SAP に入社する前は、Diet Coke や Ferrero などのグローバルな食品・消費財ブランドのブランドマネージャーを務めていました。そして、それらの役職のいずれにおいても、今日のすべての消費財ブランドのマーケターが直面している同じパラドックスに行き当たりました。扱いきれないほど大量のデータがあるのに、顧客にとって本当に重要な瞬間を見逃し続けていたのです。
企業全体でデータが接続されていないと、次のようなシナリオがあまりにも一般的になってしまいます。
- ロイヤルカスタマーに対して、数日前に購入した商品を再購入するよう促すメールが送信される。
- 半径10マイル以内の店舗には在庫のない商品を紹介するプッシュ通知が、ユーザーのモバイルアプリに送信される。
- "お久しぶりです" キャンペーンが、顧客が再注文した同じ週に起動する。
SAP グローバル・エンゲージメント・インデックスによると、これらの例は、顧客のわずか38%しかブランドが自分のことや必要なものを把握していると感じていない主な理由と考えられます。それらのミスはすべて同じ根本原因を抱えていましたが、それを認識したのは数年後のことでした。そのシグナルは存在していましたが、マーケティングチームが使用を許可されたことのないシステムの中に眠っていました。これが世界最大の飲料ブランドで起こり得るとすれば、世界各地のマーケティングチームでも一般的に起こっていると考えられます。
マーケターのためのERP:マーケティングが長年見逃してきたデータを発見する
歴史的に、マーケターはエンタープライズリソースプランニング(ERP)システムをあまり重視してきませんでした。なぜでしょうか?これは、財務、業務、サプライチェーン向けに構築されたバックオフィスシステム(マーケター向けではない)のように思えました。
しかし、ERPこそがビジネスの真実が宿る場所であり、顧客が実際に購入したものを正確に把握できる場所です。
マーケター向けERPは、以下のような問いに回答できます:
- どの製品が予定通りに出荷されたか?
- 現在、倉庫の過剰在庫のステータスはどうなっているか?
- キャンペーンで取り上げようとしているSKUのマージンはどのようなものか?
- 次の木曜日に足りなくなるものはあるか?
私はERPをマーケティングの縁の下の力持ちとして捉え始めました。映画の脇役にいるオタクのような存在ですが、最終的には窮地を救う人物となるのです。それはずっと目の前にあったのですが、私たちがただ見ていなかっただけか、あるいは、それを使用できる適切な実装がなかったというのが実情でしょう。統合は現実的に非常に難しかったからです。実際、SAP & Foundry CIO Research の調査によると、65%のブランドが、統合の課題が顧客向けプロセス全体へのAIの展開を妨げていると回答しています。
導入に伴う課題は困難に感じられるかもしれませんが、完了すれば、その価値は無限大です。運用の実態とマーケティング部門がすでに把握している情報(行動、エンゲージメント、意図)を結びつけることで、推測に頼る必要はなくなります。事後対応はやめましょう。ビジネスの他の部門が異なる事実に基づいて運営されている中で、サイロ化した最適化を行うのはやめましょう。
成果はキャンペーンの改善にとどまりません。リテンションを改善し、無駄な支出を削減し、マージンを保護し、大規模により適切なカスタマーエクスペリエンスを提供し始めることができます。その結果、顧客はこの取り組みを認め、ロイヤルティという形で報いてくれるでしょう。
未来は自律的です
「Autonomous Enterprise」という言葉は、人々に不安を与えるかもしれません。しかし、そうあるべきではありません。
自律型の実行は、これまで暗闇の中を働いていた部門の間に、初めて照明をつけるようなものです。サプライチェーン、トレードプロモーション、リテールエグゼキューション、マーケティング――これらすべてが、ついにリアルタイムの同じ会話で行われるようになります。
私は Autonomous Enterprise の仕組みをこのようにイメージしています:特定の店舗クラスターでトレードプロモーションが大成功しているというアラートを受け取ります。製品は飛ぶように売れています。
- 旧モデルでは、誰も停止を指示しないため、マーケティングはその地域への有料メディアをさらに2週間送り続けます。
- Autonomous Enterprise モデルでは、アラートを受け取ったら、成約につながるコンテンツで、後押しが必要な地域やキャンペーンに支出をシフトします。効果が出ているところでは期間を延ばし、出ていないところではマージンを守ります。
このように見ると、このモデルがAIに取って代わられることを意味するものではないことが、より明確にわかります。むしろ、AIはあなたに懐中電灯を渡してくれるのです。そして先頭に立つマーケターこそが、AIが人々とどのように連携するかを定義し、キャンペーンやコンテンツの管理方法を再考する存在となるでしょう。
SAPでは、AIの時代において、人間がかつてないほど重要になると考えています。マーケターが意図を定めます。私たちが創造性をもたらします。私たちが判断と説明責任を提供します。そして、AIが、どんな人間チームも単独では決して追いつけないスピードとスケールに対応します。
Moments That Matter:ブランド認知と顧客ロイヤルティを形成するシグナル
顧客に対して正しく対応しているブランドを、すでにご存知のことと思います。彼らは適切なメッセージを届けます。彼らは、あなたが購入した瞬間に販売活動を停止します。彼らは、あなたが考える前に補充を予測します。彼らは購入後を関係の終わりではなく、始まりとして扱います。
そして、こうしたブランドは間違った理由で目立つことがありません。競合他社の一部が正しい方向に進んでいる世界では、目標を外すことがかつてないほど目立ちます。
私のチームが最近公開したeBook「ERPの優位性:顧客ロイヤルティを促進する5つの隠れたシグナル」では、これが実際に現れる5つの具体的なシグナル(購入の真実、在庫の実態、フルフィルメントエクスペリエンス、ビジネスの最適化、ライフサイクルの成長)を詳しく説明しています。
どれも、マーケティングが全体像の半分を把握し、ERPが残りの半分を把握している領域です。そして、それぞれが、AIが静かに両者をつなぎ合わせ、より精確に行動できる領域でもあります。
常に信頼が問われてきました…データがその基盤です
マーケティングは、多くの組織においてAIをいち早く導入する部門の一つです。それは特権でもあり、責任でもあります。AIがカスタマーエンゲージメントにより深く組み込まれるにつれ、透明性が競争上の強みとなります。マーケターは、顧客データがどこから来るのか、どのように使用されるのか、どのように意思決定が行われるのかを説明できる必要があります。信頼はコンプライアンスのチェック項目にとどまらず、カスタマーエクスペリエンスの重要な要素となります。実際、当社のGlobal Customer Loyalty Indexによると、顧客の34%が、無責任なデータの使用がロイヤルティを低下させると回答しています。
簡単に言えば、データの使用方法とその理由を平易な言葉で説明できるようになる必要があります。時々、マーケティング経験のない人に自社の顧客戦略を説明することを想像してみてください。簡単に説明できなければ、おそらくそれを正当化することもできません。書面による証跡が重要です。信頼が重要です。そして、今の仕事の進め方にその両方を組み込んでいるマーケターたちこそが、追いついてきた他の部門をけん引する存在となるでしょう。
マーケターの皆さん、新しい定番のデータソースをご紹介します
貴社のERPは、マーケティングが長年追い求めてきた答えをずっと秘めたまま、存在し続けていました。今こそ、知り合う時です。「ERP の優位性:顧客ロイヤルティを促進する5つの隠れたシグナル」をダウンロードして、ビジネスに潜む最大の見逃しの瞬間がどこにあるか、そしてそれらを次の成長のチャプターへと変える方法をご確認ください。
SAP イベント
Customer Experience Connect
位置について…よーい、接続。対面またはバーチャルで Customer Experience Connect にご参加いただき、Autonomous CX における最新の AI イノベーションが企業全体にどのようなインパクトをもたらしているかをご確認ください。