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AI アシスタントを使用している男性

人工知能とは?

人工知能 (AI) の初期の定義は、人工知能の父と呼ばれるマービン・ミンスキー (Marvin Minsky) 氏によるものです。ミンスキー氏は AI を「人間がやれば知能が必要になるようなことを、機械にさせる科学」と表現しました。この定義の核心は事実であるものの、現代のコンピューター科学者はもう少し踏み込んでおり、AI の定義を「環境を知覚し、目標を達成する好機を最大限に活かすための行動を取ることができるシステム」としています。さらに、そのシステムは、学習と順応という手段を使ってデータを解釈および分析する能力を備えているものとしています。

AI の歴史

ギリシア神話のピグマリオンからヴィクトリア朝のフランケンシュタインの話まで、人は昔から、人のように考え、行動できる人造の存在を作り出すという発想に魅了されてきました。そして、コンピューターの隆盛に伴い、人工知能のビジョンは、自己完結し独立した実体という形ではなく、人間のニーズを補いこれに適応できる、一連のツールやコネクテッドテクノロジーという形で出現するのだということを、今、私たちは認識するに至っています。

 

人工知能という用語は、1956 年、ニューハンプシャー州ハノーバーにあるダートマス大学で開催された科学会議で生まれました。それ以来、AI とデータ管理は大いに相互依存する形で発展してきました。AI は有意義なロバスト解析を行うために、大量のビッグデータを必要とします。システムは多数のデータをデジタル処理するために AI を必要とします。そのため AI の歴史は、コンピューティング能力やデータベーステクノロジーの隆盛と並行して発展してきました。

 

かつては数ギガバイトのデータしか処理できなかったビジネスシステムは、今や、数テラバイトを管理できるようになり、AI を使って結果とインサイトをリアルタイムで処理できるようになりました。また AI テクノロジーは、村にふらりと現れる人造物とは違い、俊敏性と即応性に優れ、人間のパートナーに取って代わるのではなく、人間を助け、人間の能力を強化することを目的として設計されています。

AI の種類

AI は、技術開発において最も急速に成長している領域の一つです。しかし今日では、最も複雑な AI モデルでさえ、3 つの AI タイプの中で最も基本的な「特化型人工知能」しか利用できていません。他の 2 つは依然として SF 小説に登場するものであり、現時点では実用レベルにはなっていません。とはいえ、過去 50 年でコンピューター科学が進歩した速度を考えると、AI の未来がどのようなものか言い当てるのは難しいと言わざるを得ないでしょう。

3 種類の主要 AI

人工知能 (AI) の種類

特化型人工知能 (ANI)


ANIは、今日存在する AI の一種で、「弱い」AI としても知られています。特化型 AI によって実行可能なタスクが、非常に複雑なアルゴリズムとニューラルネットワークによって機能するとしても、それらは単独の目標指向のものになります。顔認識やインターネット検索、自動運転車はいずれも、特化型 AI の例です。「弱い」とされるのは、範囲や力が不足しているからではなく、私たちが真の知能と見なす人間の構成要素を持つ段階までには全く至っていないからです。哲学者ジョン・サール (John Searle) 氏は、特化型 AI を「心についての仮説を検証するのには有用だが、実際の心にはほど遠い」と定義しています。

 

汎用型人工知能 (AGI)

 

AGI は、人間が実行できるあらゆる知的タスクを、問題なく実行できるものである必要があります。特化型 AI システムと同様、AGI システムは経験から学び、パターンを特定し予測できますが、さらにもう一段高い能力を持ちます。AGI は、取得したデータや既存のアルゴリズムでは解決できない幅広いタスクや状況に対しても、知識に基づいて推定を行うことができます。

 

スーパーコンピューター「サミット(Summit)」は、AGI を実証しようとする世界にいる数少ないスーパーコンピューターの一つです。1 秒で 20 京回の計算を実行できます。これを人間が行うとすれば 10 億年かかるでしょう。AGI モデルを有意義に実行可能なものにするためには、これほど巨大なパワーが必ず必要になるということはないかもしれませんが、現在スーパーコンピューターレベルでのみ実現する演算能力は必要になるでしょう。

 

人工超知能 (ASI)

 

ASI システムは、理論的には完全自己認識型です。単に人間の行動を模倣したり理解したりするだけでなく、根本的なレベルで人間の行動を把握します。

 

このような人間の特性を身に付け、さらには人間をはるかに超える処理能力や分析力を備えた ASI がもし生まれれば、未来、人類にとって悪夢のような SF 的世界が待っているのかもしれません。

 

現在生きている人間がこのような世界を見ることはないでしょう。とはいえ、ほぼあらゆる面で人間を凌駕するような人工知能が生まれる未来に備えて、倫理的な指針や管理責任を考えなければならないほどの速度で、AI は進歩を続けています。スティーブン・ホーキング氏は次のように述べています。「AI には大きな可能性があります。だからこそ、潜在的な落とし穴を避けながら、いかにしてメリットを得るのか、その方法を研究することが重要なのです。」

AI のメリット

ほんの数十年前、ビジネスにおける AI の使用は「アーリーアダプター」の位置付けにあり、その可能性はいくぶん理論上のものでした。それ以来、AI のテクノロジーとアプリケーションは進歩を続け、2024 年までに AI テクノロジー支出が 2 倍以上になると IDC が予測するまでに、ビジネスの価値を高めてきました。これはほんの 2020 年以降の話です。さらに AI テクノロジーが向上するにつれて、その潜在能力と、それを実現するために必要とされる創造性に対する人間の理解も深まります。ビジネスの現場では、AI システムから重要なメリットが次々と生み出されています。以下、そのうち 5 つを紹介します。

  1. ビジネス全体のレジリエンス:コンピューターが存在するずっと前から、企業はビジネス、市場、および顧客に関するデータを収集し、理解することの価値を認識していました。そして、データの規模が大きくなり、複雑になるにつれて、データを正確かつタイムリーに分析することは難しくなっていきましたが、そこに AI を活用したソリューションが誕生しました。AI を活用すれば、ビッグデータを管理するだけでなく、そこから実用的なインサイトを引き出すことができます。複雑なプロセスを自動化し、リソースを効率的に使用できるとともに、混乱(およびチャンス)の発生を予測して、それに対応することができます。
  2. 顧客サービスの改善:AI により、企業はサービス提供をパーソナライズし、顧客とリアルタイムでやり取りできます。消費者がセールスファネルで「リード」から「コンバージョン」へと移行する中で、複雑で多様なデータセットが生成されます。ビジネスシステムは、AI によってこのデータを活用して、顧客への対応とエンゲージメントを向上させることができます。
  3. 確信に満ちた意思決定:優れたビジネスリーダーは常に、十分な情報に基づく迅速な意思決定に努めています。決定が重要であるほど、無数の複雑な構成要素や相互依存性を伴う可能性が高くなります。AI は、確信に満ちたリアルタイムの意思決定をサポートする高度なデータ分析と実用的なインサイトにより、人間の知恵と経験を補って強化するのに役立ちます。
  4. 関連商品・サービス:従来の R&D モデルの多くは回顧的でした。実績や顧客フィードバックデータの分析は、製品やサービスが市場に投入されたずっと後まで行われないこともありました。また、市場における潜在的なギャップやビジネスチャンスをすばやく特定できるシステムも導入されていませんでした。AI を活用したシステムにより、企業はさまざまなデータセットをリアルタイムかつ同時に見ることができます。これにより、最も関連性の高い最新の市場データや顧客データに基づいて、既存製品を改良したり、新しい製品を導入したりできます。
  5. 従業員の高いエンゲージメント:最近の Gallup 調査によると、従業員が高いエンゲージメントを報告している企業は、平均で最大 21%、収益性が高いことが示されています。職場における AI テクノロジーによって、日常業務の負担が軽減され、従業員はより充実した業務に注力することができます。AI を使用する人事テクノロジーは、社員が不安、疲労、退屈を感じていることに気付く上でも役立ちます。健康に関するアドバイスをパーソナライズし、タスクの優先順位付けを支援することで、AI は従業員をサポートし、健全なワークライフバランスの回復を支援することができます。

AI テクノロジー

AI が有用であるためには、適用可能である必要があります。AI の真の価値は、AI が実用的なインサイトを提供する場合にのみ実現されます。人間の脳と AI を比較して考えれば、AI テクノロジーは、人間の手、目、体の動きのようなもので、それはすべて脳のアイデアを実行に移すものです。以下は、最も広く使用され、急速に進歩している AI テクノロジーの一部です。

人工知能テクノロジー

AI テクノロジー

機械学習


機械学習 (およびそのすべての構成要素) は、AI のサブセットになります。機械学習では、アルゴリズムがさまざまな種類の学習および分析に適用されます。これにより、明示的にプログラミングしなくても、経験から自動的に学習し、改善を行うことができます。ビジネスの場合、複雑なデータ分析から得られる予測型の結果を必要とするあらゆる問題または目標に、機械学習を適用することができます。

 

AI と機械学習の違いは何でしょうか。機械学習は AI の構成要素であり、AI がなければ存在できません。そのため違いがあると言えるほど大きな違いはありません。AI は、処理したデータに基づいて決定と予測を行います。AI は、機械学習アルゴリズムによってデータを処理するだけでなく、データを使った学習を通じて、さらなるプログラミングの必要なく判断能力を高めていきます。

デモをリクエスト

AI や機械学習など、インテリジェントテクノロジーの活用例をご覧ください。

自然言語処理 (NLP)


NLP は、機械が書き言葉や音声コマンド、あるいはその両方を認識し理解することを支援します。これには、人間の言語を、アルゴリズムが理解できる形に翻訳する機能が含まれます。自然言語生成 (Natural Language Generation, NLG) は、機械がデジタル言語を自然言語に変換することを可能にする、NLP のサブセットです。より高度なアプリケーションでは、NLP は文脈を使って態度、気分、その他主観的な側面を推測し、意味を非常に正確に解釈することができます。NLP の実用アプリケーションとしては、チャットボットや、Siri や Alexa のようなデジタル音声アシスタントなどがあります。

チャットボットとは何でしょうか。このデジタルアシスタントがどんなものなのか、さらにデジタルアシスタントが NLP をどのように活用するのかご覧ください。

コンピュータービジョン


コンピュータービジョンとは、コンピューターがデジタル画像や動画を認識したり分類したりするだけでなく、デジタル画像や動画を理解して「見る」方法です。コンピュータービジョンアプリケーションでは、センサーと学習アルゴリズムを使用して複雑なコンテキスト情報を抽出し、これを他のプロセスの自動化や通知に使用することができます。コンピュータービジョンは、予測を目的としてデータを推定することもできます。つまり、壁を通して見たり、角を曲がった先を予測する、といったことを行います。自動運転車は、コンピュータービジョンが活用されている好例です。

 

ロボティクス


ロボットはまったく新しいものではなく、製造業などで長年使用されてきました。ただし AI を適用しない場合、自動化を実行するには手動のプログラミングおよび調整を行う必要があります。こうしたワークフローに弱点や非効率性が存在する場合、それを発見できるのは、事実の後または何かが故障した後のみです。人間のオペレーターでは、問題の原因を特定したり、効率と生産性を高めるために必要な改善を見つけられないことがよくあります。そこに AI が(通常は IoT センサーを介して)組み込まれると、実行されるロボットのタスクの範囲、量、種類を大幅に拡大することができます。産業ロボティクスの例としては、大規模な倉庫で使用されるオーダーピッキングロボットや、農作物を最適なタイミングで選別または提供するようにプログラミングできる農業用ロボットがあります。

エンタープライズ AI の活用例

AI ソリューションが業務にもたらすメリットや競争上の優位性を実感している企業は、年々増え続けています。医療や銀行などの一部のセクターは、とりわけ膨大で脆弱なデータセットを保持しており、こうしたセクターにとって、AI の有用性は早い段階から明らかでした。しかし今日では、最新の AI の範囲とアクセス可能性により、ほぼすべてのビジネスモデルにわたって、関連するアプリケーションが存在しています。以下の例は、このような業種のほんの一部です。

  • 医療における AI
    医療用データセットは、世界で最も大規模かつ最も複雑、そして最も機密性の高いデータセットです。医療における AI は、そのデータを活用して診断と治療プロトコル、および患者の治療結果の間に関係を見つけることです。さらに今、医療現場では、他の領域やイニシアチブをサポートする AI ソリューションにも注目しています。例えば、従業員の満足度と最適化、患者の満足度、コスト削減などです。医療機関にインテリジェントテクノロジーとデジタル化を取り入れることのメリットをご確認ください。
  • 銀行における AI
    銀行や金融機関では、セキュリティ、コンプライアンス、トランザクション速度に対するニーズが高まっており、この業種は、AI テクノロジーを最も早く導入した業種の一つでした。AI ボット、デジタル支払アドバイザー、生体認証不正検出メカニズムなどの機能はすべて、効率や顧客サービスの向上、ならびにリスクおよび不正の削減に役立ちます。銀行は、デジタル化とインテリジェントテクノロジーによるエンドツーエンドサービスを推進しています。その方法をご覧ください。
  • 製造業における AI
    デバイスと機械が接続され、一元的なシステムを介してデータを送受信することで、IoT ネットワークが構成されます。AI はその情報を処理するだけでなく、これを使用してビジネスチャンスや混乱の発生を予測し、最適なタスクとワークフローを自動化します。スマートファクトリーでは、AI は、3D プリンター向けのオンデマンド製造プロトコルや仮想在庫へと拡張されます。Adidas 社は機械学習を活用して、カスタムスニーカーをわずか 24 時間で提供しています。
  • 小売業における AI
    パンデミックは買い物の習慣に多大な影響を与え、前年の同時期と比較してオンラインショッピングが大幅に増加しました。これは小売業者にとって、極めて競争が激しく急速に変化する環境につながるものでした。オンラインの買い物客は、さまざまなタッチポイントで関わりを持ち、かつてない量の複雑な非構造化データセットを生み出しています。このデータを最もよく理解して活用するために、小売業者は、多種多様なデータセットを処理および分析して、有用なインサイトや顧客とのリアルタイムなやり取りを提供できる AI ソリューションを求めています。インテリジェントテクノロジーとデジタル化を活用して、新しい小売業界の課題と機会に対応する方法をご覧ください。
  • 農業における AI
    農業では、AI アプリケーションによって生産量が増加し、サステナビリティに関する革新的な研究が進められています。AI の予測能力は、農業・食品サプライチェーンの効率向上にもつながりました。例えば、熟し加減の時系列、天候、市場までの距離に関するデータを評価することにより、予測分析によって、さまざまな種類の農作物を収穫する最も効率的なタイミングを農家に通知することができます。これには、農作物を収穫し処理すべきタイミングと量を推測する、農業用ロボットのワークフローの自動化が含まれます。

AI の倫理と課題

1948年、コンピューター科学のパイオニアであるアラン・チューリング (Alan Turing) 氏は、「コンピューターが、コンピュータを人間であると人間に信じ込ませることができるなら、コンピューターは知的と称するに値する」と言いました。現代の AI 駆動型コンピューターの処理速度と分析力は、チューリングには信じられないものでしょうが、それでも彼は、それほどの能力によって生まれる倫理上のジレンマを理解していた可能性が高いと言えるでしょう。AI が私たちを理解し、模倣していくにつれ、ますます人間らしく見えるようになっています。また、私たちがデジタルチャネルを介して生成する個人データの量が増えつつある中、より一層、私たちの日常生活を多くの場面で支える AI アプリケーションに、高い信頼性を求めるようになっています。以下、ビジネスリーダーが監視する必要がある倫理上の課題の例をご紹介します。

AI 倫理に関する SAP のガイドラインはこちら

SAP の AI ソフトウェアの開発と導入に関する原則は以下のとおりです。

  • 顧客データの倫理的使用
    2020 年代に入り、企業や個人として共有および収集される情報の大部分は、デジタル接続されたチャネルから生まれています。2020 年の初め、世界には 35 億台以上のスマートフォンがあり、そのすべてが、ソーシャルメディアや検索行動を通じて、GPS の位置情報からユーザーの個人的な詳細や好みまで、さまざまな種類の膨大な量のデータを生成していました。企業が顧客の個人情報に幅広くアクセスできるようになるにつれて、プライバシーを保護し、リスクを最小限に抑えるために、ベンチマークやプロトコルを設定することが非常に重要になっています。
  • AI のバイアス
    AI システムのアルゴリズムのプログラミング時に忍び込む人間のバイアス、または機械学習プロセス内の誤った仮定により広まる体系的な偏見によって、AI システムにバイアスが入り込むことがあります。1 つ目においては、これが発生する過程は明白です。しかし 2 つ目は、これを見極め、避けることは困難である可能性があります。AI バイアスの有名な例は、米国の医療システムで発生しました。このシステムでは、治療の基準を割り当てるために AI アプリケーションが使用されていました。このアルゴリズムは、ある特定層は治療費を支払えない場合が多いと学習しました。次いで、アルゴリズムはこの情報から推定を行い、この層には治療を受ける権利がない場合が多いという誤った関連付けを行いました。この不幸な誤りを発見した後、UC バークレーのコンピューター科学者が開発者と協力してアルゴリズムの変数を修正し、バイアスを 84% 削減しました。
  • AI の透明性と説明可能な AI
    AI の透明性とは、アルゴリズムがなぜ、どのようにその結論や決定に至ったかわかることを意味します。結果を通知する AI や機械学習のアルゴリズム、およびその結果そのものも、非常に複雑で、理解できないものであることはよくあります。このようなアルゴリズムは「ブラックボックス」モデルとして知られています。企業にとっては、データモデルが公平で、偏りなく、説明可能で、外部から精査可能であることが重要です。特に航空や医療などの分野では、人間の命が懸かっています。そのため、このデータを使用する人間は、データガバナンスに真剣に取り組むことが必要です。
  • ディープフェイクとフェイクニュース
    ディープフェイクは、「ディープラーニング」と「フェイク」の混成語です。これは AI と機械学習を使用して、通常は映像の中で、人の顔を別の人の身体に重ねる手法で、オリジナルと区別できないほどの精度を出すことができます。これを無害な形で使うと、映画『アイリッシュマン』の中でロバート・デ・ニーロやジョー・ペシが 30 歳若返ったように、驚くべき視覚効果をもたらすことができます。しかし残念なことに、一般的には、フェイクニュースを作ったり、有名人をどぎつい映像や不道徳な映像に登場させることに、よく利用されています。

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