データ統合:概要、仕組み、種類、現在のトレンド
データ統合では、複数のソースからのデータを組み合わせて、分析と運用のための統一されたビューを作成します。この記事では、その基礎を解説します。
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データ統合の概要
データは、さまざまなアプリケーション、プラットフォーム、環境で生成されます。財務システム、サプライチェーンプラットフォーム、顧客アプリケーション、クラウドサービス、外部データプロバイダーのすべてが、それ自体で価値のある情報を提供しますが、それらを組み合わせてアクセスして使用できるようになると、はるかに強力な情報になります。連携のとれたアプローチがないと、データは断片化したままであり、何を信頼すべきか判断するのが難しく、さまざまなチームやユースケースで一貫性を持って使用するのが困難になります。
データ量の増加とアーキテクチャーの分散化に伴い、データ統合は重要な機能となっています。この機能があれば、手動での照合や分断されたデータパイプラインから脱却し、信頼できるインサイトとデータ主導の結果を得るための基盤を構築することができます。
このページでは、データ統合とは何か、それはどのような仕組みで行われるか、データ統合のさまざまな種類について説明します。また、最新のアプローチによって、リアルタイムアクセス、統合分析、データアーキテクチャーの進化がどのように実現されるかについても説明します。
データ統合とは?
データ統合とは、複数の異なるソースからのデータを組み合わせて、統一感とまとまりのある単一のビューにするプロセスです。データ統合を行うことにより、さまざまなシステム、アプリケーション、環境で、一貫性のある方法でデータにアクセスし、分析し、使用することができるようになります。
具体的には、データ統合においてはトランザクションシステム、分析プラットフォーム、クラウドサービス、外部ソースのデータが接続されます。フォーマット、構造、ビジネス上の定義を統一することで、さまざまなユースケースで情報を信頼し、再利用することができるようになります。
適切に設計されたデータ統合アプローチを使用すると、データサイロが解消され、データ品質が向上し、分析と運用のプロセスのための信頼できる基盤が生まれることになります。断片化したデータセットや一貫性のないデータセットで作業するのではなく、統合されたデータに基づいてレポート、予測、意思決定をサポートできるようになります。
データ統合のメリット
データ統合は、組織全体のデータ管理戦略の重要な要素です。データ統合によって、企業全体で適切な情報を提供できるようになります。また、高品質の製品やサービスを効果的かつ効率的に提供するという企業の目標をサポートする活動と意思決定を適切に連動させることで、チームをまとめることができます。
企業全体でデータが収集された後、クレンジングと検証が行われ、エラーや不整合がないことが確認されます。これらの作業を経た後で、調和のとれたデータ管理アプローチを使用して複数のデータセットにわたってデータを統合、管理できるようになります。このような状態はデータファブリックと呼ばれます。データファブリックでは、すべてのデータを単一のリポジトリーに統合することなく、システム間でデータを接続し、ガバナンス、分析、リアルタイムアクセスをサポートします。
統合データの包括的で正確なソースが存在することにより、企業が競争力を維持するために欠かせない革新的なプロセスとテクノロジーがサポートされます。人工知能、機械学習、インダストリー 4.0 などの取り組みで信頼性の高い結果を得るには、一貫性のある統合されたデータが必要です。
データ統合が行われないと、さまざまなアプリケーションやプラットフォームで情報のサイロ化が続くことになります。そのような状態では、業務効率と戦略的意思決定のいずれにおいても制約が生じます。例えば、制約のあるデータセットから得られた不完全または不正確な分析に基づいて、重要なビジネス上の意思決定が行われてしまう可能性があります。
データ統合の仕組み
データ統合は、ソースシステムからデータを収集し、必要に応じて変換し、ターゲットシステムに送り、分析または運用のために使用できる状態にするという仕組みです。
従来型のデータ統合アプローチは、多くの場合 ETL(抽出、変換、ロード)のプロセスに依存します。ETL では、ソースシステムからデータが抽出され、ビジネスルールに従って変換されてから、データウェアハウスなどのターゲットシステムにロードされます。
より新しいアプローチでは、ELT(抽出、ロード、変換)の使用が増えています。ELT では、最初に生のデータがターゲット環境にロードされ、その後、その環境の処理機能を使用して変換が適用されます。このアプローチは、クラウドベースのアーキテクチャーでは一般的です。
モダンなデータ統合には、API やリアルタイムのデータ取り込みも組み込まれています。API によって、アプリケーションはデータを直接交換できるようになり、ストリーミングとイベントベースの統合において継続的なデータ更新がサポートされるようになります。これらの手法は、従来型のバッチ処理とともにリアルタイム分析やレスポンシブなアプリケーションをサポートするのに役立ちます。
データ統合プロセスの全体像
通常、データ統合プロセスには、複数のソースからデータを収集すること、ビジネスルールに合わせて変換を適用すること、分析または運用できる環境にそのデータを提供することが含まれます。このプロセスを図にすると、統合パイプラインを通じてデータがどのように移動するかを把握しやすくなります。
データソースから ETL、ビジネス上の意思決定を支援するアナリティクスまでのデータ統合プロセスを示す図
データ統合の種類
データ統合にはさまざまな種類があり、その選択はデータのソース、フォーマット、分量、データにアクセスする頻度や更新する頻度に応じて異なります。
- 一括またはバッチでのデータ移動:最も一般的なデータ統合のスタイルであり、スケジュール設定されたデータの抽出、変換、ロードが含まれます。通常、バッチ統合はレポートや過去データの分析で使用されます。または、ほぼリアルタイムの更新が不要なシナリオで使用されます。
- データレプリケーション:変更されたデータのみを転送することで、あるデータベースから別のデータベースにデータをコピーします。レプリケーションは、システムの同期を維持するのに役立ち、多くの場合、可用性、冗長性、ダウンストリーム分析をサポートするために使用されます。
- データ仮想化:データ仮想化は、仮想抽象化レイヤーを使用して、複数のソースに存在するデータの単一の論理ビューを提供します。このアプローチでは、場所、ソースシステム、フォーマットに関係なく、あるいはデータを物理的に移動することなく、データにリアルタイムでアクセスすることが可能になります。
- ストリームデータ統合:この種類の統合は、継続的なフローやストリームでデータが生成され、処理や変換をリアルタイムで実行する必要がある場合に使用されます。ストリーム統合では、イベント処理、モニタリング、リアルタイム分析などのユースケースがサポートされます。
- メッセージ指向のデータ移動:アプリケーション間で交換されるメッセージとしてデータがグループ化されます。多くの場合、これはリアルタイムで行われます。メッセージ指向の統合では非同期通信がサポートされ、多くの場合、システムを分離しながらタイムリーなデータ交換を可能するために使用されます。
- API ベースのデータ統合:API により、アプリケーションやサービスは標準化されたインターフェースを通じて直接データを交換できるようになります。一般的には、API ベースの統合は、アプリケーション間シナリオ、リアルタイムのデータアクセス、イベント駆動型アーキテクチャーをサポートするために使用されます。
- ハイブリッドデータ統合:ハイブリッド統合は、オンプレミス環境とクラウド環境にわたって複数の統合アプローチを組み合わせたものです。この種類の統合は、分散したランドスケープを持つ企業でよく使用されており、データが存在する場所に関係なく、複数のシステムにわたって一貫性のあるデータアクセスを可能にします。
課題は、自社のランドスケープやビジネスニーズに適したデータ統合のスタイルを選択することです。ほとんどの企業では複数のアプローチを使用することになります。これらの統合手法を一貫性のある戦略に組み込む方法を理解することは、スケーラブルで適応性の高いデータアーキテクチャーを構築する上で不可欠です。
統合されたデータと分析のレイヤーのメリット
統合されたデータと分析のレイヤーとは、組織のデータランドスケープ全体で一貫性を持って統合データにアクセスし、分析し、使用できるようにするためのアプローチを指します。このアプローチによって、分断されたデータコピーや孤立したレポート環境に依存することなく、分析と意思決定のための共有の基盤がサポートされます。
統一されたレイヤーから作業することで、一貫性のあるデータ定義とビジネスコンテキストに基づいて分析、レポート、計画が行われるようになります。これにより、チーム間の不一致が削減され、インサイトに対する信頼性が向上し、部門間や地域間で結果を比較するのが容易になります。
統一されたデータと分析のレイヤーによって、再利用とスケーラビリティもサポートされます。ユースケースごとにデータパイプラインや分析モデルを再作成するのではなく、共有のデータ資産に基づいて構築し、インサイトの提供を加速させながら、重複や複雑さを軽減することができます。
重要なのは、このアプローチでは、すべてのデータを単一のシステムに物理的に統合することを必要としているわけではないということです。データ統合においては、現在データが存在する場所でデータにアクセスできるようにしながら、企業全体で一貫性のある分析ビューをサポートします。
データ統合のライフサイクルとアーキテクチャー
構造化されたデータ統合のライフサイクルは、大きな規模で複雑さを管理し、データ品質を維持するのに役立ちます。一般的なライフサイクルには以下が含まれます。
- 計画:統合の目標、データソース、ターゲットアーキテクチャーを定義します。
- マッピング:ソースのデータ構造とターゲットのデータ構造の間の関係を識別します。
- 取り込み:バッチ、ストリーミング、または API ベースのメソッドを使用して、ソースシステムからデータを収集します。
- 変換:ビジネスルール、リッチ化、フォーマットを適用します。
- 検証:データの品質、完全性、正確性をチェックします。
- カタログ化:メタデータ、リネージ、オーナーシップをドキュメント化します。
- モニタリング:継続的にパフォーマンス、信頼性、データの鮮度を追跡します。
これらのステップを組み合わせることで、スケーラブルで統制されたデータ統合アーキテクチャーがサポートされます。
SAP 製品
信頼できる分析データレイヤーの構築
ビジネスコンテキストを使用してデータをモデル化、リッチ化し、アクセスできるようにすることで、データの移動や複製を行わずに信頼性の高い分析を提供できるようになります。
データ統合のトレンドとテクノロジー
今日のビジネス環境でレジリエンスと俊敏性を確保するには、データの価値の変革と活用が中心的なテーマとなります。多くの組織がデジタルトランスフォーメーションを追求し、新しいテクノロジーを導入していく中で、データ統合も進化し続けています。従来のデータ統合アプローチを拡張することによって、複雑さを管理したり、高度なアナリティクスと AI 主導のユースケース向けにデータを準備したりできるようにするのが新しいトレンドです。
データオーケストレーション
ビジネス環境の分散が進むにつれ、データソースが増大し、データの種類の多様性が高まります。そうした中で、多くの組織は、大量のデータをより効果的に管理するためにデータオーケストレーションへの転換を進めています。
データオーケストレーションでは、従来型の ETL だけではなく、より幅広く包括的なデータ統合のアプローチが採用されます。オンプレミスシステム、クラウド環境、外部ソースから多くの種類のデータ(構造化データ、非構造化データ、ストリーミングデータなど)を取得し、それらの統合、リッチ化、変換を適切に連動させていきます。データオーケストレーションは、多くのシステムやプロセスが含まれるデータフローを管理することで、大規模なデータ統合に関連する複雑さとコストを削減しながら、より有意義なインサイトを生成できるようにします。
データファブリック
近年、従来型のデータ統合手法は、データランドスケープの拡大に対応するのに苦労しています。データソースの複雑化、接続の制約、アーキテクチャーの断片化などの課題により、統合を大規模に管理するのが難しくなっています。
データファブリックは、より俊敏で回復力のあるデータ統合アプローチを提供することで、これらの課題に対処します。データファブリックでは、メタデータ、自動化、インテリジェントプロセスを使用することで、統合ワークフローとパイプライン全体の複雑さを最小限に抑えることができます。このアプローチを採用することにより、環境全体でデータをより動的に接続し、ガバナンス、一貫性、適応性を向上させることができます。
ハイブリッドデータ統合
現在、多くの企業が、クラウドベースのシステムとオンプレミスシステムの両方を含むハイブリッド環境を運用しています。通常、それらのシステムで生成されるデータは、多くのアプリケーション、プラットフォーム、場所に分散しているため、アクセスと整合性に関する課題が発生します。
ハイブリッドデータ統合を行うことで、データが存在する場所に関係なく、これらの環境全体でデータの接続、アクセス、共有が可能になります。ハイブリッドアプローチは、クラウドシステムとオンプレミスシステムの間の統合をサポートすることで、柔軟性を維持しながら、分析、運用、アプリケーションの全体を通じて一貫性を持ってデータを使用できるようにします。
包括的な統合
急速に変化する現代のデジタル経済において、ビジネスの俊敏性は戦略的優先事項です。俊敏性を実現するには、1 つの領域に焦点を当てた孤立した統合ではなく、より大きなアプローチが必要です。
統合に対する包括的なアプローチにより、データ統合とアプリケーション統合が統一された戦略に組み込まれます。統合を個別の分野ではなく包括的な機能として扱うことで、ハイブリッドランドスケープ全体であらゆる形態の統合をサポートすることができます。この包括的な視点により、システム、プロセス、データ間の連携が向上し、より効果的に変化に対応できるようになります。
データ統合と AI
AI の取り組みは、正確で適切に統合された大量のデータへのアクセスに依存します。一貫性のある信頼性の高いデータ基盤がないと、AI モデルとアプリケーションは有意義な成果を上げるのに苦労します。
データ統合は、AI のためのデータを準備する上で重要な役割を果たします。それは、複数のシステムの情報を組み合わせ、フォーマットと定義を調整し、データ品質を確保することによって行われます。AI は統合されたデータを活用することによって、より幅広い多くのことを表す入力から結果を引き出せるようになり、結果の妥当性と信頼性が向上します。
アナリティクス、オペレーション、意思決定で AI を導入する際には、データ統合によってガバナンスと透明性もサポートされます。統合においては、システム間をデータが移動していく際にリネージ、コンテキスト、コントロールが維持されます。これにより、責任を持って AI を大規模に適用することができます。
このように、データ統合は AI に不可欠なイネーブラーとして機能します。データ統合は、高度なアナリティクス、自動化、インテリジェントアプリケーションをサポートするのに必要な信頼できるデータ基盤を提供します。
データ統合のユースケース
企業が生み出したデータを統合して利用すれば、ビジネスに役立つリアルタイムのインサイトを構築できます。さまざまな地域、またはさまざまなビジネスユニットで事業を展開する組織は、事業全体にわたるビューを統合することにより、何が機能しているか、何が機能していないか、どこで問題が発生しようとしているかを把握することができます。
ビジネスの統一されたビューがあると、複数のシステムやプロセスの中での原因や影響を理解しやすくなります。統合されたデータを活用することによって、迅速に対応し、リアルタイムでコース修正を行い、事業運営のリスクや戦略に関するリスクを軽減できます。
データ統合により、次のことが可能になります。
- 分析の最適化:業務システムのデータにアクセスし、それらのデータをキューに入れたり抽出したりして(これはデータウェアハウジングとも呼ばれます)、信頼できる分析に変換します。複数のソースのデータを統合することで、レポートの精度を高め、さまざまな部門でより有意義な分析を行えるようになります。
- 業務アプリケーション間での一貫性の向上:企業内の複数のアプリケーションを通じて、または組織の境界を越えて、データベースレベルの一貫性を確保します。データ統合によって一方向と双方向の両方のデータフローがサポートされ、整合性のある最新の情報に基づいてアプリケーションが運用されます。
- 社外とのデータ共有:顧客、サプライヤー、パートナーなどの外部関係者に対して、統制された信頼できるデータを提供します。統合データにより、外部とのやりとり全体で正確性、セキュリティ、透明性を維持しながら、制御されたデータ共有がサポートされます。
- データサービスのオーケストレーション:必要に応じてアプリケーションやプロセスからアクセスできる再利用可能なデータサービスとして、実行時データ統合機能をデプロイします。このアプローチは、業務シナリオでデータが消費される際にスピード、正確性、整合性を確保するのに役立ちます。
- データの移行と整理統合のサポート:移行と整理統合の取り組みの際に、データの移動や変換のニーズに対応します。一般的なシナリオとしては、レガシーシステムの置換、マージ後のアプリケーションの整理統合、ビジネスコンテキストを保持しながらデータを新しい環境に移行することなどが挙げられます。
データ統合の歴史
ビジネスシステムが最初に情報収集を開始したときからずっと、さまざまなソースからのデータの結合が課題となっています。コンピューター科学者が異種データベース間の相互運用性に対応したシステムの設計に着手したのは、1980 年代初めになってからのことでした。
最初の大規模データ統合システムの一つとして、ミネソタ大学が 1991 年に何千もの人口データベースの相互運用を可能にすることを目的に開発したものが挙げられます。そのシステムはデータウェアハウスのアプローチを採用していました。このアプローチでは、異なるソースからデータを抽出し、変換し、共通のスキーマにロードすることで、データをまとめて活用できるようにすることを目指していました。
それから多くの年月が経ち、新たな課題が出てきました。多くの組織が、データ品質、データガバナンス、データモデリングに関連する問題に直面しました。特に、複数のシステムで情報がサイロ化することによるデータの孤立化の問題は大きなものでした。
2010 年代初めになると、モノのインターネット (IoT) の登場により、データの統合はビジネスに不可欠なものとなりました。デバイス、アプリケーション、プラットフォームの種類が急速に拡大し、大量のデータが生成されるようになりました。ビッグデータが主流となり、多くの組織では、収集した情報を管理して価値を引き出す新しい方法を必要としていました。
現在、あらゆる規模、あらゆる業種の企業が、企業全体のアプリケーションやプラットフォームに保存されているデータから価値を引き出すために、データ統合を行っています。
FAQ(よくある質問)