アナリティクスとは?
企業、人、モノは日々大量のデータを生み出しています。地球上では、毎日 2,940 億通のメールと 5 億件のツイートが飛び交い、Google には 35 億件の検索が打ち込まれています。コネクテッドカーは、実に 4 ペタバイトものデータを生み出しています。さらに腕時計、冷蔵庫、テレビでさえも絶えずデータを生成・共有しています。
こうしたデータに潜むインサイトは、ビジネスの爆発的な成長のきっかけとなる可能性があります。問題はそれをどう見つけるかであり、その切り札がアナリティクスです。
アナリティクスの基本定義
アナリティクスは、数学、統計、機械学習を使用してデータから有意なパターンを発見するコンピューターサイエンスの一分野です。アナリティクスまたはデータアナリティクスでは、大量のデータセットを取捨選択して新しいインサイトや知識を発見、解釈、共有します。
ビジネスアナリティクスとは?
一言で言えば、ビジネスアナリティクスとは、アナリティクスをビジネスデータに応用したもので、データが持つビジネス上の意味合い、およびその結果として行うべき意思決定と行動に重点を置いています。
ビジネスアナリティクスの重要性
今や、ビジネスアナリティクスソフトウェアを使用しているかどうかが、業界の勝者と敗者を分ける決定的要因となることが少なくありません。大手企業は、アナリティクスを使用して、マーケティングからサプライチェーンまで、業務のあらゆる側面をリアルタイムで監視し、最適化しています。また、アナリティクスを利用して、データに基づく迅速な意思決定、収益の拡大、新しいビジネスモデルの確立、最高のカスタマーエクスペリエンス、従業員の能力強化、競争優位性の獲得などを支援しています。アナリティクスを持たない、というよりも優れたアナリティクスを持たない企業は、直感と経験だけに基づいて意思決定を行い、ビジネスを行うことを余儀なくされます。
あらゆる業界の大手企業は、競争の武器としてデータとアナリティクスを利活用しています。
アナリティクスには、主に次のようなビジネスメリットがあります。
- 効率と生産性の向上
- より迅速で効果的な意思決定
- 財務パフォーマンスの改善
- 新たな収益源の発見・創出
- 顧客獲得および維持率の向上
エンタープライズアナリティクスは、エンタープライズソフトウェア分野で最も急速に成長している市場の一つです。近年、コロナ禍によってこの成長はさらに加速しており、多くの企業が利益を創出し、コストを削減し、激動の「ネクストノーマル」を乗り切るための新たな方法を見いだすことを迫られています。Gartner 社によると、アナリティクス、ビジネスインテリジェンス (BI)、データサイエンスは、IoT とクラウドアプリケーションを抑えて、コロナ禍によって加速している最も一般的なユースケースとなっています。アナリティクスの問題解決および予測機能は、需要の正確な予測、リスクの高い従業員の保護、サプライチェーンの潜在的な混乱の把握など、コロナ禍関連の緊急課題への対処に役立っています。
94
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の企業がアナリティクスは成長とデジタルトランスフォーメーションに重要と回答1
59
%
の企業が高度な予測的アナリティクスをすでに使用中1
65
%
のグローバル企業が 2020 年にアナリティクスへの支出を増やす予定1
アナリティクスの 4 つのタイプ
価値と複雑さに基づく 4 つのタイプのアナリティクス
- 記述的アナリティクス
記述的アナリティクスは「何が起こったのか?」という疑問に答えます。この単純な形のアナリティクスは、平均や変化率などの基本的な計算を使用してビジネスにおいてすでに起こったことを示します。記述的アナリティクスは従来、ビジネスインテリジェンス (BI) とも呼ばれており、アナリティクスプロセスの第一歩であり、詳細な調査に向けた出発点となります。 - 診断的アナリティクス
診断的アナリティクスは「なぜ起こったのか?」という疑問に答えます。記述的アナリティクスをさらに一歩進め、データディスカバリー、ドリルダウン、相関などの手法を用いてデータをさらに深く掘り下げ、イベントや行動の根本原因を特定します。 - 予測的アナリティクス
予測的アナリティクスは「この先何が起こりそうか?」という疑問に答えます。この高度なアナリティクスは、記述的アナリティクスと診断的アナリティクスから得られた知見に加えて、高度な予測モデリング、機械学習、およびディープラーニング手法を使用して、次に何が起こるかを予測します。 - 処方的アナリティクス
処方的アナリティクスは「どう対処するべきか?」という疑問に答えます。この最先端のアナリティクスは、記述的アナリティクス、診断的アナリティクス、および予測的アナリティクスから得られた知見を基に、高度なツールと手法を使用して可能性のある決定の結果を評価し、そのシナリオにおける最善の行動方針を決定します。
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ビジネスアナリティクスの一般的なコンポーネント
ビジネスアナリティクスは、さまざまなコンポーネントやツールが使用される幅広い分野です。最も一般的なコンポーネントには、次のようなものがあります。
- データ集約:データを分析する前に、さまざまなソースからデータを収集し、整理し、クリーンアップする必要があります。アナリティクスには、しっかりしたデータ管理戦略と最新のデータウェアハウスが不可欠です。
- データマイニング:データマイニングは、統計分析と機械学習アルゴリズムを使用して、大規模なデータベースを詳しく調べ、さまざまな角度からデータを分析し、これまで知られていなかった傾向、パターン、関係を特定します。
- ビッグデータアナリティクス:ビッグデータアナリティクスは、データマイニング、予測的アナリティクス、機械学習などの高度な手法を使用して、データベース、データウェアハウス、Hadoop システム内の大量の構造化および非構造化データを分析します。
- テキストマイニング:テキストマイニングは、文書、電子メール、ソーシャルメディアへの投稿、ブログのコメント、コールセンタースクリプト、その他のテキストベースのソースなどの非構造化テキストデータセットを探索して定性分析や定量分析を行います。
- 予測的アナリティクス:過去のデータを使用して将来の結果を予測します。予測分析により、高度な手法を使用してこれらの結果が発生する可能性を判断します
- シミュレーション/what-if 分析:予測を立てた後、意思決定を行う前に、シミュレーションと what-if 分析によってさまざまなシナリオを試し、可能性のある決定を最適化します。
- データビジュアル化とストーリーテリング:チャートやグラフなどのデータビジュアル化により、データの傾向、異常値、パターンを理解し、伝えることが容易になります。これらのビジュアル化を組み合わせて、より大局的な見地からストーリーを明らかにし、意思決定を支援することができます。
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アナリティクスの例
アナリティクスは、小売、医療機関、スポーツなど、あらゆる規模や業種の企業によって使用されています。多くのアナリティクスソリューションは、特定の業種、目的、または業務向けに設計されています。現在のアナリティクスの主な例として、次のようなものがあります。
財務アナリティクス
従来、財務アナリティクスは一連の標準レポートの生成に使用されていました。しかし、経理・財務部門がビジネスにおいてより戦略的な役割を担うようになってから、財務アナリティクスは財務データと業務データを外部データソースと組み合わせて、ビジネス上の幅広い疑問に対応できるように進化しています。「適切な機会に投資しているか?」から「この意思決定は将来の利益率にどう影響するか?」まで、あらゆる疑問に答えます。
上の損益計算書のように、アナリティクスソフトウェアは決算処理の支援にも使用できます。
マーケティングアナリティクス
マーケティングアナリティクスは、ソーシャルメディア、Web、電子メール、モバイルなどの複数のチャネルのデータを結び付けて、マーケティング担当者がプログラムのパフォーマンスを包括的に把握できるようにします。ユーザーは、数百万行のデータをマイニングして、キャンペーンの有効性の改善、マーケティングメッセージのハイパーパーソナライズ、ソーシャルメディア上のセンチメント分析、正確なタイミングでの潜在顧客のターゲティングなどを行うことができます。
サプライチェーンアナリティクス
e コマースの急増、市場変動の拡大、グローバリゼーションなどの要因により、サプライチェーンは信じられないほど複雑化しています。サプライチェーンアナリティクスは、混乱の回避、商品の流れの維持、サプライチェーンのレジリエンス(回復力)と俊敏性の向上に役立ちます。IoT センサーなどの多種多様なソースからのリアルタイムデータを使用して、調達から生産、在庫、輸送、ロジスティクスまでのあらゆる業務を最適化します。
最新のアナリティクステクノロジー
今や当たり前となったほぼ無制限のデータストレージと超高速の処理速度は、人工知能 (AI) と機械学習の時代の到来を告げています。これらのテクノロジーによってアナリティクスの「強化」が進んでおり、従来とは比べものにならないほど強力になっています。
AI と機械学習を活用したアナリティクスは、ビッグデータに潜むパターン、異常値、関連性を従来よりもはるかに高速かつ正確に検出することができます。クラウドを通じて、ソーシャルメディアや IoT センサーなどのさまざまなソースから、より多くのデータを活用しながら、以前であれば表に出てこなかったインサイト、機会、リスクを明らかにすることができます。
機械学習アルゴリズムは、アナリティクスプロセスの最も複雑なステップの一部を自動化することもできます。これは、データサイエンティストだけでなく、比較的経験の浅いビジネスユーザーも高度な予測的アナリティクスを扱えるようになることを意味します。人工知能の一種である自然言語処理 (NLP) は、セルフサービスをさらに一歩進め、Google に質問を入力したり Siri に尋ねたりするのと同様に、ユーザーが簡単な会話によってデータに関するビジネス上の疑問を尋ねる(および回答を得る)ことを可能にします。
もちろん、これらはすべてモバイルデバイスで利用できるため、ユーザーはどこにいてもアドホッククエリーに対する回答が得られます。
高度なアナリティクスとは、高度なツールと手法を使用してデータを自律的に(または半自律的に)探索するタイプのアナリティクスの総称です。これらのツールや手法は通常、従来の BI 機能を超えており、予測モデリング、データマイニング/テキストマイニング、センチメント分析、機械学習、ニューラルネットワーク、統計的アルゴリズム、複雑なイベント処理などがあります。
ビッグデータアナリティクスは、幅広いソースからの超大規模データセット(構造化データ、半構造化データ、非構造化データを含む)を調査する高度なアナリティクスの一種です。ビッグデータアナリティクスは、予測モデリング、what-if 分析、機械学習アルゴリズムなどの複雑なツールや手法を用いて、従来のアナリティクスでは扱いきれない大規模または多様なデータセットに潜む傾向、未知の相関、その他の有意なインサイトを明らかにすることができます。
拡張アナリティクスは、機械学習や自然言語処理 (NLP) などの人工知能 (AI) テクノロジーによって「拡張」されたアナリティクスです。これらの AI を活用した強力なアナリティクスは、より優れたインサイトを素早く発見できるだけでなく、複雑なプロセスを自動化し、最小限のトレーニングでユーザーが質問し、回答を得ることができるようになり、高度なアナリティクスを民主化します。