デジタルワークプレイスとは?
デジタルワークプレイスとは、テクノロジー、人、ビジネスプロセスを結びつけて、組織内のコミュニケーション、コラボレーション、生産性を促進するバーチャルな作業環境です。
デジタルワークプレイスとデジタルワークスペースの違い
デジタルワークプレイス(DWP)とは、業務プロセスをデジタル化させ業務に必要なリソースやソフトウェアにアクセスし、業務プロセスを効率的に遂行するための作業環境と生産性向上の方法を指します。
また、デジタルワークプレイスはクラウドコンピューティングなどのテクノロジーによって実行され、対面式のオフィスでは実行できないコラボレーションが従業員と実現することができます。近年では、多くの企業がクラウドストレージやビジネスチャット、オンライン会議システムなどといったクラウドツールを活用し、あらゆる業務をデジタルシフトし、生産性の向上を実現しています。
デジタルワークプレイスを深掘りする
コア機能、ビジネスへの影響、タレントマネジメントへの影響、新たなトレンドに焦点を当てて、デジタルワークプレイスについて深掘りします。
技術インフラストラクチャー
クラウドサービス:クラウドサービスは、デジタルワークプレイスの基盤を築き、アプリケーションのホスティングやデータ分析などに必要なスケーラブルで柔軟なリソースを提供します。また、クラウドサービスはリモートでのデータの保管、アクセス、管理を容易にし、チームのコラボレーションや、場所を問わない作業を可能にします。
SaaS プラットフォーム:SaaS (Software as a Service) プラットフォームは、デジタルワークプレイスには欠かせない要素です。SaaS型ツールは、セキュリティやスケーラビリティに加え、ビデオ会議、チームのコミュニケーション、IT サービス、業務の効率化、オンデマンドのコラボレーションなど、さまざまな用途のアプリケーションへのアクセスを提供します。
カスタムソフトウェア:多くの組織は、特にフィールドワーカーやデスクのない従業員など、従業員の固有のニーズに合わせたカスタムソフトウェアに投資しています。このソフトウェアは、既存のシステムとシームレスに統合し、既製のソフトウェアでは提供できない独自の機能を提供するように設計されており、企業は競争優位性を獲得することができます。
ワークフローとプロセス
プロセスと業務のデジタル化:進化する市場要件に対応するために、企業はプロセスと業務を継続的に改善する必要があります。業務に対し、迅速に対応し、改善し、完了することがビジネスユーザーにますます求められるようになっています。デジタルワークプレイスによって、企業はプロセスをシンプル化するツールやテクノロジーを手に入れて、従業員が業務を迅速に遂行できるよう支援することができます。
従業員のコラボレーション:プロジェクトチームは、デジタルワークプレイスを活用して、チームメンバーと積極的に関わり、成果物の状況や期限について議論を交わすことがよくあります。プロジェクト管理ツールがあれば、プロジェクトのタイムライン設定、リソースの割り当て、プロジェクト期間全体の進捗管理が容易になります。
フィードバックの仕組み:デジタルワークプレイスにおけるフィードバックの仕組みは、従業員エンゲージメントプラットフォームやパフォーマンス管理システムなどのツールによって、うまく機能するようになります。これらのツールは、オープンなコミュニケーションを維持し、改善と評価の企業文化を育む上で欠かせない継続的なフィードバック、パフォーマンスレビュー、従業員サーベイを提供します。
AIと自動化の役割
タスクの自動化:AI を活用したツールは、スケジュール管理やデータ入力、カスタマーサービスの特定の業務など、反復的な業務を自動化するのに使われます。このようなツールによって、定型業務に費やす時間が大幅に短縮されるため、従業員はより複雑で創造的な業務に集中できるようになります。
データ分析:人工知能は、大量のデータセットを分析して実用的なインサイトを抽出する上で重要な役割を果たします。AI アルゴリズムは、トレンドを特定し、結果を予測し、データ主導型の戦略的意思決定を支援することができます。
カスタマーサービスの強化:カスタマーサービスの分野では、AI と自動化によって企業の顧客対応が根底から変わりつつあります。チャットボット、コパイロット、仮想アシスタント、自動サポートシステムによって、迅速で効率的なカスタマーサービスが提供されるため、カスタマーエクスペリエンスが向上し、従業員の作業負荷が軽減されます。
デジタルワークプレイスの仕組み
デジタルワークプレイスは、技術インフラストラクチャー、ワークフローとプロセス、AI と自動化の組み合わせによって機能します。
コア機能
リモートワーク:デジタルワークプレイスは、生産性の高いリモートワークを確立する基盤となります。先進的なテクノロジー、コラボレーションプラットフォーム、クラウドベースのソリューションを集約して、デジタルワークプレイスは従業員がどこにいても業務を遂行できるようにボーダーレスな環境の構築を促進します。また、サイバーセキュリティを組み込むことで、機密情報を保護し、データセキュリティに関する懸念に対処することもできます。デジタルワークプレイスの目標は、リモートワークの支援に留まらず、今日の業務環境における柔軟性、コラボレーション、生産性を改善して、リモートワークを充実させることです。
コミュニケーションとコラボレーション:デジタルワークプレイスは、コミュニケーションとコラボレーションを促進するように設計されています。デジタルワークプレイスは、従来のメールを超越したクラウドベースのプラットフォームであり、ビジネスチャットやビデオ会議、ソーシャルネットワーキングにアクセスできる共有デジタルスペースとして機能します。チームメンバーはドキュメントやプロジェクトにリアルタイムでアクセスし、編集することができるため、地域やタイムゾーンが違っても、物理的な場所に捉われることなくシームレスに連携し、共通の目的意識と一体感を育むことができます。
自動化:自動化は重要な機能であり、会議のスケジューリングからワークフローの管理まで、定型業務を処理するソフトウェアの使用を伴います。自動化ツールによって、作業効率が向上し、管理業務の負担が軽減されるため、従業員はより戦略的で創造的な業務に集中することができます。
モバイルの柔軟性:デジタルワークプレイスは、ビジネスの最前線で働くデスクのない従業員のニーズに応えます。例えば、顧客の施設で設備の設置、保守、アップグレードなどを行うフィールドワーカーが良い例です。フィールドワーカーは、デジタルワークプレイスにアクセスすることで、ノート PC やタブレット、電話などのモバイルデバイスで必要な情報にアクセスしたり、作業指図を完了したり、関連情報を検索したり、フロントオフィスとコミュニケーションをとったり、作業完了後にステータスを更新したりすることができます。
ビジネスへの影響
ビジネスの俊敏性:デジタルワークプレイスによって、企業は俊敏性を高め、市場の変化や顧客のニーズにすばやく対応できるようになります。デジタルツールを使えば、迅速な意思決定と業務遂行が可能になります。これらは、急速に変化するビジネス環境では不可欠な要素です。
データ主導型の意思決定:デジタルワークプレイスによって、高品質な統合データにすぐにアクセスできるため、従業員の生産性から顧客の好みまで、あらゆる情報を把握できるようになります。こうしたデータを活用することで、企業は情報に基づいてビジネス上の戦略的意思決定を行い、自社のサービスや製品を市場の需要に合うように効果的に調整することができます。
セルフサービスによる効率化:デジタルワークプレイスによって、従業員は情報やリソースを簡単に入手できるため、ビジネス上の問題に対する解決策をすばやく見つけ出し、各自のニーズに最適な方法で業務を管理できるようになります。
スキル開発:デジタルワークプレイスでは、特にデジタルリテラシーやソフトスキル(コミュニケーション、コラボレーション、業務の生産性、効率性など)において、継続的な学習とスキル開発が必要です。今日のデジタル主導の職場環境でキャリアアップを図るには、こうした分野のスキルアップが欠かせません。
雇用機会:デジタルワークプレイスの拡大により、特にリモートワークや柔軟な職務など、さまざまな業務に就くチャンスが生まれます。専門スキルを持つ従業員は、地理的な境界線に縛られることなく、グローバルなポジションにアクセスできるため、キャリアパスと成長機会が大幅に多様化します。
人材パイプラインの拡大:デジタルワークプレイスによって、企業は人材パイプラインの充足を図る際に、幅広く人材募集をかけることができます。どこからでも働ける人材を採用・契約できるため、グローバルな視点で適材適所の人材を見つけられます。
新たなトレンド
人工知能 (AI):カスタマーサービスを支援するチャットボットから、戦略的なインサイトを得るためにデータを分析するアルゴリズムに至るまで、AI のデジタルワークプレイスへの統合がますます進んでいます。複雑な業務を自動化し、ディープラーニングによるインサイトをもたらす AI 機能は、デジタル領域におけるビジネスの運営方法を変革しつつあります。
自動化:自動化ツールをデジタルワークプレイスに組み込めるため、ビジネスユーザーはプロセスの更新通知を受け取って、業務をすぐに実行できるようになります。例えば、デジタルワークプレイス内で繰り返し行われる業務やプロセスの自動化に、ロボティックプロセスオートメーション (RPA) やソフトウェア「ボット」などが使用されています。想定される業務は、データ入力や請求書処理から、承認ワークフロー、IT サービスの提供にまで及びます。
統合:デジタルワークプレイスは、重要なビジネスアプリケーションや企業データへの共通アクセスポイントとして機能します。プロジェクト管理、コミュニケーション、コラボレーションのためのアプリケーションやデータの統合を支援することで、デジタルワークプレイスはさまざまなシステムからのシームレスなデータアクセスを可能にし、組織全体で一貫性のある最新情報を確保します。
デジタルワークプレイスの構成要素
デジタルワークスペースの構成要素には、テクノロジースタック、働き方の文化、バーチャルへの移行などがあります。
テクノロジースタック デジタルワークプレイスのテクノロジースタックには通常、データ、プロセス、コンテンツ、アプリケーション、アナリティクス、ユーザー管理、ライフサイクル管理、セキュリティ、ガバナンスなどが含まれます。これらの機能によって、リモートワーク、リアルタイムのコラボレーション、高度なデータの一貫性とセキュリティが実現します。
働き方の文化 デジタルワークプレイスは、柔軟性、自律性、継続的な学習を重んじる文化を育みます。プロセスよりも成果を重視し、イノベーションと俊敏性を奨励します。この文化は、信頼を基盤としたアプローチによって支えられており、従業員は多くの場合、非同期で独立して仕事を管理することができます。
バーチャルへの移行 デジタルワークプレイスにおいて、物理的なオフィスはもはや仕事の中心ではありません。代わりに、デジタルツールやプラットフォームを特徴とするバーチャルスペースが主な作業スペースとなったため、従業員が同じオフィスで一緒に働く際のように、コミュニケーションやコラボレーションをリアルタイムで行えることへの期待が高まっています。こうした変化により、従業員と雇用者の双方にとって、デジタルリテラシーと適応力の重要性が浮き彫りになっています。
デジタルワークプレイスの重要性
ビジネスの継続性、競争優位性、従業員エクスペリエンス向上の観点から、デジタルワークプレイスは重要な意味を持ちます。
ビジネスの継続性
適応力・回復力:新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックから明らかなように、企業が事業を継続する上でデジタルワークプレイスは重要な役割を果たしました。このことから、デジタルインフラストラクチャーにはリモートワークやハイブリットワークを支える力があり、ビジネスの継続性の確保につながるということが実証されました。適応力と回復力の強化を支援することで、デジタルワークプレイスは生産性とサービス提供を維持しながら、より効果的に変化に適応することができます。
危機管理:デジタルワークプレイスは、自然災害から景気後退まで、さまざまな危機シナリオに対応する堅牢なソリューションを提供します。そのため、企業は業務をすばやく調整し、業務の中断を最小限に抑えることができます。デジタルワークプレイスの特徴である俊敏性と柔軟性により、危機管理に欠かせない迅速な意思決定とリアルタイムのコミュニケーションが可能になります。
競争優位性の獲得
市場におけるリーダーシップ:デジタルワークプレイスを採用することで、企業は市場のリーダーとしての地位を築くことができます。また、デジタルツールやデジタル化によって培われた俊敏性と革新性により、企業は市場のトレンドや顧客のニーズにすばやく対応することができます。このような即応性は、多くの場合、競争の激しい業界では重要な差別化要因となります。
イノベーション:デジタルワークプレイスは、イノベーションが生まれる土壌です。地理的な障壁や流通上の障壁を打ち破ることで、アイデアが自由に飛び交い、コラボレーションが自然に生まれるような文化を醸成します。このような環境は、イノベーションを促進し、企業がそれぞれの市場で常に優位に立つための新製品やサービス、ソリューションを開発する原動力となります。
コスト削減:デジタルワークプレイスは、リモートワークの文化を実現して、必要なオフィススペースを縮小しながら、新入社員のオンボーディングにかかるコストを大幅に削減します。
従業員エクスペリエンスの向上
ワークライフバランス:デジタルワークプレイスの最も大きな文化的影響の 1 つは、ワークライフバランスにあります。勤務時間や場所の柔軟性は、従業員のライフスタイルバランスの改善につながります。しかし、仕事と私生活の境界があいまいになるなどの課題もあるため、慎重な管理と文化的感受性が求められます。
柔軟性:デジタルワークプレイスを利用することで、従業員は自身のニーズに最適な方法で働く機会が増えます。ビジネス分析、業務の遂行、コラボレーション、チーム管理のための作業ツールを一元化することで、デジタルワークプレイスは従業員に時間と場所を選ばず働ける柔軟性を提供します。また、生産性・自律性の維持に必要なツールにすばやくアクセスしたいという従業員の要望にも応えます。
デジタルワークプレイスの優位性とメリット
デジタルワークプレイスの優位性とメリットには、コスト削減、柔軟性と生産性、人とチームのエンゲージメントなどがあります。
コスト削減
間接費: デジタルワークプレイスの最も具体的なメリットの 1 つは、間接費の削減です。ここには、オフィススペース、光熱費、事務用品などの節約が含まれます。リモートで働く従業員の増加に伴い、企業は物理的なオフィススペースを縮小したり、ハイブリッドモデルを採用したりできるため、大幅なコスト削減につながります。
リソースの最適化:デジタルワークプレイスによって、リソースの最適化が進みます。クラウドコンピューティングと SaaS プラットフォームにより、高価なハードウェアやソフトウェアを購入する必要性が軽減されます。さらに、デジタルツールは要員管理の最適化に役立ち、リソースが効率的かつ効果的に使用されるようになります。
柔軟性と生産性
リモートワーク:デジタルワークプレイスはリモートワークを容易にします。そのため、従業員は各自最適な場所で柔軟に働くことができます。この柔軟性によって、仕事の満足度が高まり、生産性の向上につながります。
非同期型コラボレーション:デジタルワークプレイスの特徴である非同期型のコラボレーションにより、さまざまなタイムゾーンのチームメンバーが効果的にコラボレーションできます。このようなコラボレーションは、生産性を向上させるだけでなく、従業員それぞれの仕事のリズムやライフスタイルを尊重し、よりインクルーシブな職場文化づくりの一助となります。
実際のユースケースと事例
デジタルワークプレイスの実際のユースケースと実例は、さまざまな場面で見られます。その一部を以下でご紹介します。
ユースケース
グローバルチームの統合:あらゆるタイムゾーンのあらゆる場所で働いている従業員が、情報の検索、複雑なプロセスの実行、コンテンツや知識の共有をセルフサービスで行う手段をデジタルワークプレイスは提供します。コミュニケーション、コラボレーション、プロジェクト管理にデジタルのセルフサービスツールを活用することで、グローバル企業は大陸を超えた多様なチームをより効果的に管理することができます。
機動性の高いフィールドワーカーのイネーブルメント:デジタルワークプレイスは、フィールドワーカーにとって理想的です。デジタルワークプレイスによって、フィールドワーカーは情報やリソースにアクセスして、作業をスピーディに完了し、本社と連携して問題を解決し、実施した作業をすべて文書化し、進捗状況の追跡とパフォーマンス分析のための記録システムを更新することができます。
デスクのない従業員の機動性:デジタルワークプレイスは、大箱店舗を回る小売業者、病院の医療従事者、作業現場の建設作業員など、常に移動して働く従業員にとって理想的です。このような従業員は情報やコラボレーションツールにアクセスすることで、1 日中つながりを保ち、生産性を維持することができます。
サプライヤーポータル:デジタルワークプレイスを拡張し、サプライヤーポータルを構築して、サプライヤーとのコミュニケーションとコラボレーションの一元化、ドキュメントの共有と管理、アクセス制御とセキュリティ、アナリティクスとレポート作成、サプライヤーとのやり取りを合理化するための自動化を支援することができます。
危機管理:自然災害やパンデミックの際に見てきたように、危機管理にはデジタルワークプレイスが不可欠であることが証明されています。物理的な障壁があっても、企業はデジタルワークプレイスによって業務を維持することができます。実際、デジタルツールを使って復旧作業を調整し、危機発生時もリモートチームを管理してきました。
カスタマーエクスペリエンス管理:デジタルワークプレイスによって、従業員はどこからでも企業の重要な情報にアクセスできます。そのため、企業は世界中に分散するチームを活用して、24 時間 365 日体制でカスタマーサポートを提供することができます。また、デジタルワークプレイスを活用して、顧客対応プロセスを自動化し、ターゲットを絞ったキャンペーン、パーソナライズされたコミュニケーション、顧客の好みに基づいてカスタマイズされたサービスによって、カスタマーエンゲージメントをパーソナライズすることもできます。
各業種の事例
ハイテク:ハイテク業界では、デジタルワークプレイスがほぼデフォルトになっています。コラボレーションやイノベーション、コミュニケーションにさまざまなデジタルツールが使用されています。ハイテク企業の中には、ワークプレイスを効率性と創造性のモデルと捉えている企業もあり、作業プロセスの効率化を図るために自社製品を活用することも少なくありません。
医療機関:デジタルワークプレイスが医療に変革をもたらした例としては、遠隔医療、デジタル記録、遠隔患者モニタリングなどが挙げられます。病院や診療所は、患者のケアや管理機能をデジタルシステムに頼っており、医療システム担当者は、各自のデスクトップや電話からバーチャル診察予約や電話予約を設定できるようになりました。これにより、効率も治療効果も改善されています。
教育:教育現場におけるデジタルワークプレイスへの移行は、特に e ラーニングやバーチャルクラスルームの台頭とともに、劇的に進んでいます。教育機関の中には、オンラインコースやデジタルコラボレーションプラットフォームを提供して、リモート学習や教育へのグローバルなアクセスを可能にしている所もあります。こうした移行により、教育機関の対象範囲が広がるだけでなく、学習方法が多様化しています。
デジタルワークプレイスの種類
デジタルワークスペースの種類は、一方では機能の問題、他方では規模と複雑さによって異なります。
機能
完全リモート:完全リモートのデジタルワークプレイスは、全従業員がこれまでのオフィス以外の場所で働く組織のことです。このようなデジタルワークプレイスでは、デジタルでコミュニケーションやコラボレーションを図るためのプラットフォームをフル活用して、物理的なオフィススペースがなくても生産性を高め、従業員の満足度を維持しています。
ハイブリッド:ハイブリッド型デジタルワークプレイスは、出社勤務とリモートワークを組み合わせたものです。多くの場合、個人の好みや業務の必要性に応じて、従業員は在宅勤務と出社勤務を柔軟に選ぶことができます。このモデルは、コラボレーションやミーティング用に物理的なオフィススペースを確保しながら、柔軟性を提供できるため、特にハイテク企業で普及が進んでいます。
同一拠点で勤務しつつデジタルを活用:同一拠点で勤務しつつデジタルを活用するタイプのデジタルワークプレイスでは、従業員は主にオフィスで働きますが、デジタルのツールやプラットフォームを日常業務に全面的に利用します。このような形態は、実際に出社する必要はありながらも、デジタルを使って業務を効率化したい業種では一般的なモデルです。例えば、デザイン、計画、コラボレーションにデジタルツールを使用するデザインスタジオやエンジニアリング会社などがあてはまります。
規模と複雑さ
スタートアップ企業:スタートアップ企業は、俊敏性と費用対効果の維持にデジタルワークプレイスを採用することがよくあります。デジタルツールによる柔軟性とスケーラビリティのメリットを活かして、スタートアップ企業は迅速に成長し、変化に対応しています。クラウドサービスやコラボレーションツールの利用は、その効率性と統合の容易さから、スタートアップ企業に広まっています。
中堅・中小企業 (SME):デジタルワークプレイスを活用すれば、中堅・中小企業は大企業と対等に渡り合えます。デジタルツールを導入することで、業務の効率を高め、市場を拡大し、カスタマーエンゲージメントを向上させることができます。しかも、投資額を比較的抑えられる傾向にあります。
大企業:大企業はデジタルワークプレイスを活用して、複雑な業務やグローバル要員を管理しています。エンタープライズリソースプランニング (ERP) システムや CRM システムなど、高度なデジタルソリューションを統合して、プロセスを合理化し、意思決定を改善しています。多くの場合、大企業はデジタルワークプレイスインフラストラクチャーの管理・最適化を行う専任チームを擁しています。
デジタルワークプレイスの活用方法
デジタルワークプレイスのメリットを最大限に活用するには、テクノロジーや文化、組織的なプロセスを網羅する戦略的かつ包括的なアプローチを採用することが重要です。デジタルワークプレイスのメリットの最大化に向け、検討すべき重要なポイントをいくつかご紹介します。
トレーニングに投資する:デジタルリテラシーのトレーニング、コラボレーションツールのワークショップ、デジタル環境に関連する分野のスキルアップなどによって、デジタルワークプレイスがもたらすメリットを最大化できる人材を育成できます。
コラボレーションとコミュニケーションの文化を育む:オープンなコミュニケーション、知識の共有、チームワークを奨励する企業は、デジタルワークプレイスを最大限に活かして、リアルタイムのコミュニケーション、ドキュメントの共有、プロジェクトのコラボレーションを促進することができます。
強力なユーザープロビジョニングとアクセス制御に注力する:デジタルワークプレイスの主なメリットはまず、ユーザーが情報やツールにすぐにアクセスできることにあります。ただし、認証、ID プロビジョニング、ロールプロビジョニングを処理するには、一貫した ID 管理でアクセスを制御する必要があります。シングルサインオンはこの要件に対応しており、ユーザーがリソースにアクセスするたびに個別にサインインしなくても、企業はアクセス権を正確に追跡して付与できるため、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
サイバーセキュリティを優先する:デジタルワークプレイスでは、クラウドサービス、SaaS プラットフォーム、その他のオンラインツールが使用されるため、サイバーセキュリティは重要な検討事項となります。企業は、機密データを保護し、安全なコミュニケーションを確保し、サイバー脅威から身を守るために、堅牢なサイバーセキュリティ対策を優先しなくてはなりません。例えば、安全なデジタル環境を維持するための暗号化プロトコル、多要素認証、定期的なセキュリティ監査などを導入する必要があります。
自動化の機会を探す:成功を収めている企業は、デジタルワークプレイスで繰り返し発生する時間のかかる業務を継続的に特定して自動化し、従業員がより価値の高い業務に集中できるようにしています。今日では、AI のパワーを活用することで、企業はかつてないほど迅速かつ効果的に自動化を進めることができます。その結果、オンデマンドでイノベーションを加速し、新しいアプリケーションやツールを開発・統合でき、ユーザーの満足度を高めることができます。
進捗を管理し、フィードバックを促す:コスト削減、コラボレーションの強化、カスタマーエクスペリエンスの向上のどれを重視しているにせよ、目標を明確に定め、主要業績指標 (KPI) で進捗を管理し、フィードバックを促し、その結果に応じて変更を加えることが重要です。そうすることで、企業は成功がどのようなものかを理解し、デジタルワークプレイス戦略のメリットを最大限に引き出すことができます。
堅牢で実績のある製品を探す:市場にあるデジタルワークプレイス製品を検討する際には、ユーザーの生産性を高め、エンゲージメントを促進し、ユーザーと企業の両方に全体を通してポジティブなエクスペリエンスを提供するのに役立つ包括的な機能を備えた堅牢なソリューションを探しましょう。
SAP Build Work Zone
SAP Work Zone でデジタルワークプレイスを導入して、場所やデバイスに捉われることなく、統一されたインテリジェントなワークエクスペリエンスを従業員に提供しましょう。