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画像:財務計画・分析に関する会議

FP&A とは?

ここ数年、CFO とそのチームは、記録管理者から戦略的ビジネスパートナーに変わるようにプレッシャーをかけられています。そして、そのプレッシャーは高まる一方です。彼らは、重要なビジネスインテリジェンスを経営幹部に提供し、企業全体の意思決定の迅速化をサポートし、収益性が高く、持続可能な方向に舵を切るよう求められています。そして、ここで役立つのが FP&A なのです。

FP&A の定義

財務計画・分析 (FP&A) は、計画、予測、予算編成、および分析に関わる一連の活動で、会社のビジネスに関する主な意思決定と全社的な財務健全性をサポートします。財務チームは、企業の FP&A システムを使用して、財務データ、業務データ、外部データ(市場動向など)を 1 カ所にまとめることができます。財務部門はそれをすべて分析して将来の計画に必要な詳細なインサイトを引き出し、より収益性の高い意思決定を導くことができます。

 

FP&A ツールを使用すると財務担当者は次のことを行えるようになります。

  • 正確な財務分析と助言をビジネスリーダーに迅速に提供する
  • 潜在的な意思決定がキャッシュフローと最終損益に及ぼす影響を予測する
  • 全社的な財務健全性と投資を評価、監視する
  • 詳細な財務モデルを構築し、予算を管理する
  • 複数のシナリオを考慮した、俊敏性の高い、統合型財務計画を作成する
  • さまざまな部門と協働して予算を編成する
  • 企業戦略と実践の調整を図り、パフォーマンスを追跡する
  • 新たな収益機会とリスクを特定、評価する
  • ほか多数

財務計画・分析 (FP&A) は、通常、大規模な財務管理システムの一部です。財務管理システムには、会計、収益・キャッシュフロー管理、ガバナンス・リスク・コンプライアンス (GRC) など、核となる財務プロセスも含まれています。また、FP&A は、ERP のような他のビジネスシステムと統合されるスタンドアロン型分析ソリューションの一部である場合もあります。いずれにせよ、FP&A は、基本的なスプレッドシートと手動計算という仕組みから、最新のクラウドベースソリューションへと進化し、人工知能 (AI)、自動化、高度なアナリティクスを使用して急速に変化する世の中の財務上の課題に対応しています。

 

xP&A の誕生

2020 年 Gartner 社が、拡張計画・分析 (xP&A) の概念を発表しました。xP&A は、最高の財務計画・分析 (FP&A) 機能を取り入れて、それを企業全体に拡張して部門間のサイロを解消し、企業全体で計画をリアルタイムに同期します。このように連携した計画には、財務、営業、マーケティング、人事、サプライチェーンなどすべての部門が含まれます。そして、種々の計画を連携させることで、ビジネスの俊敏性が大幅に向上し、変化するシナリオに合わせて計画を立て、変化するシナリオに適応することが可能になります。

 

xP&A の概念は新しいものではなく、過去には、コネクテッドプランニング、統合型事業計画、統合財務計画、コラボレーティブエンタープライズプランニングなど、さまざまな名称で呼ばれていました。しかし、現在広く浸透している名称があります。それが xP&A です。サイロ化を解消するこの同期機能(複数の大手ソフトウェアベンダーが提供)は何年も前からあったのですが、現在のような誰もが予期せぬ状況に備え、迅速な方向転換が求められる今、その重要性は過去にないほど高まっています。

FP&A プロセスの基本ステップ

FP&A プロセスとは、データの収集と分析が繰り返されるサイクルです。企業が成長し、新たな市場に参入する際や、市場の変動性が高く急激に変化する時期には、このプロセスはより複雑なものになります。収集するデータが増え、分析の実施回数が増えます。大企業と中堅企業の多くが財務部門内に専任の FP&A 課を設けているのは、そのためです。しかし、複雑化が進んでいるにもかかわらず、中核となる FP&A プロセスには次の 4 つの基本ステップが変わらず含まれています。

  1. データの収集、統合、検証
    FP&A プロセスの最初のステップは、ERP システムやデータウェアハウス、その他のビジネスソリューションから財務データと業務データを収集することです。さらに、企業以外から得られるデータ(人口統計データ、経済データ、市場データなど)を収集する場合もあります。

    必要なデータをすべて収集したら、データの統合、標準化、検証を行う必要があります。正確な計画、予測、予算編成、分析は、使用するデータの品質と完全性によるため、このステップは極めて重要です。また、非常に時間もかかるため、企業は、これらのタスクの多くを自動化できる AI ベースのソリューションに目を向け始めています。
  2. 計画と予測
    このステップでは、FP&A アナリストは準備されたデータを使用して、将来の業績と、事業が正しい方向に向かっているかどうかを予測する財務予測を作成します。財務予測には、販売予測、キャッシュフロー予測などが含まれます。また、財務予測モデルを使用して、さまざまなシナリオを検証し、異なる変数の影響をシミュレートし、適切な結果を得るための最適な手順を決めます。

    最も一般的な財務計画の方法には次のようなものがあります。

    予測計画:予測計画では、FP&A 担当者は過去の業績に関する大量のデータセットに基づいてモデルを作成します。作成後、この時系列の予測モデルを使用して将来の業績を予測します。 予測アナリティクスは、単一のソリューションに組み込まれ、AI と機械学習で拡張されている場合、プランニングツールを強化する効果があります。

    ドライバーベースの計画:ドライバーベースの計画では、アナリストは会社の主要なビジネス推進要因(成功にとって最も重要なもの)を特定し、その特定したビジネス推進要因について、さまざまな変数の影響の度合いを数学的に示す一連の計画を作成します。

    マルチシナリオ計画:シナリオ計画・分析は、今日のビジネスで使用される頻度が増えている計画手法です。マルチシナリオ計画では、アナリストは将来起こりそうな事柄について仮説を立てます。結果を予測してから、妥当と思われる各シナリオに対応する計画を作成します。

    こうしたモデルと財務予測を使用して、ビジネスにとって最も重要な戦略的目標の達成に必要な財務計画と業務計画を作成します。FP&A からの情報をもとに経営幹部が策定した戦略的計画には、短期と長期の収益や純利益など大まかな目標が含まれます。

    計画の種類に関係なく、部門間のコラボレーションは不可欠です。すべてのデータ、変数、専門知識を考慮した計画を確保でき、また精度を高め、エンゲージメントを向上させることができます。コラボレーションは計画の有効性を高め、計画について同意を取り付けやすくします。ここでも xP&A は重要な役割を果たします。部門間の計画のリンクと同期が行われ、ビジネスはサイロ化を解消し、問題なく機能する 1 台のマシンとして前進できます。
  3. 予算編成
    予算編成のステップでは、FP&A 担当者は戦略的計画の収益に基づいて企業計画を実行するために必要な経費を見積もります。見積もり後、見込まれる収益とキャッシュフローとともに、経費予算を各事業部門に割り当てます。企業はすべての部門と連携し、合意済みの予算を 1 つのマスター予算にまとめます。

    通常、企業の予算は年単位で作成され、財務条件の変化に応じて四半期ごとに更新されます。しかし、流動性の高い市況に合わせて適切に対応するため、多くの企業は、ローリングフォーキャストとローリング予測で頻繁に更新される継続的な予算編成サイクルを採用するようになっています。一部の組織ではゼロベースの予算編成を採用し、必要な経費と必要ではない経費を継続的に評価することで予算の肥大化や過剰支出を回避しています。
  4. パフォーマンスのモニタリングと分析
    FP&A チームは経営幹部に助言して意思決定を支援するために、売り上げや費用、利益、運転資本、キャッシュフローなどの KPI を含めた財務データを分析して、パフォーマンスモニタリングを継続的に行います。特定の問題に関する問い合わせに回答し、データ物語のように数字をわかりやすく説明して、意思決定者が状況を把握し、熟慮したうえで行動に移すことができるようにします。

また、FP&A アナリストは、定期レポートを生成し、データを視覚化し、収益性分析などの作業を行います。こうした作業には将来の利益予測も含まれ、「来年最も収益性が高くなるだろう製品とサービスは何か」とか、「生産をアウトソーシングしたほうがよいのか、インハウスのままのほうがよいのか」といった疑問にも答えます。

FP&A に対応する最新テクノロジー

FP&A は CFO と財務リーダーにとって 2020 年の最優先事項でした。その理由は単純です。オートメーション、AI、クラウドによって状況が変わり、計画、予算、予測の精度が上がれば、財務アナリティクスがより強力なものになります。こうしたテクノロジーを FP&A の作業に取り入れている企業は、競合他社よりも将来を正確に予測することができ、それが大きなアドバンテージになるからです。 

 

クラウド:従来、FP&A ソフトウェアはオンプレミスで展開されていましたが、クラウドベースのソリューションを利用すると多くの機会を得られます。オンプレミスソリューションよりも多くのビッグデータソースに接続でき、どこからでもアクセスが可能で、簡単に他部門と連携でき、拡張性と費用対効果が優れています。また、クラウドセキュリティが近年さらに進歩し、オンプレミスで保存した場合に比べて、データの安全性が高くなるケースが多く見られるようになりました。

 

AI と機械学習:AI と機械学習で拡張された財務計画・分析ツールは FP&A アナリストにとって重宝なツールです。より多くのソースからより多くの種類のビッグデータを分析できるだけでなく、他の方法では見落とされる可能性のある傾向、パターン、相関関係、インサイトを発見することもできます。AI と機械学習により、財務予測の精度が大きく向上し、予測アナリティクス、セルフサービス型レポーティング、マルチシナリオ計画が強化されます。

 

組み込みコラボレーションツール:組み込みのコラボレーションとプランニングオーケストレーションは、プランニングプロセスと FP&A チームにおけるエンゲージメント、精度、効率の向上に役立ちます。こうした機能は、ディスカッションやコメント用ツール(Slack や Teams のようなもの)、カレンダー内の自動タスクスケジュール、さらにスマートフォン、タブレット、デジタルボードルームといったモバイルディスプレイなどを通じて利用可能です。

FP&A と COVID-19

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の流行前から、財務リーダーは財務のデジタル化と新しいテクノロジーの導入に関わるプロセスに着手していましたが、はかどってはいませんでした。AI 導入のメリットは広く知られており、需要が高かったにもかかわらず、2020 年 2 月までに AI の導入を済ませた FP&A 機能は 2% にすぎませんでした。多くの財務部門は AI 分析で有意の結果を得るために必要なデータ品質と「信頼できる唯一の情報源」を備えておらず、それが最大の障壁となっていました。

 

COVID-19 の流行が続く今、AI を活用した FP&A ツールを導入する緊急性が高まっています。多くの企業は、COVID-19 関連の一時休業や事業の中断、変化の結果として、緊急を要するキャッシュフローの問題と大きな財政的圧迫に直面しており、精度の高い予測とより現実に沿った予算を必要としています。利益を生み、コストを削減し、事業継続性を確保できる新しい創造的な方法を見つける必要があります。さらに、ニューノーマルに適応し、その中で生き残るための長期的な統合計画を策定する必要があります。

 

AI を活用した最新の FP&A ソリューションは、企業がこれらの課題に対処し、目標を達成するのに役立ちます。そのため、世界中の財務リーダーは、その普及の障壁を取り除くために、分散データガバナンス戦略を導入したり、可能な限り迅速に稼動させるために「信頼できる十分な数の情報源 (Sufficient Versions of the Truth)」を確立したりするなど、懸命に取り組んでいます。

最近の経済の不透明感と市場の流動性の結果として、高度なアナリティクスと自動化を探求することが財務部門にとってさらに重要になるでしょう。財務チームは、予測能力を高めるためにこれらの技術を必要としています。 

McKinsey

まとめ

企業の意思決定にインサイトと信頼性をもたらす FP&A は、ガイダンスとサポートの信頼できる提供源として企業内で成長しています。企業が競争力を高め、複雑化するにつれ、FP&A ソリューションが進化し、新しい課題に対応できるようになることが期待されています。

  • FP&A ツールは、データソースやビジネスシステムが増えてもシームレスな統合が可能です。
  • クラウドベースのプラットフォームは、FP&A ソフトウェアに適した導入方法になります。
  • AI ソリューションは、FP&A プロセスの高速化、精度と効率性の向上を実現します。
  • 拡張計画・分析 (xP&A) は、企業内外でのコラボレーションの障壁を取り除くのに役立ちます。
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