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ERP ソフトウェアを使っている男性

ERP とは?

エンタープライズリソースプランニング (ERP) は、ビジネス全体の運営の計画と実行を支援し、経理・財務、人事、製造、サプライチェーン、サービス、調達・購買といった分野のプロセスとその自動化を支えるソフトウェアシステムです。

ERP の詳細定義

ERP はエンタープライズリソースプランニングの略語ですが、一体何を意味しているのでしょうか。ERP を最も簡潔に定義するために、先ず企業運営に必要なすべてのコアビジネスプロセスを挙げてみましょう。経理・財務、人事、製造、サプライチェーン、サービス、調達・購買などがあります。最も基本的な ERP の仕事は、これらすべてのプロセスを 1 つの統合されたシステムで効率的に管理できるようにすることです。多くの場合、ERP は経営レベルの統合業務管理システムを指します。


今日の ERP は、その基本的な形態をはるかに超え、数十年前のそれとはほとんど別物のように進化しています。今では、ERP は多くの場合クラウドで運用され、人工知能 (AI) や機械学習などの最新テクノロジーを活用して、ビジネス全体のインテリジェントな自動化、効率性の向上、スピーディなインサイトの提供を実現しています。また、最新のクラウド ERP ソフトウェアは、社内業務を世界中のビジネスパートナーやネットワークとつなぎ、企業が今日の競争に勝ち抜くために必要なコラボレーション、アジリティ、スピードを提供します。

ERP とは?こちらのビデオをご覧ください。

ERP が重要な理由とは?

ERP ソフトウェアシステムは「企業の中枢神経系」と表現されることもあり、日常的なビジネス業務を効率的に行うために不可欠な自動連係、統合、インテリジェンスの提供を実現します。組織のデータの大部分が ERP システム内に保存され、業務全体で唯一の正確な情報源を提供します。

 

財務部門では、決算処理を迅速に行うために ERP が必要です。販売部門では、すべての受注を管理するために ERP が必要になります。物流部門では、適切な製品とサービスをスケジュールどおりに顧客に届けるために ERP が不可欠です。債務管理部門では、サプライヤーに期日どおりに正しく支払いを行うために ERP が必要です。経営陣は、タイムリーな意思決定を行うために、会社のパフォーマンスを即座に把握できる ERP が必要です。銀行と株主は正確な財務記録が必要なため、ERP による信頼性の高いデータと分析を頼りにしています。

 

企業にとっての ERP の重要性は、ERP ソフトウェアの導入率の増加が示しています。G2 によると、「世界の ERP ソフトウェア市場は 2026 年までに 784 億米ドルに達し、2019 年から 2026 年まで 10.2% の年間平均成長率で伸びるだろうと予測されています。」

ERP が重要な理由をご覧ください。

ERP がもたらす 6 つの主なメリット

優れた ERP システムには多くのメリットがありますが、そのデプロイメント方法によって内容は大きく異なります。例えば、クラウド ERP のメリットはオンプレミス ERP とは異なります。とは言え、最新の ERP ソリューションであればすべてあてはまる 6 つのメリットがあります。

イラスト:ERP のメリットを示す図
  1. 生産性の向上:基幹業務プロセスの効率化と自動化により、組織の誰もがより少ないリソースでより多くの仕事を行えるようになります。
  2. インサイトの提供:データサイロを解消し、唯一の正確な情報源を確立し、ミッションクリティカルな疑問に対して迅速に回答を得られます。
  3. 迅速なレポーティング:業務および財務に関わるレポートを迅速に作成でき、結果を簡単に共有できます。インサイトに基づいて行動し、パフォーマンスをリアルタイムで向上させることができます。
  4. リスクの軽減:業務の可視性と統制を強化し、規制要件への準拠を徹底し、リスクを予測して回避できます。
  5. シンプルな IT:データベースを共有する統合型 ERP アプリケーションを使用することで、社内の IT がシンプルになり、IT およびユーザー部門の業務も複雑さが軽減されます。
  6. 俊敏性の向上:効率的な業務とリアルタイムデータへのアクセスが可能になり、新たなチャンスをすばやく見つけ、対応できるようになります。

さまざまな業界の ERP 活用事例

自動車業界から商社・卸業界にいたるまで、あらゆる業界の企業が、その競争で生き残るために、正確でリアルタイムな情報と効果的なビジネスプロセスを必要としています。実際には、さまざまな業界がそれぞれ異なる理由から ERP を活用しています。いくつか具体的な例を挙げましょう。

  • 公益事業では、将来のサービス需要を満たすためだけでなく、老朽化した資産の交換のためにも、常に資本資産を確認する必要があります。ERP がないと、これらの主要な資産投資に優先順位を付ける作業は難しく、エラーが発生しやすくなります。また、ERP は、スペアパーツの予測という公益事業会社がかかえるもう一つの重要課題の解決にも役立ちます。供給停止時に適切な部品がないと、重大なカスタマーサービス問題が発生する可能性があります。反対に、スペアパーツの在庫が多すぎると、コストが高くなり、期限切れ在庫が発生することがあります。
  • 卸売業者、輸入業者、店舗直送企業、および 3PL/4PL 企業では、納期の遵守が非常に重要な課題です。どの企業も、物流コストを削減し、在庫回転率を高め、受注から入金までの時間を短縮したいと考えています。これらの目標を達成するには、在庫管理、購買、およびロジスティクス機能の統合と、企業のニーズに合わせてカスタマイズされた自動プロセスが必要です。
  • ディスクリート、ロット、および連続プロセス製造業者には、製品品質目標の達成、資産活用率の管理、時間外勤務コストの管理、顧客の返品処理などのために、ERP とサプライチェーンシステムが必要不可欠です。また、製造業企業は、在庫移動の監視、売上の良い製品と採算の悪い製品の特定、購買管理の効率化によって、エンドツーエンドの在庫管理を実現できます。
  • サービス企業には、会計、税金、エンジニアリング、IT、法務などのプロフェッショナルなサービスを提供する企業が含まれ、このような企業では、サービス提供へのコミットメントと財務健全性のバランスを取るために、強力なリアルタイムの ERP が必要になります。プロフェッショナルなサービス企業の成功の鍵となるのは、プロジェクトの収益性、リソース稼働率、収益認識、経常収益目標、および成長機会を管理しながら、常にスケジュールを遵守する能力です。
  • e コマースがほかの販売チャネルや実店舗運営と統合された今、小売業界は大きな変革を遂げています。製品を識別、調整、購買、出荷するためのセルフサービスオプションを提供するには、統合データが必要不可欠です。また、モダンな ERP は、小売業者がカート放棄率を削減し、Web サイトのコンバージョンを改善し、平均受注額を増やし、顧客生涯価値を高めるのを支援します。

ERP システムの仕組み

ERP システム(ERP スイートとも呼ばれます)は、相互に情報をやりとりし、ひとつのデータベースを共有するアーキテクチャが統一されたモジュールやビジネスアプリケーションで構成されます。

 

通常、各 ERP モジュールは 1 つの業務領域に焦点を置いていますが、全社的なニーズを満たすために同じデータを使用して連携しながら機能します。財務・会計、人事管理、販売管理、調達・購買、ロジスティクス、サプライチェーンは、ERP を導入することが多い領域です。企業は自社の経営管理の基盤となるモジュールを選択して、必要に応じて追加や拡張を行うことができます。

 

また、ERP システムは、システムのコア機能の一部もしくはシームレスに統合される拡張アプリケーションによって、各業種に固有の業務要件もサポートします。

 

ERP ソフトウェアは、クラウドサブスクリプションモデル (SaaS) またはライセンスモデル(オンプレミス)で購入することができます。

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これは、調達・購買および販売ユースケースの ERP ソフトウェアシステムです。その他、財務、製造、サプライチェーン分野の ERP モジュールもあります。

共通 ERP モジュール

ERP システムには、さまざまなモジュールが含まれています。各 ERP モジュールは、経理・財務、調達・購買、製造など、特定の業務プロセスをサポートし、その部門の従業員に業務上必要なトランザクション支援とインサイトを提供します。モジュールはすべて ERP システムのデータ基盤につながっており、これにより、唯一の正しい情報源と、部門間で共有される正確なデータが提供されます。

イラスト:ERP の要素を示す図

ERP システムを構成するコンポーネント

 

最も広く使用されている ERP モジュールには、以下のようなものがあります。

  1. 経理・財務:財務・会計モジュールは、多くの ERP システムの根幹をなすものです。総勘定元帳の管理と主な財務業務の自動化に加えて、債務 (AP)・債権 (AR) のモニタリング、効率的な決算処理、財務レポートの作成、収益認識標準の遵守、財務リスクの軽減などを支援します。
  2. 人事管理:ほとんどの ERP システムには、勤怠管理や給与計算などの人事管理コア機能を支援する人事モジュールが含まれています。アドオンや人事・人材管理 (HCM) スイートも ERP に接続して、要員分析から従業員エクスペリエンス管理にいたるまで、あらゆる業務に堅牢な HR 機能を提供できます。
  3. 調達・購買:調達・購買モジュールは、企業が生産するために必要な材料やサービス、もしくは再販したい品目を計画的に購入するのに役立ちます。このモジュールは、見積依頼、契約書作成、承認などの購買業務を一元化および自動化します。これにより、過少購入と過剰購入を最小限に抑え、AI を活用した分析によってサプライヤーとの交渉を改善し、さらにはグローバルのサプライヤーネットワークとシームレスにつながることができます。
  4. 販売:販売モジュールは、見込み客や顧客との商談を管理し、営業部門がデータ主導のインサイトを活用して、適切なプロモーションやアップセル機会によって、適切な目標を定め、売上促進を支援します。このモジュールには、受注管理、契約、請求処理、販売実績管理、営業マネージャのサポートなど、受注から入金までのプロセスをカバーする機能が含まれています。
  5. 製造:生産モジュールは、ERP システムの主要な生産計画と実行のコンポーネントです。このモジュールにより、企業は複雑なモノづくりプロセスをシンプルにでき、需要に沿った生産を確実に行えるようになります。通常、このモジュールには、資材所要量計画 (MRP)、生産日程計画、製造実行、品質管理などの機能が含まれています。
  6. 物流・サプライチェーン管理:ERP システムのもう一つの主要コンポーネントであるサプライチェーンモジュールは、企業のサプライチェーン全体の製品供給の状況を管理します。このモジュールは、リアルタイムの在庫管理、倉庫業務、輸送、ロジスティクスのためのサポートを提供し、サプライチェーンの可視性とレジリエンス(危機からの回復力)の向上に役立ちます。
  7. サービス: サービスモジュールによって、企業は、今日の顧客が期待するようになった信頼性が高く、パーソナライズされたサービスを提供できます。このモジュールには、修理、スペアパーツ、フィールドサービス管理に加え、その他のサービス収益管理のためのツールを含めることができます。また、サービス担当者や技術者が顧客の問題を迅速に解決し、ロイヤルティを向上させるための分析機能も提供します。
  8. R&D・エンジニアリング: より豊富な機能を備えた ERP システムには、R&D ・エンジニアリングモジュールが含まれています。このモジュールには、製品の設計と開発、製品ライフサイクル管理 (PLM)、製品コンプライアンスなどのためのツールが用意されているため、企業は迅速かつ費用対効果を測りながら新たなイノベーションを創出できます。
  9. 設備資産管理:ERP システムには EAM モジュールを追加することができます。これにより、設備資産集約型企業はダウンタイムを最小限に抑え、プラントと設備を最大効率で稼動させ続けることができます。このモジュールには、予防保全、日程計画、設備資産の運用と計画、環境および安全衛生 (EHS) などの機能が含まれています。

    ERP デプロイメントの種類

    モダンな ERP システムは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス、または複数の環境を組み合わせたハイブリッドシナリオなど、さまざまな方法で導入できます。以下に示す各タイプにはそれぞれ固有のメリットがあります。各社ニーズに合った ERP デプロイメントオプションを選択してください。

    イラスト:ERP のデプロイメントオプションを示す図

    ERP デプロイメントの種類

     

    クラウド ERP

    クラウド ERP では、ソフトウェアはクラウドにホスティングされ、サブスクリプションサービスとして提供されます。通常、ソフトウェアベンダーが企業に代わって定期的なメンテナンス、アップデート、およびセキュリティ対応を行います。現在、クラウド ERP は、初期コストの低さ、スケーラビリティと俊敏性の高さ、統合の容易さなど、数多くの理由から最も人気のある導入方法になっています。

     

    オンプレミス ERP

    各企業ですべてを管理する従来型のソフトウェア導入モデルです。通常、ERP ソフトウェアは各社が管理するデータセンターにインストールされます。ハードウェアの設置、ソフトウェアのインストール、メンテナンスは、各企業の担当者が行います。

     

    多くの企業がオンプレミスの ERP システムをモダナイズして、クラウドデプロイメントへと移行しています。これには、ERP アップグレードの計画だけでなく、ERP ソフトウェアを評価し、デプロイメントオプションを検討する緻密なプロセスも必要になります。

     

    ハイブリッド ERP

    業務要件に合わせてクラウド ERP とオンプレミス ERP の両方を使用したい企業には、ハイブリッド ERP モデルがあります。ハイブリッド ERP では、一部の ERP アプリケーションとデータをクラウドに展開し、その他の ERP アプリケーションとデータをオンプレミスで展開します。ハイブリッド ERP は 2 層 ERP とも呼ばれます。

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    どの導入オプションにおいても、経理・財務向け ERP は、日々の会計管理や決算処理プロセスを安全に管理できるようサポートします。

    ERP との統合

    現在の ERP システムは、そのままでも幅広いビジネス機能を備えていますが、さらに効率的でインテリジェントな企業を目指すためには CRM や HCM ソフトウェア、e コマースプラットフォーム、業種別ソリューション、別の ERP など、ほかのアプリケーションやデータソースと接続したり連携したりする必要があります。ERP を他のシステムと統合することで、企業は、さまざまなシステムからの情報を一元的に把握し、ビジネスプロセスの効率性を高め、カスタマーエクスペリエンスを改善し、チームやビジネスパートナーとの協業を促進することができます。

     

    モダンな ERP システムはオープンかつ柔軟であり、API などのコネクターやカスタマイズされたアダプターを使用して、幅広い他のソフトウェア製品と容易に統合することができます。ERP を他のシステムと統合するそのほかの方法としては、ESB(エンタープライズサービスバス)や iPaaS (integration Platform-as-a-Service) などがあります。クラウドを活用した統合を提供する iPaaS は、現代の企業にとって優先度の高いオプションです。iPaaSは、オンプレミス ERP やクラウド ERP を、同じベンダーやサードパーティの SaaS アプリケーションと迅速に連携させることができます。iPaaS プラットフォームは通常、コーディングをほとんど必要とせず、柔軟で比較的低コストです。また、自動 API 生成、機械学習データの統合、モノのインターネット (IoT) のネットワーク統合、事前構築済コンテンツなど、さまざまな用途を満たします。

    ERP の総コスト

    ERP のコストは、ソフトウェアベンダー、選択したモジュール、導入方法によって異なります。一般的に、クラウド ERP は、ハードウェアを購入する必要がなく、人件費が高い社内 IT エキスパートを雇用する必要もないため、オンプレミス ERP よりも低コストに抑えられます。ベンダーが保守管理を行い、通常はユーザー数に基づいて、年額または月額のサブスクリプション料金を顧客に請求する形になります。

     

    ERP 新規導入の投資回収率 (ROI) と総所有コスト (TCO) を計算する場合、初期および継続的に発生する人件費は、ソフトウェアの選択や導入コストと同じくらい重要な検討項目になります。クラウドオプションとハイブリッドオプションでは、新しい要素を検討する必要があります。例えば、ソフトウェアの保守管理、設備、コンピューターの容量、ダウンタイム、復旧、セキュリティ、プライバシー、および IT スタッフのコストなど、これらすべてを慎重に検討する必要があります。前述のとおり、クラウドオプションでは、資本コストと運用コストが大幅に削減され、ROI と TCO どちらも改善されます。

    ERP の歴史:ERP の急速な進化

    コンピューター化されたビジネスアプリケーションは、メインフレームコンピューターを使用していた 1960 年代に会計・財務の領域で誕生しました。これらの先駆的なアプリケーションは、手動のプロセスよりは高速で正確ではあるものの、コストがかかり、機能が限られていて、まだまだ低速なものでした。やがて、これらのアプリケーションによって、受注処理や製造所要量計画 (MRP) などの専用のスタンドアロンソリューションの開発が始まりました。

     

    1980 年代半ばには、製造業界での競争が激化し、新しいツールが必要になりました。そこで、新たに登場した MRP II ソフトウェアは、会計・財務、販売、購買、在庫、製造の計画とスケジューリングを統合し、製造業者に統合システムを提供しました。

     

    1990 年代の終わりごろには、ERP が登場しました。ERP は、幅広い業種に対応し、MRP II、人事管理、プロジェクトの会計管理、およびエンドユーザーレポートを組み合わせることで、企業の経営管理に変革を起こしました。

     

    21 世紀になってからこの短い間に、インターネットの高速化と新たな開発ツールによって、 ERP スイートに再び革命がもたらされました。ブラウザベースのソフトウェアの登場により、クラウド ERP ソフトウェアへの道が開かれ、ERP システムの範囲と機能を拡大させる飛躍的進歩となりました。

     

    現在、デジタルトランスフォーメーションの時代において、モダンな ERP システムは、AI、機械学習、ロボティックプロセスオートメーション (RPA)、IoT、自然言語処理 (NLP)、インメモリーデータベースなどの新しいインテリジェントテクノロジーを積極的に活用しています。ERP システムによって、企業はより効率的なプロセスを運用し、トランザクションデータと非構造化データの両方から最新のインサイトを獲得し、かつてないほどの変化の激しい時代に、高い競争力を維持することができます。

    イラスト:ERP の歴史を示す図

    ERP の未来

    現在、デジタルトランスフォーメーションは加速度的に進み、ERP がその中核を担っています。企業は、ビジネスのあらゆる場面でデジタルテクノロジーを採用しながら、事業運営方法を根本的に変えつつあります。

     

    Gartner 社は、コアデジタルビジネスを推進する方法の一つとして、「障害の排除」を挙げています。つまり、古いプロセスやシステムなど、ビジネスの停滞を招く悪影響を排除することです。したがって、企業がすでにより堅牢な ERP システムを求めているのは驚くべきことではありません。

     

    現在、勢いのある 3 つの主なトレンドを紹介します。

     

    1. クラウドを求める声:場所を問わないアクセスのしやすさ、ハードウェアとテクニカルサポートにおけるコスト削減、セキュリティ強化、他のシステムとの統合など、数多くのクラウド ERP のメリットに気づく企業が増えるにつれ、その人気はますます高まっています。Panorama Research 社の 2020 年 ERP レポートによると、「半数以上の企業がオンプレミスソフトウェア (37%) ではなく、クラウドソフトウェア (63%) を選択しています」。ビジネスのスピードが加速するにつれ、クラウドの必要性も高まり続けています。
    2. 垂直統合:最高品質のソリューションと統合 ERP の主導権争いは完全に終わりました。今後、企業は両方の長所、つまり、垂直方向の拡張機能を備えた完全に統合された ERP システムを求めると考えられます。これにより、企業は統合に関わる面倒な問題や、情報サイロから取り出せないデータから解放され、必要な機能を利用することができます。また、ビジネスプロセスは各企業のニーズに合わせて調整されるため、今後の ERP の焦点は柔軟性の向上へとシフトしていくと考えられます。
    3. ユーザーのパーソナライゼーション:スタッフ、顧客、サプライヤーは皆、自身のニーズや関心と一致した、生産性を高めるコンテンツと機能を求めています。特に製造業などの業界では、従業員の人口統計の変化もまた、ローコード/ノーコードプラットフォームへの関心を高める要因となっています。このようなプラットフォームにより、ユーザーはそのソフトウェアに精通していなくても、ソフトウェアを使いこなすことができます。また、カスタマイズされたダッシュボード、AI 主導の検索、パーソナライズされたチャットやワークフローを、デバイスを問わず活用できます。

     

    ERP テクノロジートレンドについては、こちらをご覧ください。オプションの体系的な評価、潜在リスクの回避方法、自社ビジネスに適したイノベーションへの取り組みをご確認ください。

    ERP システムに求めるべき 10 のこと

    モダンな ERP システムには、業種やモジュールに基づいて多くの機能がありますが、すべてのエンタープライズリソース管理システムに必要な 10 の基本機能を以下ご紹介します。

     

    1. 共通のデータベース:一元化された情報と唯一の正確な情報源により、一貫性のある共有データと職務横断的な視点を提供します。
    2. 組み込み型アナリティクス: ビルトインのアナリティクス、セルフサービス BI、レポート、およびコンプライアンスツールにより、ビジネスのあらゆる領域にインテリジェントなインサイトを提供できます。
    3. データのビジュアル化:ダッシュボード、KPI、ポイント&クリック分析により、重要な情報を視覚化して、情報に基づく迅速な意思決定を支援します。
    4. 自動化:反復タスクの自動化と、AI機械学習を活用した高度な RPA
    5. 一貫性のある UI/UX:モジュール間で共通のルック & フィールを備えるとともに、プロセス、ユーザー(顧客やサプライヤーを含む)、ビジネスユニット、ロケーション、製品ライン用の使いやすい設定ツールとパーソナライゼーションツールを提供します。
    6. 統合: ビジネスプロセスとワークフローのシームレスな統合、およびサードパーティー製品を含む他のソフトウェアソリューションやデータソースとのオープンで容易な統合。
    7. 新しいテクノロジー:AI と機械学習、デジタルアシスタント、IoTRPA、セキュリティとプライバシー、およびモバイルのサポート。
    8. テクノロジープラットフォーム:ローコード/ノーコードプラットフォーム、iPaaS、データ管理など、長期投資に適した迅速かつ安定した実証済みのテクノロジースタック。
    9. 多国籍サポート:言語、通貨、各地域のビジネス慣行や規制への対応に加え、クラウドサービス、トレーニング、ヘルプデスク、および導入のためのテクニカルサポートが含まれます。
    10. デプロイメントオプション: クラウド、オンプレミス、またはハイブリッド。
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    ERP の規模:選択肢は?

    ERP はグローバルな大企業だけが対象のシステムではありません。ERP ソリューションは、中堅・中小企業から大企業まで、あらゆる規模の企業向けに設計されています。また、業種および会社に特化した機能も用意されているため、それぞれの企業固有のビジネスニーズを満たすことができます。業界や規模に関係なく、ベストプラクティスに従って、ERP 導入プロジェクトを慎重に計画する必要があります。

     

    中小企業向け ERP

    中小企業向け ERP ソフトウェアは、成長を続ける企業がスプレッドシートから脱却し、販売、顧客関係、経理・財務、オペレーションなど、あらゆる業務を効率的に管理できるよう支援します。中小企業向け ERP ツールはクラウド対応のものが多く、インストールが簡単です。また、ビジネスの成長に合わせて拡張できるように設計されています。

     

    中堅企業向け ERP

    中堅企業および子会社向けに設計された ERP ソフトウェアでは、標準装備の分析機能、短期導入支援サービス、財務・会計、人事、サプライチェーン管理など、さまざまなビジネスプロセスのベストプラクティスを活用できるようになっています。 中堅企業向け ERP ツールは、限られたリソースでも、成長企業に拡張性と競争力をもたらします。モジュール型のクラウドベースのエンタープライズ ERP システムは、複雑なプロセスがあったり、急速な成長を計画している中堅企業にも人気があります。

     

    大企業向け ERP

    グローバルに展開する、または多くの子会社を持つ大企業には、AI、機械学習、アナリティクスが組み込まれた、市場をリードする堅牢な ERP システムと、ビジネスモデルやプロセスを変革するためのインテリジェントな自動化が必要です。ERP システムの導入オプションとしては、ビジネスニーズに応じて、オンプレミス型、クラウド型、ハイブリッド型を選択できます。また、ERP システムは、既存のデータベースに統合することも、より新しい強力なインメモリーデータベース上で実行することもできます。

     

    多くの企業がオンプレミスの ERP システムをモダナイズして、クラウドデプロイメントに移行しています。これには、ERP アップグレードの計画だけでなく、ERP の評価デプロイメントオプションの検討も必要になります。

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    ERP ソフトウェアの詳細

    SAP は、あらゆる規模の企業に対して、各社独自のビジネスニーズを満たす ERP ソリューションをご用意します。

    その他の記事

    ERP に関する FAQ

    ERP システムは、企業のコアビジネスプロセス(財務・会計、サプライチェーン、人事、調達・購買、販売、在庫管理など)を管理するための一連の統合されたアプリケーションやモジュールです。複数の ERP モジュールが 1 つの完全なシステムに統合され、データベースを共有することにより、全社規模でプロセスと情報が合理化されます。企業は自社の成長に合わせて ERP の規模を拡大できます。

    クラウド ERP は、オンプレミスではなくクラウドで提供される ERP です。クラウドは、アクセス、信頼性、安全性、拡張性に優れた、ミッションクリティカルなソフトウェア向けのプラットフォームであるため、ERP にとって最適な環境です。真のクラウド ERP ソフトウェアは、クラウド専用に開発されており、クラウド環境を最大限に活用します。クラウド ERPERP 導入オプションの詳細をご確認ください。

    会計領域において、ERP は、エンタープライズリソースプランニングの略で、ビジネス管理ソフトウェアの一種です。ERP 財務モジュールは、債務/債権管理、総勘定元帳、経費管理、レポーティング/分析向けツールなど、会計ソフトウェアと同じ機能を数多く提供します。ERP には、財務に加えて、サプライチェーンや人事など、さまざまな業務向けのモジュールが含まれ、すべてが 1 つのシステムとして統合されています。

    多くの企業が、最初は QuickBooks や Excel といったシンプルなスタンドアロンツールを使用してビジネスプロセスを管理しますが、このようなツールでは徐々に対応しきれなくなります。そしてそのうち、モダンな ERP が必要な時期がやってくるのです。モダンな ERP の導入に適したタイミングが来ていることを示す 5 つの兆候をご紹介します。

    1. 日常業務に費やす時間が多くなってきたと感じる:決算処理などの業務にかかる時間が長くなってきたと感じる場合、ばらばらのアプリケーションの数が多すぎることが一因となっている可能性があります。ERP ソフトウェアでは、ソリューションとデータが共通インターフェースを備えた単一システム上で統合されます。これにより、部門間のコミュニケーションが容易になり、業務を効率的に遂行できるようになります。
    2. 答えられない業務上の質問が多数ある:製品ラインごとの収益や返品数など、現在の業務に関わる重要な質問に即答できますか?これが難しい場合、重要な指標や KPI に即時アクセスできないことが原因だと考えられます。ERP ソフトウェアは、このような質問に即答できるように設計されています。
    3. ニーズを満たしていないビジネスプロセスがある:現在の業務に合っていないプロセスはありませんか?在庫を管理したり、顧客を満足させたり、コストを抑えることができないプロセスはありませんか?そういったビジネスプロセスは、成長または変化する優先課題に対応するように再構築する必要があります。ERP ソフトウェアであれば、それが可能です。
    4. 同じデータセットを使用する手動プロセスが複数ある:部門独自のアプリケーションやプロセスを使用して仕事をしている部署はありませんか?そうである場合、重複したデータ入力のために多くの時間を無駄に使っている可能性があります。情報がシステム間を行き来できない場合、レポート作成に時間がかかり、エラーが頻繁に発生し、意思決定が妨げられます。
    5. つかむべきチャンスを逃がしている:ビジネスチャンスを追い求める時間を作れないほど、日常業務に時間を費やしていませんか?最新の ERP システムには、機械学習や予測分析など、高度なインテリジェント機能が含まれています。これらの機能を使用することで、収益性の高い新しい領域を容易に特定し、資本投下することができます。

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