CTT 社:クラウドに統合されたソリューションパッケージにより将来にわたり競争優位性を確保
SAP とともに歩む CTT 社のジャーニー
ポルトガルの郵便公社 CTT は 5 世紀にわたり、世界とポルトガルの人々をつないできました。同公社は、RISE with SAP と SAP Billing and Revenue Innovation Management ソリューションによるデジタルプロセスを導入し、請求システムを自動化することで、俊敏性を確保して収益のチャンスを逃すことなく、この長年にわたる驚くべきレガシーを守っています。
| 業種 | 地域 | 企業規模 |
| 官公庁 | ポルトガル、リスボン | 従業員数:12,200 人 |
請求プロセスのトレーサビリティ
標準化されたビジネスプロセスの割合
IT コーポレートディレクター、CTT Correios de Portugal S.A. 社
俊敏で将来を見据えた企業による請求のシンプル化
伝統という面で 1520 年創業の CTT Correios de Portugal S.A. 社の右に出る企業はそう多くはないでしょう。ポルトガル最大の郵便サービスプロバイダーとして、CTT 社は全国で 1,000 以上の郵便局を運営し、1,000 万人以上の人々をつないでいます。Banco CTT 社、CTT Express 社、Dott 社などの CTT グループ企業は、世界規模で郵便、宅配、e コマース、金融のサービスを提供しています。
近年、人々が手紙を書かなくなる一方、小包を受け取る機会が増えたことで、郵便と宅配のサービスは大きく変化しました。e コマースが爆発的に普及し、CTT 社の小包取扱量は 2010 年以降 83% 増加し、年間最大 1,800 万件に達しました。一方、ライバルの宅配サービスプロバイダーとの競争は熾烈で、CTT 社は同日配送やリアルタイムの追跡サービスなど、顧客の新しい期待に迅速に適応していく必要があります。
ところが、同グループの ERP ランドスケープが障害となり、適応に必要な柔軟性がなかなか得られませんでした。サードパーティーシステムとの 100 以上の統合機能などでカスタマイズの度合いが著しく、新機能もカスタムコードによって作成していました。こうして複雑化したシステムでは、ビジネスニーズへの即応が困難で、収益機会を逃す場合もあります。たとえば、企業コードごとに請求書を作成するのに 10 時間、毎月の請求サイクルを完了するのに 24 時間も費やしていたのです。請求を修正する場合も多大な手作業が必要でした。請求プロセスが複雑になりすぎて、もはや金融部門の手に負えず、IT 部門が担当していたほどです。
小包配送の価格設定も、距離、重量、サイズ、特別なサービスなど、さまざまな変数を多数考慮する必要があり、既に十分複雑です。CTT 社は、このまま銀行などの配送サービス以外にビジネスを拡大すれば、複雑性が増すばかりであることを認識していました。
請求業務のシンプル化や収益漏れの撲滅を実現して、変化しつづける市場で成功を収めるには、コアビジネスプロセスをデジタルプラットフォームに移行し、請求ワークフローを自動化するしか道はありませんでした。同公社の IT コーポレートディレクター、ヌーノ・カレイラ・シウバ氏は次のように説明しています。「郵便業界の新しい市場トレンドに追随するには、思い切った変革が必要です。お客様が求めて止まぬ革新的な新製品や新サービスを生み出し、しかもここが重要なのですが、それらをいち早く市場に投入するために、デジタル機能が不可欠なのです」
IT コーポレートディレクター、CTT Correios de Portugal S.A. 社
ソリューションのスムーズな統合による請求情報表示の一元化
CTT 社は SAP と長年にわたって信頼関係を築いてきました。SAP ソリューションを 20 年以上使用しており、RISE with SAP S/4HANA Cloud, private edition と SAP Billing and Revenue Innovation Management を組み合わせれば、複雑な請求データを正確に処理するために必要な拡張性が得られると判断したのです。
ヌーノ・カレイラ・シウバ氏は、次のように説明します。「ERP 分野は SAP がリードしており、RISE with SAP への移行ならば既存の投資を活用できると考えました。導入候補として検討した請求システムのうち、当社の機能要件をすべて満足するのは SAP Billing and Revenue Innovation Management だけでした。決断に至ったもう一つの要因は、SAP S/4HANA Cloud, private edition との統合です」
同公社は、SAP S/4HANA Cloud, private edition と SAP Billing and Revenue Innovation Management の標準統合により生み出される新しいランドスケープでは、自動化されたデジタルワークフローによって効率が向上することがわかっていました。
それだけでなく SAP Billing and Revenue Innovation Management を既存の SAP Convergent Mediation by DigitalRoute ソリューションと統合すれば、さまざまな事業領域からの請求情報が一か所に集約され概観できるようになるため、処理の透明性とスピードが向上します。新しい会計および請求ランドスケープでは、流通イベントをきめ細かく把握し、それらを様々な方法で収益化できるようにするなど、請求の柔軟性がさらに高まります。
業務中断のリスクを最小限に抑えるため、導入には段階的なアプローチが取られました。まず、小包事業と Banco CTT 社向けに RISE with SAP を導入してから、他のグループ企業へと拡大していったのです。SAP と協力して複数のレガシーシステムを RISE with SAP に統合し、コアビジネスプロセスをカバーするとともに、グループ全体のユーザーに SAP Fiori のユーザーエクスペリエンスに基づく直感的なインターフェースとユーザーフレンドリーなワークフローを提供しました。
IT コーポレートディレクター、CTT Correios de Portugal S.A. 社
進化する顧客および市場のニーズに迅速に適応
RISE with SAP S/4HANA Cloud, private edition と SAP Billing and Revenue Innovation Management により、CTT 社のコアビジネスプロセスは自動化されたワークフローでデジタルに連携し、複雑性の解消と効率向上をもたらしました。新しいビジネス要件や収益の機会に即応し、伝統的な郵便の取扱量の減少を補う、革新的なサービスを短期間で導入できるようになりました。
たとえば、同公社の新しいエクスプレスパックサービスでは SAP Billing and Revenue Innovation Management の許容額機能を使用して、顧客が小包の送料をプリペイドサービスとして支払えるようにしています。さらに、SAP Extended Warehouse Management と SAP Fiori の両アプリを統合することで、新しい効率的なモバイルプロセスを設計しました。ヌーノ・カレイラ・シウバ氏は、これがサードバーティーの流通プロバイダーとして成長するうえで有効だと述べます。倉庫プロセスからスムーズにデータを収集し、請求可能な明細に変換することで、請求書に自動的に流通サービスを含めることができます。
標準の請求システムにより、CTT 社は唯一の正確な情報源を確立し、透明性を高めました。定期料金、一時料金、従量制課金など、さまざまな価格設定モデルに対応する柔軟性を備えています。今では IT 部門に代わって請求プロセスを 100% 実行している請求チームは、信頼性の高い課金および請求データによって正確な請求を行い、一つの情報源から請求プロセスを包括的に追跡できます。ビジネスプロセスの自動化と加速は、従業員の生産性と業務の精度を向上させました。請求書は、わずか 2 時間で作成され、毎月の財務決算処理にかかる時間も 1 日短縮されました。
さらに、SAP Convergent Mediation by DigitalRoute ソリューションにより日々のイベント数が 80 万件まで劇的に増加したことで、ホリデーシーズンなどのピーク時でも顧客への正確な請求が可能であり、同時に収益漏れも最小限に抑えられます。
IT 運用の面では、SAP S/4HANA Cloud, private edition がサードパーティーシステムのマスターデータリポジトリとして機能します。サードパーティーシステムは、従来のようなポイントツーポイント接続ではなく、API を使用して統合されています。これによってインターフェースの数が半減し、システムランドスケープのシンプル化、総所有コストの削減、新規導入のリードタイム短縮が実現しました。今では、新しい機能の開発と実装にかつてのようなカスタムコードは必要なくなりました。IT の保守に関してヌーノ・カレイラ・シウバ氏は次のように述べています。「SAP ソフトウェアランドスケープの安定稼働は SAP にお任せしています。問題が CPU にあるのか、システムパラメーターにあるのか、もう我々でチェックする必要はありません。いつでも SAP が解決してくれるからです」
インテリジェントテクノロジーを導入して歴史に新たな章を加える
今後も CTT 社はビジネスプロセスの洗練化を続ける予定であり、変化するビジネスニーズを満たすために SAP ソリューションを拡張していきます。同社の第一の目標は、新しいランドスケープの拡張性を維持し、カスタムではない標準機能でビジネスを支えつづけることです。重要なマイルストーンの一つは、残りのオンプレミス IT システムをRISE with SAP S/4HANA Cloud, private edition に移行することです。
CTT 社は、新しい環境の拡張に向けて SAP Business Technology Platform を活用する方法についても SAP と協力して検討を進めています。現在のプロジェクトでは、Joule コパイロットを使用して SAP Billing and Revenue Innovation Management で AI 機能をどのように活用できるかについて検討中です。ヌーノ・カレイラ・シウバ氏は「課金対象や請求可能な項目について Joule とチャットできるようになるとは夢のようです」と述べています。
CTT 社は顧客のニーズと変化する市場の期待に適応することで、半世紀にわたる繁栄を重ねてきました。SAP ソリューションに基づく統合 IT 環境によって、今後 500 年間にどのような困難が待ち受けていようと、それらを巧みに解決すべく新しい一歩を踏み出しました。