SAP Business Network とは
SAP Business Network は、企業が取引先を見つけ、情報や文書を共有し、取引を実行し、より強力なサプライチェーンを構築できるようにする B2B コラボレーションプラットフォームです。
ビジネスは単独では行えません
製品ラインの拡大、コンプライアンス要件の増大、供給の予測可能性の低下などに直面する中で、グローバルサプライチェーンはますます複雑に絡み合い、入り組んだものになってきています。その結果、慢性的な不確実性が生じており、地域紛争、異常気象、世界的な健康危機、経済情勢の不安定さなどがこれにさらなる拍車をかけています。
そのため、企業はサプライチェーンのレジリエンスを強化する動きを強めています。このレジリエンスを実現するための鍵となるのは、企業、公共機関、非営利組織をまたぎ、サプライネットワーク全体に広がる効率的で効果的なコラボレーションです。
このような環境でビジネスを成功させるには、電子メール、ファックス、電話を超える真のデジタルコラボレーションが必要となります。その目的はタイムリーに情報を得ることです。これを実現することで、企業はサプライネットワーク全体を把握し、混乱に迅速に対応し、必要に応じて業務を調整できるようになります。このレベルのコラボレーションがあってこそ、企業は生き残り、成功するために必要な俊敏性を得ることができるのです。それがなければ、レジリエンスはただの願望に過ぎません。
SAP Business Network は、企業がサプライチェーンのレジリエンスを実現できるように設計されています。
変革の重要性*
経営幹部の 57% は、サプライヤーとのコラボレーションや可視性が限定的または不十分であることが収益に悪影響を与えていると考えています。
製造・生産担当者の 69% は、情報がタイムリーではないと回答しています。
購買・調達担当者の 71% は、現在のコラボレーションや可視性のレベルでは、断片的または不完全な情報しか得られないと回答しています。
製造・生産部門の担当者(IT を含む)の 41% は、自社のプロセスに大幅な見直しが必要だと考えています。
世界最大の B2B 取引プラットフォーム
戦略的グローバルソーシングは、戦略的調達の原則を拡張し、それを世界規模で適用できるようにします。これにより、企業は現地のベンダーだけでなく、より多様なサプライヤーベースを活用できるようになります。
SAP Business Network は、世界最大の B2B 取引先プラットフォームであり、年間 6 兆米ドルを超える取引をサポートしています。調達・購買プロセスとサプライチェーンプロセスの企業間連携を刷新し、より強固なサプライチェーンを構築することで、お客様の期待に常に応えます。SAP Business Network は、AI や設定可能なビジネスルールを活用して、トランザクション交換、情報共有、取引先の発見を可能にすることで、バイヤーとサプライヤー間のブレークポイントを解消します。これにより、企業はサプライチェーンに対する可視性を強化し、業務効率を高め、コンプライアンスを確保できるようになります。
IDC 社の調査結果**
SAP Business Network を活用すると、どのようなことを実現できるのでしょうか。IDC 社の最新のホワイトペーパー「SAP Business Network のビジネス価値 - 調達・購買組織向け」が、その点について詳しく解説しています。
3 年間投資回収率 404% を実現
市場投入までの時間を 30% 短縮
商品/注文配送を 27% 高速化
新しいパートナーのオンボーディングを 70% 迅速化
新規パートナーのオンボーディングに必要なスタッフの時間を 51% 短縮
電子購買発注の利用率を 46% 増加
承認サイクル時間を 60% 短縮
例外なしで処理される請求書を 25% 増加
文書配信のスピードを 29% 向上
可視性、効率性、コンプライアンス:SAP Business Network の柱
SAP Business Network は、調達・購買、資産管理、サプライチェーン、ロジスティクスなどのビジネスコラボレーションの重要な領域をつなげることで、組織の枠を越えて情報がシームレスに流れる統合型のデジタルエコシステムとして機能します。このような相互接続されたソリューションにより、効率性、レジリエンス、持続可能な成長をどのように促進することができるのかを見てみましょう。
調達・購買のコラボレーション:調達・購買をデジタル化し、サプライヤーのパフォーマンスを向上
調達・購買は、単に商品やサービスを購入するだけにとどまらないレベルにまで進化しています。今日のチームは、複雑なサプライヤー関係に対処し、コンプライアンスを確保し、サステナビリティの取り組みを推進し、ビジネスに戦略的価値を提供しなければなりません。
SAP Business Network Commerce Automation
手動で注文書を作成したり、請求書の照合をしたり、支払の追跡を行ったりする時代は終わりました。SAP Business Network Commerce Automation は、調達から支払までのプロセスをデジタル化し、サプライヤーとの間にシームレスなコマースエクスペリエンスを実現します。このソリューションにより、日常的なトランザクションを自動化し、調達・購買活動の可視性を向上させることができます。
顧客は、通常、請求書の処理時間が数週間から数日に短縮されるのを実感することができます。サプライヤーは、支払状況の可視化、注文への迅速な対応、キャッシュフローの予測可能性向上といったメリットを得ることができ、これらはサプライチェーンのレジリエンス強化にもつながります。
SAP Business Network Discovery
特に新しい市場に参入する場合や、専門的な原材料を調達する場合、適切なサプライヤーを見つけるには時間と労力がかかります。SAP Business Network Discovery は、世界中の何百万ものサプライヤー候補と貴社をつなげることで、このプロセスを変革します。
このソリューションを活用すると、1 つのプラットフォーム内で、提供される製品だけでなく、サプライヤーの能力、認定、サステナビリティの実践、多様性の状況に基づいて、認定パートナーを特定することができます。調達・購買チームは、サプライヤーベースを多様化することで、企業のサステナビリティ目標を推進しながら、リスクを最小限に抑えることができるのです。混乱が生じた場合には、代替の供給ソースを特定することも可能です。
サプライチェーンのコラボレーション:可視性のギャップを解消し、混乱を防ぐ
多くの業界において、グローバルサプライネットワークは複雑なものになってきており、外部での製造や梱包、供給源が世界中に分散されているという特徴があります。このようなネットワークは通常、システムが分断され、可視性が限られているため、結果として在庫不足や在庫過剰が頻発し、生産スケジュールの遅延、顧客への納品遅れを招いてしまうことがあります。効果的なサプライチェーン管理には、可視性だけでなく、多層的な取引先エコシステム全体での真のコラボレーションが必要です。
SAP Business Network Planning Collaboration
SAP Business Network Planning Collaborationは、予測、生産計画、生産能力に関する情報、供給上の制約をパートナーと共有できる安全な環境を構築します。計画機能を連携することで、生産スケジュールの調整、代替サプライヤーの選定、原材料の再配分など、潜在的なボトルネックを事前に特定し、ソリューションを開発することができます。
この同期された計画により、従来は上流のサプライチェーンで需要の変動を増幅させていた「ブルウィップ効果」が軽減されます。製造業者は生産の中断が減り、サプライヤーは複数の計画期間にわたる需要の可視性が向上し、顧客はより信頼性の高い納品を受けられるようになります。
SAP Business Network Supply Chain Collaboration
SAP Business Network Supply Chain Collaboration により、在庫レベルと要件、生産状況、原材料の可用性と品質、フルフィルメントのステータス、複数の期間(長期、中期、短期)にわたる顧客需要など、重要なサプライチェーンのプロセスやデータを多層的に可視化することができます。
供給と需要の不一致などの潜在的な混乱が検出されると、システムが早期にアラートを発します。これにより、影響を受ける関係者はこれらの問題に迅速に対処できるようになります。この事前対応型のアプローチにより、サプライチェーンの問題が生産や納入に影響する前に、問題を特定し、対処することができるのです。
ロジスティクスのコラボレーション:遅延を削減し、納入の精度を向上
ロジスティクス業務では、断片化されたプロセス、不十分な可視性、事後対応的な意思決定に悩まされることがよくあります。多くの荷主は、運送業者やサービスプロバイダーとのコラボレーションに依然として手動のプロセスを利用しています。この場合、ユーザーはコアとなる注文管理システムや輸送管理システムから離れて、接続されていない外部ポータルにログインしなければなりません。その結果として出荷に遅れが生じてしまった場合、企業は正確な情報を取得し、複数の関係者間で効果的な対応を調整するのに苦労することになります。これらの課題を克服するには、輸送エコシステム全体でロジスティクスのシームレスなコラボレーションが必要です。
SAP Business Network Global Track and Trace
SAP Business Network Global Track and Trace は、サプライチェーンを移動する出荷に関するエンドツーエンドの可視性を提供します。このソリューションは、荷主、運送業者、運送フォワーダー、ロジスティクスのサービスプロバイダーを単一のプラットフォーム上で接続します。そこで、出荷ステータスを監視し、遅延の影響を評価し、混乱に関するアラートを送受信できます。その結果、オンタイムインフルの達成率が向上し、顧客満足度が高まります。
荷主は混乱を軽減し回避するのに必要な予測的なインサイトを得ることができます。遅延が発生した場合は、是正措置を講じ、納入を予定どおりに進めるのに必要なリアルタイムのインサイトを得ることができます。
SAP Business Network Freight Collaboration
出荷の追跡は重要ですが、運送業務の最適化は、運送業者の選択、契約、決済、紛争対応、さらには倉庫でのゲートや納品スロットのスケジュール設定など、かなり早い段階から始まっているのです。SAP Business Network Freight Collaboration は、運送業者のグローバルネットワークを活用し、入札から決済までの運送業者とのコラボレーションを効率化するとともに、運送業者によるドックアポイントメントのセルフ予約を通じて納入の効率化も実現します。
今では、直接デジタルでつながったプロセスを通じて、運送業者とのコラボレーションを実現できるため、ロジスティクスや倉庫業務を効率化できるようになっています。荷主は、運送業者とのコラボレーションをデジタル化することで、コストを削減し、俊敏性を獲得し、効率性の向上によってサステナビリティを向上させることができます。
SAP Business Network Material Traceability
製薬業界から自動車業界、食品生産業界に至るまで、原材料や構成部品がどこから来て、どのように取り扱われてきたかを正確に把握することは、ビジネス上のメリットがあるだけでなく、多くの場合、規制上の要件にもなっています。
SAP Business Network Material Traceability により、サプライチェーン全体の原材料と構成部品のフローを把握し、調達、製造、組立、流通、配送をつなぐデジタルスレッドを作成することができます。
規制の厳しい業界の場合、これによりコンプライアンスレポートを合理化し、監査の準備をシンプル化することができます。食品・消費財企業は、追跡可能なパートナーソースのデータを使用して、サステナビリティの主張を裏付けすることができます。そして、品質に問題が発生した場合には、サプライチェーンの各層で影響を受ける製品を迅速に特定することができるため、速やかに是正措置を講じることが可能です。
設備資産のコラボレーション:設備の耐用年数を延ばし、サービスコストを削減
重要な設備資産の故障やダウンタイムは、生産性の低下、納期の遅れ、顧客の不満につながる可能性があります。設備資産を適切に管理するには、相手先ブランド製造 (OEM) メーカー、機器所有者、保守チーム、サービスプロバイダー間で連携した取り組みを行わねばなりません。
SAP Business Network Asset Collaboration
SAP Business Network Asset Collaboration は、設備資産の製造業者、オペレーター、サービスプロバイダーを統合プラットフォーム上で接続するクラウドベースのソリューションです。これにより、設備資産ライフサイクル全体にわたってオンラインでのデータ共有、コラボレーティブな保全、合理化されたワークフローが可能になります。シームレスなコラボレーションを促進することで、企業は業務上のリスクを軽減し、効率性を向上させ、重要な設備資産の耐用年数を延ばすことができます。
SAP Business Network Asset Collaboration は障壁を取り除き、設備資産パフォーマンスを最適化し、パートナーシップを促進します。その結果、サービス効率の向上、コストの削減、稼働時間の最大化、新しいビジネスチャンスの創出など、企業の目標がどのようなものであったとしても、設備資産ライフサイクルに関わるすべての人に目に見える価値がもたらされます。
SAP Business Network を導入している企業とは?
幅広い業種において、企業は、SAP Business Network を活用し、コラボレーションの促進やサプライチェーンの最適化を実現しています。いくつかの例をご紹介します。
SAP Business Network により実現できること
SAP Business Network は、サプライチェーンの可視性を高め、効率性を高め、コンプライアンスを向上させるのに役立ちます。相互接続されたソリューションがどのように連携して、レジリエンスと拡張性に優れたサプライチェーンを構築し、ビジネスパフォーマンスを向上させ、成長を促進することができるのかをご確認ください。
よくある質問 (FAQ)
* 出典:IDC InfoBrief(SAP 後援)「ビジネスネットワークによるサプライチェーンのコラボレーション成熟度の加速」、#US53179225、2025 年 4 月
** 出典:IDC 社ホワイトペーパー(後援:SAP)、「SAP Business Network のビジネス価値 - 調達・購買組織向け」、IDC # US52679524、2025 年 3 月
*** 出典:IDC 社ホワイトペーパー(後援:SAP)、「SAP Business Network のビジネス価値 - 調達・購買組織向け」、IDC # US52679524、2025 年 3 月