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大型機械を操作するヘルメットをかぶった男性

インダストリー 4.0 とは?

1800 年以降、世界は 3 つの産業革命を経験しました。それらはいずれも破壊的な新しいテクノロジーによって実現されました。まず、蒸気機関が登場し、次に、組み立てラインというイノベーションが起こり、そしてコンピューターの作業スピードが世の中を変えました。これらが産業「革命」と呼ばれる理由は、単に生産性や効率を少し高めたというだけではなく、商品の生産方法や仕事のやり方そのものを完全に変えてしまったからです。

 

今、私たちはインダストリー 4.0 と呼ばれる 4 番目の産業革命の最中にいます。そこでは、スマートテクノロジーを通じてサプライチェーンの自動化、監視、分析の大変革が起きています。インダストリー 4.0 は、インダストリアル IoT (IIoT) とサイバーフィジカルシステムによって実現します。サイバーフィジカルシステムとは、コンピューターベースのアルゴリズムを使用して、機械、ロボット、自動車などの現実の(フィジカルな)ものを監視、制御する、スマートで自律的なシステムです。インダストリー 4.0 は、製造、工場、倉庫、ロジスティクスなど、サプライチェーン内のすべての要素を「スマート」にしますが、それだけにとどまりません。それらを ERP(エンタープライズリソースプランニング)などのバックエンドシステムに接続することによって、これまでにない可視性と管理性を企業にもたらします。最終的に、インダストリー 4.0 はあらゆる企業のデジタルトランスフォーメーションの主要要素の一つとなっています。

Graphic describing what Industry 4.0 is

インダストリー 4.0 の一般的な定義は、デジタル産業テクノロジーの台頭です。 …インダストリー 4.0 により、高度に生産的な新しい方法で機械と連携することができます。

ダニエル・バラス (Daniel Burrus)

インダストリー 4.0 のテクノロジー

インダストリー 4.0 は 9 つのテクノロジーの柱で支えられています。これらのイノベーションは、現実世界とデジタル世界の橋渡しを行い、スマートで自律的なシステムを可能にします。企業やサプライチェーンの中には、すでにこれらの高度なテクノロジーの一部を使用しているところもありますが、インダストリー 4.0 の潜在能力は、これらのテクノロジーをすべて組み合わせて使用することによって最大限に発揮されます。

Graphic showing the nine technology pillars that Industry 4.0 is built on

Industry 4.0 technologies

  1. ビッグデータと AI アナリティクス:インダストリー 4.0 では、工場機械、IoT デバイス、ERP システム、CRM システム、天気予報アプリ、交通情報アプリなど、幅広いソースからビッグデータが収集されます。そのデータに対して AI と機械学習ベースのアナリティクスがリアルタイムで実行され、そこから得られるインサイトを活用してサプライチェーン管理のあらゆる領域(サプライチェーン計画、ロジスティクス管理、製造、研究開発、エンジニアリング、設備資産管理 (EAM)、調達など)での意思決定と自動化を向上させます。
  2. 水平統合と垂直統合:インダストリー 4.0 のバックボーンとなるのは水平統合と垂直統合です。水平統合では、製造現場でのプロセス統合、複数の生産施設をつなぐプロセス統合、サプライチェーン全体でのプロセス統合といった、「現場レベル」での緊密なプロセス統合が行われます。垂直統合では、組織のすべての層がつながり、製造現場と組織トップとの間をデータがスムーズに流れます。製造現場が、研究開発、品質保証、販売、マーケティングなどのビジネスプロセスと緊密に統合されるため、データサイロやナレッジサイロは過去のものになります。  
  3. クラウドコンピューティング:クラウドコンピューティングは、インダストリー 4.0 とデジタルトランスフォーメーションを実現するための重要な要素です。今日のクラウドテクノロジーが提供するメリットは、スピード、拡張性、ストレージ、コスト効率だけにとどまりません。AI、機械学習、IoT など、最先端テクノロジーの基盤を提供し、ビジネスにイノベーションを提供します。インダストリー 4.0 のテクノロジーによって収集、処理されるデータはクラウド上に保存され、インダストリー 4.0 の中核にあるサイバーフィジカルシステムが、クラウドを使って対話と協業を行います。  
  4. 拡張現実 (AR):現実の環境にデジタルコンテンツをオーバーレイする拡張現実は、インダストリー 4.0 のコアコンセプトの一つです。AR システムでは、従業員が物理的なもの(設備や製品など)を見るときに、スマートグラスやモバイルデバイスを使用して、リアルタイムの IoT データ、デジタル化された部品、修理または組立の指示、トレーニングコンテンツなどを視覚化します。AR はまだ発展途上の技術ですが、保守、サービス、品質保証、技術者のトレーニングと安全に大きな影響を及ぼす可能性があります。  
  5. インダストリアル IoT (IIoT):IoT およびインダストリアル IoT は、インダストリー 4.0 の中核的要素であり、これら 2 つの用語は区別なく使用されることがあります。インダストリー 4.0 では、物理的なもの(デバイス、ロボット、機械、設備、製品)のほとんどが、センサーと RFID タグを使用して、状態、パフォーマンス、場所などのリアルタイムデータを提供します。このテクノロジーにより、企業はサプライチェーンの円滑化、迅速な製品設計と修正、設備のダウンタイムの回避、消費者の嗜好の把握、製品と在庫の追跡などを行うことができます。 
  6. 付加製造/3D プリンティング:付加製造(3D プリンティング)もまた、インダストリー 4.0 を推進する主要なテクノロジーの一つです。3D プリンティングは当初、ラピッドプロトタイピングツールとして使われていましたが、現在では大量カスタマイズから分散製造まで幅広く応用されています。例えば、3D プリンティングでは、部品や製品を設計ファイルとして仮想インベントリに保存し、ニーズに応じてオンデマンドで製造できるため、輸送距離とコストの両方を削減できます。  
  7. 自律型ロボット:インダストリー 4.0 では、新しい世代の自律型ロボットが出現しています。自律型ロボットは、人間の介入を最小限に抑えてタスクを実行するようにプログラミングされています。在庫スキャンを行うドローンや、物品の移動と配置を行う自律型モバイルロボットなど、その機能やサイズは多岐にわたっています。これらのロボットは、最先端のソフトウェア、AI、センサー、マシンビジョンを備えており、難しい繊細なタスクを実行することができます。周囲から受け取る情報を認識、分析し、それに基づいて行動することができます。  
  8. シミュレーション/デジタルツイン:デジタルツインとは、IoT のセンサーデータに基づいた、現実世界の機械、製品、プロセス、システムの仮想的なシミュレーションです。これはインダストリー 4.0 のコアコンポーネントであり、企業は産業システムや製品のパフォーマンスと保守をより適切に理解、分析し、改善することができます。例えば、設備資産運用においては、デジタルツインを使用することによって、正しく動作していない部分を特定したり、潜在的な問題を予測したり、稼動時間を最適化することができます。  
  9. サイバーセキュリティ:インダストリー 4.0 ではより多くの物が接続され、ビッグデータの利用が活発になるため、効果的なサイバーセキュリティの重要性が高まります。ゼロトラストアーキテクチャーと、機械学習やブロックチェーンなどのテクノロジーを導入することで、企業は脅威の検出、防止、対応を自動化し、ネットワーク全体でデータ漏えいや生産遅延のリスクを最小限に抑えることができます。  

インダストリー 4.0 のメリット

インテリジェント製品

健全性、場所、使用率、保管条件などの情報を共有できる、コネクテッドな自己認識製品を開発できます。このようなスマートな製品によって共有されるデータは、製品の品質、カスタマーサービス、ロジスティクス、研究開発など、あらゆる分野の改善に役立ちます。また、サービスのニーズを予測したり、リモートアップグレードを実行したり、サービスベースの新しいビジネスモデルを開発したりすることも可能になります。

 

インテリジェントファクトリー

スマートファクトリーとは、ビッグデータ、人工知能、ロボティクス、アナリティクス、IoT などの高度なテクノロジーを最大限に活用する、高度にデジタル化され、広範囲で自律化された施設です。こうした工場はファクトリー 4.0 とも呼ばれ、自己修正を行い、スマートな製造を実現し、カスタマイズされた製品を優れたコスト効率で生産できます。
 

インテリジェント設備資産

現在展開されているほぼすべての物理資産にはセンサーが組み込まれており、IoT やアナリティクスを適用することによって設備資産管理を一変させます。技術者はインテリジェント設備資産を利用することにより、設備資産のパフォーマンスをリアルタイムで監視したり、動的な予防保全を行ったり、デジタルツインを活用したり、設備資産とビジネスプロセスを緊密に統合したりできます。
 

従業員のスキル強化

システムがどれだけ自律的になっても、人の関与は必要です。従業員が AI などのテクノロジーやライブセンサーデータにアクセスできるようにすることで、製造現場で何が起こっているかを把握し、迅速な意思決定を行い、発生した問題を処理できるようになります。また、ウェアラブルデバイスや拡張現実アプリも、問題解決、健全性の監視、安全維持に役立ちます。

企業にもたらされるメリット

多くの企業が、インダストリー 4.0 ソリューションの幅広いポートフォリオを利用してデジタルサプライチェーンを変革し、生産を再創造し、顧客中心主義を貫き、組織全体をつなげるネットワークを構築しています。

企業が享受している具体的なメリットを以下に示します。

  • 生産性と自動化の大幅な向上: 事業全体にわたるデータ主導型の意思決定が可能となり、予測精度が高まり、納期遵守率が向上し、利益が最適化された計画を立案しています。
  • どのような市場や経済状況にも対応できるレジリエンスと俊敏性を確保: 最先端のプランニングをベースに未来型のデジタルサプライチェーンを構築しています。
  • 自信を持って新しいビジネスモデルを探索し、スピーディにビジネスチャンスをつかむ: インダストリー 4.0 ソリューションにより、コストを削減し、市場効率を向上させ、陸路、海路、空路をつなぐサプライチェーンの統合を実現しています。
  • 利益を犠牲にしないグリーンでサステナブルなソリューション: デジタル化によって効率性がさらに高まると同時に、利益や拡張性などのビジネス目標を犠牲にすることなく環境目標を達成しています。
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SAP のインダストリー 4.0 ソリューションをご覧ください

デジタルサプライチェーン変革のメリットをご確認ください。

インダストリー 4.0 に関するよくある質問

ルートを決定する前に、開始ポイントを知る必要があります。推奨される最初のステップは、既存のプロセス、設備資産、ビジネスシステムの監査と分析を行うことです。これにより、現在の状況を把握し、優先事項を決定し、効率の良い道筋を見極めることができます。インダストリー 4.0 のソリューションは、ビジネスのあらゆる領域で大きなメリットと影響をもたらします。これは単なる IT のアップグレードではないため、経営陣の賛同と関与も必要です。 

シンプルに答えれば「イエス」です。多くの場合、IoT ゲートウェイデバイスは古い機械にもレトロフィットできます。このようなデバイスを活用することによって、IoT センサーがパフォーマンスデータを送信できるようになります。場合によっては、ビデオカメラやヒートセンサーを装着して、より総合的なデータを提供できます。ベストなソリューションは機械の年代と機能によって決定します。監査と分析を行うことによって、レガシー資産のレトロフィットか、レガシー資産の置き換えのいずれが長期的な価値をもたらすかを判断できます。

強力な ERP システムは、インダストリー 4.0 のテクノロジースタックの背後で「頭脳」として機能します。過去の ERP は大部分がオフィス内プロセスを実行するものでしたが、今日のインテリジェントな ERP システムは、製造、ロジスティクス、エンジニアリングなど、多くのビジネス領域に対応するコネクテッドプロセスのハブとなっています。既存の ERP システムがこれらのタスクに見合うものであるかどうかの判断を、デジタルトランスフォーメーションの一環として行います。

古いディスクベースのデータベース上で実行されるレガシーの ERP システムでは、できることに限界があります。コネクテッドな工場、設備資産、製品、従業員から受け取るデータを活用する能力は、ERP の能力によって左右されます。ERP がインテリジェントなのかどうか、AI、機械学習、アナリティクスなどのテクノロジーが組み込まれているかどうか、データベースは高速なのかどうか。これらの回答に基づいて、古いシステムを使用しているのであれば、インダストリー 4.0 に対応するために今こそアップグレードを行うタイミングかもしれません。

導入するテクノロジーは、コアビジネスモデルにとって最も重要なプロセスは何なのか、変革から最大のメリットを得るのはどの業務領域なのかを見極めることによって決定されます。まずは 1 つのコアテクノロジーのみ導入する、という方法もよく用いられています。インダストリー 4.0 のソリューションは、強力なビッグデータとインサイトを提供します。ここから、ソリューションの ROI とメリットを正確に評価できます。これらの評価に基づいて、以降のビジネス領域の統合はよりスムーズに行えるようになります。

大規模かつ抜本的な多くの変革とは異なり、デジタルトランスフォーメーションについては業務に大きな混乱を生じさせることなく、段階的に進めることができます。最初に強力な ERP システムデジタルトランスフォーメーションのロードマップを用意することによって、インダストリー 4.0 の多くのソリューションを迅速にロールアウトすることができます。 

変革は痛みを伴います。タイプライターからコンピューターに切り替わるときも、その複雑さゆえ、導入に抵抗する従業員は多くいました。しかし、こうした過去の技術的な変革とは異なり、インダストリー 4.0 のソリューションは、ユーザーにとって複雑さを増やすものではなく、複雑さを軽減するものと言えます。ワークフローは合理化され、マニュアルの繰り返し業務は自動化され、インターフェースはより直感的になります。さらに、AR ウェアラブルやモバイル対応エクスペリエンスなど、多くの 4.0 テクノロジーがトレーニングをサポートします。 

2020 年が私たちに教えてくれたことは、この先何が起こるのかわからないということです。未来を予測することはできませんが、より優れたレジリエンス(回復力)を備え、未来に対してより適切に備えるための方策を取ることはできます。最も優れたインメモリー ERP システムは、高い拡張性を備え、無制限のワークロードをサポートします。また、インダストリー 4.0 テクノロジーは、将来の成長をサポートし、予期しない変化にも適応できるように設計されています。

インダストリー 4.0 ソリューションの最も基本的な要素は、その拡張性と俊敏性、そしてレジリエンス(回復力)です。市場の需要を満たすためにビジネスモデルまたは生産モデルを根本的に変更する必要がある場合でも、インダストリー 4.0 のシステムは、変化にすばやく適合して変更を実装するために必要な洞察と自信を提供します。

この第 4 の産業革命が労働環境に変化をもたらすことに疑問の余地はありません。しかし、イノベーションは反復作業からは生まれません。アイデアや、創造的な思考がイノベーションを生み出します。デジタルを使いこなし、解放された社員たちは、身体だけでなく頭脳を使用する時間が増えます。1980 年、コンピュータープログラマーは全世界で数千人しかいませんでした。現在、プログラマーの数は 2000 万を超えています。多くの肉体的なタスクはロボットに置き換わるでしょう。その一方で、デジタル化されたビジネスを遂行するためにより多くの仕事が生まれるでしょう。

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参考文献

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