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上空から見たイスタンブール

モノのインターネット(IoT)とは?

大きくとらえると、モノのインターネットには、工場の設備、車から、モバイルデバイス、スマートウォッチに至るまで、インターネットネットワークに接続できるあらゆるオブジェクト(すなわち「モノ」)が含まれます。しかし、今日では、IoT は他のモノとのデータの送受信を可能にするセンサー、ソフトウェア、その他のテクノロジーが搭載された、つながっているモノを意味するようになっています。従来、接続は主として Wi-Fi 経由で行われていましたが、今日では 5G などのタイプのネットワークプラットフォームで、大容量のデータセットを高速かつ確実に処理できるようになっています。

 

むろん、データを収集する目的は、データを単に所有することではなく、利用することです。IoT デバイスがデータを収集して転送した後は、それを分析し、情報に基づくアクションをとることが最終目的となります。AI テクノロジーが威力を発揮する例として、高度なアナリティクスと機械学習を活用した IoT ネットワークの強化が挙げられます。

 

モノのインターネットの定義:他のモノとのデータの送受信を可能にするセンサー、ソフトウェア、その他のテクノロジーが搭載された、つながっているオブジェクトおよびデバイス(つまり「モノ」)。

IoT とは

IoT の仕組み

IoT デバイスは、ユーザーがそこにいないときに、ユーザーの目となり耳となることができます。搭載されているセンサーを使用して、デバイスはユーザーが見聞きし、感じるであろうデータを取り込みます。次に、各デバイスは指示どおりにデータを共有します。ユーザーはデータを分析し、その情報を利用してその後のアクションや意思決定を行ったり、アクションや意思決定を自動化することができます。このプロセスは、次の 4 つの主要なステージで構成されます。

モノのインターネットにおける 4 つの主要なステージ

IoT テクノロジーの仕組み

 

  1. データを取り込む。IoT デバイスは、センサーを使用して環境からデータを取り込みます。データには、温度のように単純なものも、リアルタイムの配信動画のような複雑なものもあります。
  2. データを共有する。利用可能なネットワーク接続を使用して、IoT デバイスはパブリッククラウドまたはプライベートクラウドからこのデータにアクセスできるようにします。
  3. データを処理する。この時点で、ソフトウェアはそのデータに基づいて何かを行うように(例えばファンをオンにしたり、警告を送信するように)プログラミングされています。
  4. データを操作する。IoT ネットワーク内のすべてのデバイスから収集される累積データを分析します。これにより、強力な洞察が得られ、自信をもってアクションやビジネス上の意思決定を行うことができます。

IoT テクノロジーはどのように進化してきたか?

IoT デバイスは、2019 年に約 18 ゼタバイトのデータを生成しました。2025 年には、その値は 3 倍を超える 73 ゼタバイト(73 兆ギガバイト)に達すると IDC 社では予測しています。デジタルデータを物理的な単位で定量化することはできませんが、これらのデータすべてを 1990 年代のフロッピーディスクに変換して月と地球の間に端から端まで並べると、5000 回往復することになります。IoT が進化するには、特定のテクノロジーが集結し、同時に進化する必要がありました。

 

  • 接続能力:IoT データ量の大幅な増加は、データを送受信するための十分に堅牢なインターネット接続とクラウド接続があったからこそ実現しました。現在、多くの IoT デバイスでは、大量の複雑なデータを送信できるかどうかは、ローカル Wi-Fi ネットワーク次第になっています。McKinsey の最新の記事では、5G などのセルラーネットワークの改善が IoT デバイスにどのような影響を及ぼすか、またどのように IoT デバイスを Wi-Fi ネットワークから解き放つかが概説されています。
  • センサーテクノロジー:IoT センサーのイノベーションに対する需要は着実に高まっており、コストの高い数社のニッチプロバイダーから高度にグローバル化された価格競争力のあるセンサー製造業界へと市場は移っています。2004 年以降、IoT センサーの平均価格は 70% 以上下落し、多様性のある高機能な製品への需要が急騰しました。
  • 計算能力:今後 3 年間で生成されるデータの量は、過去 30 年間で生成された量を上回ります。これらのデータすべてを利用し、活用するには、かつてないほどの量のメモリーと処理能力が必要です。これを実現するための競争はめまぐるしく激しいものであり、それが IoT の妥当性と応用性を推進してきました。
  • 人工知能と機械学習:これらのテクノロジーは、大量の IoT データを管理し、処理するだけでなく、分析してそこから学ぶ能力を企業に与えました。ビッグデータは、AI機械学習にとって大好きな食べ物です。データセットが膨大かつ多様であるほど、AI を活用する高度なアナリティクスによって、より堅牢かつ正確な洞察および知性を提供できます。IoT デバイスの台頭とともに、AI も進歩し、AI が提供するデータに対する要望も高まっています。
  • クラウドコンピューティング:接続能力がモノのインターネットの開発に不可欠であったように、クラウドコンピューティングの台頭もモノのインターネットの進化と密接に結びついています。クラウド IoT サービスは処理能力と大容量のストレージをオンデマンドで提供できるため、IoT デバイスは増え続ける大量の複雑なデータセットを容易に収集して転送できるようになりました。また、プライベートクラウドソリューションも、企業がクローズドシステムのセキュリティを維持しながら、多種多様な大容量の IoT データを管理することを可能にしました。 
  • エッジコンピューティング:IoT ネットワーク内のデバイスは多くの場合、地理的に広く分散していますが、すべてのデバイスが単一の中央システムにデータを転送します。IoT データ量が増加するにつれ、企業の帯域幅やクラウド容量を独占するようになります。さらに、データを取り込み、転送し、処理し、最終目的地で受信するまでには時間がかかります。この遅延は「レイテンシー」と呼ばれ、特にデータ処理に大きな時間的制約がある企業に、さらなる非能率をもたらします。エッジコンピューティングソリューションでは、システムをデータソースのすぐ近くに配置することで、システムの処理能力を分散化します。これを実現するため、ローカライズされたコンピューティングシステムを統合し、さらに IoT デバイス自体に処理機能を搭載しています。この処理済データは、オンサイトでの迅速なアクションを推進し、構造化され体系化された形式で中央システムに定期的に送信され、高度なアナリティクスや処理が行われます。

センサーからのデータが処理されて表示され、意思決定の改善につながります。

インダストリアル IoT (IIoT) とは何か?

IIoT とは、産業用アプリケーションで接続されたマシン、デバイス、センサーを使用することを指します。AI および機械学習機能を搭載した最新の ERP を使用して実行することで、IIoT デバイスで生成されたデータを分析および活用して、効率性、生産性、可視性などを向上させることができます。IIoT ネットワークでは通常、マシンツーマシン (M2M) 通信をサポートしており、IIoT 統合デバイスはデータを転送するだけでなく、中央システムから定期的に自動化プログラミングを受信します。

IIoT の定義:IIoT とは、産業用アプリケーションで接続されたマシン、デバイス、センサーを使用することを指します。

私たちは現在、インダストリー 4.0 とも呼ばれる第 4 次産業革命の真っただ中にいます。過去 3 つの産業革命は、革新的な新しいテクノロジーによって主導されました。それは、第 1 次産業革命では蒸気動力、第 2 次では組み立てラインと機械化生産、第 3 次では計算処理能力でした。インダストリー 4.0 の土台となる革命は、産業のデジタル化およびサイバーフィジカルシステムという形でもたらされ、その基礎には IoT があります。

IoT と IIoT の違い

IoTと IIoT の違いは、仕組みよりもその使用方法にあります。世の中の多くの IoT ソリューションは、エンドユーザーが個人ユーザーであり、主としてスマートアプライアンス、デジタルアシスタント、電話のジオロケーターなどで使われています。

 

IIoT は IoT の一部であり、同じ基本技術で駆動されますが、IIoT は個人ユーザーではなく、むしろつながっている企業全体の自動化と効率化に焦点を当てています。IIoT ネットワークでは、データの収集とキュレーションは、より複雑なプロセスの最初のステップに過ぎません。企業に最大限のメリットをもたらすには、AI と機械学習をデータに適用して、正確な洞察を提供し、ワークフローおよび自動化されたタスクの最適化を実現する必要があります。

現代の産業分野における IIoT テクノロジー

  • スマート製造:企業は顧客のフィードバック、メディアトレンド、およびグローバル市場からデータを収集します。AI を活用するシステムは、これらのデータおよび関連するその他のデータを融合して、製品開発および品質管理部門に情報を提供できます。こうした洞察に基づいて、マシンおよびロボティックデバイスの IIoT ネットワークを自動化し、スマートファクトリーでの製品の製造を最適化できます。
  • レジリエンスを備えたサプライチェーン:IIoT ネットワークと、それらを実行する AI を活用したシステムによって、サプライチェーンマネージャーは製品がある場所、製品を保持しているサプライヤー、在庫の数などを把握できます。リアルタイムの事象や混乱に対応して IIoT デバイスやマシンをその場でプログラミングできるので、企業は緊急時対応計画を組み込んで、競争力やレジリエンスを高めることができます。
  • インテリジェントなロジスティクス:アマゾンエフェクトとは、注文した商品の送料無料・翌日配送を消費者が期待するようになってきていることを示す用語です。この期待に応えるために、ロジスティックスプロバイダーは在庫を地理的に点在させ、サードパーティー (3PL) のパートナーを利用する必要があります。ロジスティックスネットワークの IoT ソリューションにより、マネージャーはドローンや貨物船など、保有している全車両を一元的に把握できます。IoT センサーからのリアルタイムデータは、負荷を融合し、無駄を最小限に抑え、配送をスピードアップするのに役立ちます。
  • ヘルスケア:患者の視点から見ると、IoT モニターやウェアラブルは、医療提供者とつながりながら、治療を詳細にコントロールするのに役立ちます。医療従事者にとっては、これらのデバイスから提供されるデータによって、患者の健康状態をより詳細に把握できます。結果として、より多くの情報を得た上で、十分な診断、治療、健康管理を行えるようになります。
  • 農業:気象や自然現象に左右されるビジネスにとって、リスクや脆弱性を低減させるツールは歓迎すべきオプションです。Forbes 誌は、現代の農業分野では IoT ソリューションの採用が進んでおり、「水資源の持続可能性、イメージング、生産、および農業のしやすさを改善するために、多くのセンサーが導入されている」と指摘しています。

自動車製造用工作機器メーカーの INDEX-Werke 社は、世界的なコロナ禍にあっても、IoT テクノロジーを駆使して顧客の機械を動かし続けました。

IIoT ソリューションの上位 6 つのメリット

IIoT ネットワークは、デジタルトランスフォーメーションプロセス全体の一部として、レジリエンスと競争力を強化するための強力なツールを提供します。

 

  1. 俊敏性の向上:リアルタイムでデータを共有する IIoT デバイスは、データを継続的に収集および分析してデータから学ぶインテリジェンスネットワークに貢献します。これにより、企業は迅速かつ確実に、チャンスとリスクに対処することができます。また、こうした IIoT デバイスは、データを送信するだけでなく、データ分析に基づいて指示を受け取って、自動化されたワークフローに適応し、ワークフローを最適化することもできます。
  2. ヘルスケアマシン:IoT ネットワーク内のデバイスやマシンは、継続的に運用ログやパフォーマンスデータを転送します。そして AI および機械学習アルゴリズムが、このセンサーデータを使用して、予防保全に関する有用な洞察を獲得します。現に、McKinsey によると、「一般に、予防保全は機械のダウンタイムを 30% から 50% 短縮し、機械の寿命を 20% から 40% 伸ばす」と報告されています。
  3. 効率の向上:残念なことに、運用上のニーズに優先順位を付ける際、企業は一般に「触らぬ神に」というスタンスを取ります。こうした姿勢が、過去の栄光にしがみつく非効率な従来型のプロセスへとつながります。運用ネットワークに IoT デバイスを導入すると、収集して転送するデータは完全に客観的なものになります。こうしたデータに高度なアナリティクスを適用することで、プロセスを更新し、タスクを合理化し、効率性を向上させるための推奨事項および戦略が得られます。
  4. スマートな在庫管理:2020 年初頭の時点で、米国の企業は、政治や貿易の不確実性を乗り越えるのにすでに数年を費やしていました。多くの企業にとって、このパンデミックは、在庫管理システムがどれほど脆弱かつ受け身型になっていたかを強調するだけの結果となりました。IoT ネットワークに接続されていれば、3D プリンターなどのデバイスにより、外部製造パートナーへの依存度を減らすことができ、さらに仮想在庫を保持したり、必要な製品をオンデマンドで製造したりできます。
  5. 作業者の安全性:製造業の現場では、肉体を使うことが多く、怪我などの危険がつきものです。今日、多くの企業は職場の安全を確保するための IoT デバイスを使用して、このリスクを低減しています。これらのデバイスは、VR ヘッドセットなどのウェアラブルユニットによって警告を発したり、現行の職場のパターンを監視して、工場や倉庫の現場を人間工学に基づいてより安全に再構築します。
  6. 顧客サービスの改善:IIoT ネットワークは企業内のデバイスやマシンを接続するだけでなく、カスタマーエクスペリエンスや顧客の意見も統合します。こうした統合により、よりシームレスなショッピングエクスペリエンス、より透過的でパーソナライズされたロジスティックスが実現し、顧客のフィードバックや好みを新製品の開発や製造に取り入れることができるようになります。顧客とのリアルタイムでの有意義な関わり合いにより、競争力およびレジリエンスのあるビジネスモデルが実現します。

計装およびオートメーションの大手サプライヤーである Endress+Hauser 社は、モノのインターネットを利用してワークフロー、メンテナンス、ビジネスプロセスを改善し、コスト削減とダウンタイムの短縮に成功しました。

IIoT ソリューションはデジタルトランスフォーメーションへの重要な一歩である

2020 年、多くの企業が運用ネットワーク全体でのレジリエンスと可視性の重要性を思い知らされました。今日の経済環境で競争し、成功している企業は、もはやデジタルトランスフォーメーションを「あれば助かるもの」とは見ていません。今日の優良企業は、IIoT のような最新のデジタルソリューションを、成功や成長を実現するために不可欠なツールとして採り入れています。

IoT による変革の成果

IoT データサービスについて理解し、組み込みのセンサーデータを利用して変革を推進しましょう

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