データストーリーテリングとは?

データストーリーテリングは、数値情報を基に、人々が理解し共感することができる、コンテキストに合った物語を構築する手段です。

データストーリーテリングの概要

純粋な生データは、少数のスペシャリストにしか理解できない非常に精密な言語を話します。データストーリーテリングは、フラットな数値情報を基に、人々が理解し共感することができる、コンテキストに合った物語を構築する手段です。例えば、お粥の温度と熊の大きさが統計的に相関しているというレポートでは、多くの人に閲覧してもらえる可能性は低いでしょう。一方、さまざまな大きさのクマ、ベッド、椅子を比較した絵とゴルディロックスの絵が一緒に描かれているストーリーだと、より多くの人に読まれて深く理解される可能性があります。ここに重要なポイントがあります。

 

世界のデータ基盤はわずか数十年の間で飛躍的に成長し、IDC は、2025 年までに世界のデータ生成量が 175 ゼタバイトに達すると予測しています。これは、 1750 億テラバイトという驚異的量に相当します。ビッグデータの量とその複雑さは急速に増大しており、多くの企業がビッグデータを最大限に活用して使用する方法を模索しています。データビジュアル化は、チャートやグラフを使用してデータをわかりやすく表現することで、これはある程度まで有用です。しかし、今日のビジネスでは、単純なグラフィックにとどまらないものが求められています。データに基づいたアイデアを、コンテキストに合った、より強力で説得力のあるものにしなければなりません。データストーリーテリングは次世代のビジネスコミュニケーションであり、企業がより円滑なコミュニケーションを行い、よりスマートで実用的なビジネス上の意思決定を行うのに役立ちます。

データ主導型ストーリーテリングの要素

すべてのデータストーリーには、以下の 3 つの要素が含まれている必要があります。

 

  1. データ データ主導型ストーリーテリングは、(可能な限り)クリーンで完全なデータに基づていなければなりません。当然かもしれませんが、データはいくつもの国や事業本部、部門にまたがって存在しているため、これを実現するのは簡単なことではありません。IIoT などの新しいデータソースの出現により、データ量は増加の一途をたどっています。大量データに手を焼いている多くの企業に役に立つのが、データ管理ソリューションです。あらゆるソースからデータを収集し、信頼できる実用的なインサイトを提供して、課題への対処を支援します。まずはここから始めてみましょう。
  2. 物語 人間には、ストーリーテリングを通じて、情報を効果的に伝えてきた歴史があります。データ主導型ストーリーテリングにおいても、始まり、中間、終わりのある伝統的な物語のストーリーライン(別名「ストーリーアーク」)をたどります。物語では、データが明らかにしている内容を伝え、そのコンテキストを強調し、潜在的なアクションを提案する必要があります。データストーリーテリングソフトウェアは、ERP プラットフォームと連携して、複数のデータアナリティクスのタイプ(記述的、診断的、予測的、処方的)を組み込み、 どのデータがストーリーに最も関連しているのか、または説得力があるのかを明らかにします。
  3. ビジュアル 優れたビジュアル化では、読者がすぐに理解し、可能性のある成果を検討して利用できるようなデータのつながりが示されます。既存のスプレッドシートやデータビジュアル化ソフトウェアでもチャート、マップ、グラフ、図を生成できますが、グラフィックと物語を組み合わせることで、それらに非常に重要なコンテキストと意味を与えることができます。一枚の写真は千の言葉よりも価値があります。そして、Excel の何千行にも相当します。

データストーリーテリングとは、複雑なデータとアナリティクスを活用して説得力のある物語を構築することです。説得力のある物語とは、対象者の興味を引き、明確なメッセージを伝え、行動や次のステップに影響を与えることができるものです。

データ主導型ストーリーテリングが非常に効果的な理由

人間の脳は純粋なデータよりも物語を好みます。つまり、その方が見た目にも魅力的で、わかりやすいのです。そのため、最新のデータ主導型ストーリーテリングには、スプレッドシート、データホワイトボード、デジタルダッシュボードよりも、多くのメリットがあります。データ主導型のストーリーが効果的である理由を以下に説明します。

 

  • 意思決定を妨げるような膨大な量のデータをシンプル化できます。Gartner 社によると、従来のアナリティクスインサイトの 80% は 2022 年までにビジネス成果をもたらすことがないと予測されています。

  • 純粋なデータよりも脳のより多くの部分を活性化し、理解力と記憶力を高めます

  • 起きている事象の理由を説明できます

  • 証拠によって裏付けられています

  • データを活用し、新しいパターンを発見できます

  • 読者の知性と感情の両方に訴えることができます

  • 実用的なインサイトを生成します

  • ライブデータに接続して常に最新の分析が可能です

  • 大規模なパーソナライズが可能です

  • 対象者に価値を提供します

  • クリックスルー率やコンバージョン率などの指標で優れたパフォーマンスを発揮します

  • 会社や業界の信頼性を高めます

 

ご覧のとおり、データ主導型ストーリーテリングは社内外で効果的なため、導入が促進されています。

インサイトを発見し、価値を引き出す:データストーリーテリングの例

おそらく、気づかないうちに、データストーリーテリングの例を見ているのではないでしょうか。それがこのツールの素晴らしさの 1 つでもあります。視覚的にも魅力的であるため、データを押し付けられている感がありません。

 

  • ヘルスケア:世界保健機関は、世界中の新型コロナウィルス感染症を対話型ダッシュボードで追跡しています。読者は、コロナの感染者数、死亡者数、ワクチン接種数や各国が講じたさまざまな対策を確認することができます。また、政府や医療従事者が自分たちの地域のストーリーを「伝える」ために活用できる、わかりやすいビジュアル化資料も閲覧することができます。医療機関は、過去のデータと臨床試験の結果を組み合わせて、患者に新しい治療法のメリットとリスクを説明することもできます。

  • サプライチェーン:エンドツーエンドのサプライチェーン管理により、複数のデータソースを一元化します。サプライチェーンにおけるデータストーリーテリングの事例としては、調達と原産地に関連するものがあります。データは、原材料サプライヤー、RFID タグ、製造資産、出荷および物流パートナーから取得できます。こういったデータを活用することで、製品の産地の状況など非常にダイナミックなストーリーを伝えたり、最良の労働や製造慣行が価値とサステナビリティを高める理由を説明したりできます。

  • 人事:今日の複雑な仕事の世界において、企業は優秀なチームを採用するだけでなく、チームを定着させることにこれまで以上に力を入れています。最新の人事ソフトウェアシステムでは、「採用から退職」までのデータを収集・分析することができます。これは説得力のあるデータストーリーを作成する機会になります。さまざまな取り組みによって従業員の採用、経験、定着がどのように改善されるかを、ビジネスリーダーや人事リーダーに事例で示すことが可能です。

  • 小売:小売業界は B2C に重点を置いており、新しいインタラクティブな方法で、顧客とつながることができる大きな可能性を秘めています。基本的にオムニチャネル小売業を支えるデジタルテクノロジーはすべて、何らかのデータ生成またはキュレーションをもたらします。小売業者は、スマートシェルフ、e コマース、オンラインショッピング全般のデータを活用することで、顧客がどこで、どのように、なぜ自社の製品に関心を持っているのかについて、非常に正確で実用的なデータストーリーを生成することができます。これは、ビジネス開発、在庫管理、マーケティングなどにさまざまな情報を提供するのに役立ちます。

データストーリーと拡張アナリティクスのトレンドの拡大

データストーリーテリングは企業にとって目新しいものではありません。しかし最近までは時間のかかる手作業のプロセスが多く、従業員は、データの取得、ビジュアル化の設計・開発、物語の下書き作成、インサイトの生成をしなければなりませんでした。企業の多くは、大量データを処理するデータサイエンティストや IT 部門にアナリティクスダッシュボードの作成を任せていました。しかし、これら従業員には、明確で説得力のあるストーリーを開発するためのソフトスキルが欠けていることが多かったのです。その結果、作成されたダッシュボードでは、リーダー(またはほかの誰か)に最も関連性の高い情報をわかりやすく伝えることができないこともよくありました。

 

現在では、ERP テクノロジーシステムにリンクされたストーリーテリングプラットフォームによりデータが民主化されているため、ビジネスアナリスト、マーケティング担当者、アーティスト、編集スタッフはデータサイエンティストと協力して説得力のあるストーリーを作成することができるようになりました。他の部門の従業員を加えることで、ソフトスキルが向上するだけでなく、多角的な視点のインサイトを生み出すことも可能です。

 

適切なツールがあれば、組織内の誰でもデータストーリーを作成できる可能性があります。人工知能機械学習、自然言語処理を組み込んだノーコードおよびローコードのソフトウェア拡張アナリティクスツールにより、以前は時間がかかっていた多くの機能を自動化できるようになりました。プロセス全体をより速く、より効率的で、より効果的にすることができます。

 

そのため、Gartner 社によると、2025 年までに(ダッシュボードではなく)データストーリーがアナリティクスを利用する最も普及した方法となり、拡張アナリティクス技術によってこれらストーリーの 75% が自動生成されるようになるとのことです。

効果的なデータ物語を創る:5 つの「W」

データストーリーの作成方法を学ぶ従業員は、ジャーナリズムの伝統的な「5W」(who、what、when、where、why)、つまり「誰が、何を、いつ、どこで、なぜ」を活用することでメリットが得られます。優れたデータストーリーの作成者もまた、これらの基本的な質問に答えることになります。

 

そのプロセスを開始する前に、ストーリーの作成者(またはチーム)から以下の質問が尋ねられる場合があります。

 

  • ストーリーの対象者は誰ですか。

  • 目標は何ですか。

  • どのような KPI を使用するべきですか。

  • この情報を伝達するのに最適データとビジュアルはどれですか。

  • データの範囲はいつ(どの期間)ですか。

  • データはどこに保存されていますか。

  • データはどのような傾向を示していますか。

  • なぜこのようなことが起きているのですか(コンテキスト)。

 

質の高いジャーナリズムと同様に、データ物語は客観的で、断定的でなく、対象者に共感を与えるものでなければなりません。企業は人間のバイアスだけでなく、人工知能によってもたらされるバイアスにも注意する必要があります。信頼性を高めるには、このような用意周到なアプローチが重要です。

 

企業がデータストーリーテリングの導入を成功させることができれば、ソフトウェアのアップグレード以上のメリットが得られます。このプロセスには、トップダウンからの賛同や、データやスタッフのサイロ化を解消して協力しようとする各部門のリーダーシップが必要になります。特定の役割として「データストーリーテラー」を採用する企業もあれば、そのスキルをアナリスト職に求める企業もあります。トレーニングを受けることで、データ重視の部門外で働く現従業員は、ビジネスを推進するストーリーを作成する上で貴重な組織的/状況的知識を提供できるようになります。

 

この新しいコミュニケーション形式へのスムーズな進化を実現するために、企業はテクノロジーの導入、ロードマップの計画、トレーニング、コミュニケーションを指導できるエキスパートの関与を検討する必要があります。企業データをスプレッドシートやダッシュボードからコンテキスト主導型のビジュアルストーリーに移行することで、あらゆる業界の企業のさまざまな領域にメリットがもたらされます。

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