でも進行が遅れたり、計画が逸れる原因となるため、これらのアイデアは次のフェーズに持ち越しましょう。
(将来の)ユーザーコミュニティは、計画の初期段階から参加してもらいましょう。ユーザーコミュニティが重要な理由は、彼らが業務やそのプロセスの「現状」を把握するための主要な情報源であるためです。これは ERP 提案依頼書(RFP)の要件定義部分に記載する必要があります。ユーザーが選定プロセスに関わることで、日常業務の視点からシステムが本当にニーズを満たしているかを判断できます。さらに、仕様策定の初期段階から継続して関与してもらうことで、新しいシステム導入時に起こりがちな変化への抵抗感を和らげる効果も期待できます。
このような ERP 導入と計画のベストプラクティスを実践することで、投資の効果を最大限に高めることができます。
(将来の)ユーザーコミュニティは、計画の初期段階から関与させましょう。
6. プロジェクト計画を追跡する
プロジェクト管理ツールを使って、プロジェクトのスケジュール作成や進捗管理を行います。比較的手頃な価格のプロジェクト管理ソフトも多くあります。これらのソフトウェアを活用することで、スケジュールの設定、必要なリソースの把握、潜在的な競合の特定が可能です。プロジェクト計画全体を入力すると、各タスクや計画の進捗状況が追跡され、遅延(タスクの遅れが他のタイムラインに影響する可能性がある場合も含む)の影響も把握できます。また、このツールは予算と支出の管理も行い、経営層に必要な資金やリソースを常に知らせてくれます。
プロジェクト計画からのズレが見つかった際には、プロジェクトチームは迅速に対応する必要があります。小さな遅延でも早期に解決しなければ、大きな問題につながります。各タスクチームのリーダーは、毎週の会議で進行中プロジェクトの最新状況を他のチームに報告することが求められます。これにより、遅延や中断したタスクをスケジュール通りに戻す方法を見つけることができます。スケジュールの遵守は最も重要です。下流の作業に影響が出るため、計画された活動が遅れないよう注意してください。(計画の重要なタスクやフェーズにはある程度のバッファーを設けても構いません。これらのバッファーを効果的に活用する方法として、エリヤフ・ゴールドラットの「クリティカルチェーン」プロジェクト管理原則の一部を取り入れるのも良いでしょう。)
7. システムのオーナーシップをユーザーに感じてもらう
これは非常に大切な点です。つまり、システム導入を成功させるには、ユーザーコミュニティがそのシステムに対してオーナーシップを持てるかどうかが重要です。ユーザーが初期段階から導入プロセスに関わっていれば、より強い責任感を持つようになります。なぜなら、少なくとも一部は自分たちの意見が反映されて、このシステムが選ばれ、今の形になったという実感があるからです。
どのシステム導入でも、厳しい締め切りや予期しないトラブルが発生することがあります。もしユーザーが自分のシステムだと感じていなければ、問題を深く掘り下げて解決しようとせず、経営層やマネージャー、IT部門、あるいはシステムそのものなど、他人のせいにしてしまいがちです。オーナーシップを促すには、プロジェクトの計画や目標設定に早い段階からユーザーを巻き込むことが大切です。
また、オーナーシップ意識を高めるには「自分にとってのメリット」も重要な要素です。ユーザーは、新しいシステムから得られる使いやすさや利便性、情報の正確性への信頼、組織へのより大きな貢献ができる能力、ストレスや残業、不満の軽減などの利点を理解する必要があります。こうした「ソフト面」のメリットは、ユーザーがシステムを受け入れ、成功へと導くための動機付けとなります。教育やトレーニングは、システムによって日々の業務や成果がどのように改善できるかをユーザーが理解するためのポイントです。
システム導入が成功するかどうかは、ユーザーコミュニティがそのシステムにオーナーシップを持てるかどうかにかかっています。
8. ERP プロジェクトチームの成功を評価する
プロジェクトチームの最終的な有効性は、当然ながら、システム導入を期限内かつ予算内で完了し、成功させることが基準となります。しかし、途中段階での評価基準も同じく重要です。プロジェクト計画は、タイムライン上に配置された多くの相互に関連するタスクと、それぞれに割り当てられたリソースで構成されています。計画が承認された後、チームはすべてのタスクを計画通りに遂行する責任を担います。
各タスクが完了するたびに、それがマイルストーンとなります。各タスクのマネージャーは、時間やリソースの使用状況だけでなく、発生した課題や競合を含む進捗状況を毎週報告しなければなりません。これにより、プロジェクトチーム全体で、必要な是正措置やリソースの再配分を判断できます。中間段階でのすべてのタスク達成は、タスクリーダーおよびそのタスクを含むプロジェクトチーム双方のパフォーマンス評価の基準となります。
ERP ROI(投資回収率)の目標達成も、チームの成果を測る指標です。特にROIの目標が現実的なスケジュールで進捗や継続的な改善を反映している場合は、なおさら重要です。
さらに、プロジェクトチームのコミュニケーションも、直接的な基準ではありませんが、達成度を示す一つの指標となります。チームが会社全体や部門マネージャー、経営幹部に対してプロジェクトの状況をどれだけ適切に伝えられたかを評価します。効果的なコミュニケーションは、プロジェクト成功の重要な要素です。
まとめ
ERPを導入するには、企業全体の協力と支援が不可欠です。プロジェクトチームは導入作業そのものを直接行うわけではありませんが、導入の中心的な役割を担っています。このチームの主な役割は、プロジェクトが完了し成功するまで、計画や管理を行い、協力を促し、企業の意欲を維持し、すべての計画されたタスクと活動が達成されるようにプロジェクトを推進することです。