Zalando Payments 社:20 種類の支払オプションにおいて購買の解決を迅速化し、カスタマーエクスペリエンスを向上
SAP とともに歩む Zalando Payment 社のジャーニー
支払サービスプロバイダーである Zalando Payments 社は、サービスプロバイダーへの支払配分を外部ツールで計算する際に生じるリスクを軽減するため、Business Technology Platform 上にソリューションを開発しました。機械学習を用いて予測のモデル化、実行、共有を自動化することで、正確かつタイムリーな予測を実現しています。
| 業種 | 地域 | 企業規模 |
| 銀行・金融 | ドイツ、ベルリン | 従業員数:250 人 |
SAP ソリューションを使用してプロセスを自動化した割合
予測管理の迅速化と効率化
義務付けられた金融サービス規制を遵守できる可能性
Zalando Payments 社、SAP BI およびアナリティクス担当責任者
自動化された高精度な支払配分予測
Zalando Payments 社は、オンライン小売企業である Zalando SE 社の支払サービスプロバイダーであり、Zalando 社を利用する顧客のショッピング体験において重要な役割を担っています。同社は、Zalando 社のチェックアウトで利便性と柔軟性を提供するとともに、5,000 万人を超えるアクティブ顧客の年間 2 億5,000 万件以上の注文に対する支払を処理しています。
世界中の顧客から入金を受け取る Zalando Payments 社は、国内外の規制を確実に遵守しなければなりません。ドイツの金融サービスプロバイダーである同社は、電子マネー取引のライセンスを保有し、ドイツ連邦金融監督庁 (BaFin)、ドイツ連邦銀行 (Deutsche Bundesbank)、および欧州連合 (EU) の各機関の規制を受けています。
同社の予測プロセスは SAP S/4HANA から始まり、支払配分の計算のためにデータが外部ツールにエクスポートされていました。しかし、この方法には、データの受け渡し時に情報伝達の中断が発生する可能性や、銀行のマスターデータ情報との連携断絶、コンプライアンス違反といったさまざまなリスクが含まれていました。加えて、外部ツールの使用は予測計算の変更に制約をもたらしていました。
Zalando Payments 社は、支払配分の予測モデルの品質向上を目指し、さまざまな要因に対応できるように、モデルの柔軟性と適応性を高めたいと考えていました。これには、特別セール、新市場への参入、新しい支払方法、新旧顧客の構成の変化などによる予期しない変動が含まれていました。また、契約上の義務である日次バックログゼロを達成できるよう、自社のサービスプロバイダーが人員のリソース割当を最適化できるように支援したいと考えていました。
Zalando Payments 社、SAP BI およびアナリティクス担当責任者
支払配分予測を改善し、間接費を削減
より正確かつ堅牢な支払配分予測を実現し、企業の成長、新市場への参入、多様な支払方法への対応といった柔軟性を確保するために、Zalando Payments 社はソリューションを自社の SAP ソフトウェアランドスケープ内に完全に統合したいと考えていました。そして、テクノロジーリソースをより効果的に活用することで予測精度を向上させるため、SAP Business Technology Platform (SAP BTP) 上に革新的な予測モデルを構築することに着手したのです。同社は、SAP Datasphere ソリューションに基づくビジネスデータファブリックアーキテクチャーを導入し、堅牢なデータガバナンスを適用し、リアルタイムデータにアクセスできるようにしました。また、Python スクリプトには SAP Data Intelligence ソリューションを、機械学習機能には SAP HANA Cloud を、より正確な計画策定には SAP Analytics Cloud を活用しました。
以下の図に示すように、支払配分の新しい予測プロセスでは、SAP S/4HANA および SAP BW/4HANA ソリューションからのデータが、SAP BTP 上の SAP Datasphere に連携されます。SAP HANA の Python 機械学習クライアントにより、予測が決定され、SAP Data Intelligence で毎週自動的にモデル化されます。結果は SAP Datasphere に書き戻され、SAP Analytics Cloud を通じてサービスプロバイダーにレポートが提供されるのです。
Zalando Payments 社、SAP BI およびアナリティクス担当責任者
未解決・未回収の支払に対する日次バックログゼロを達成
支払配分予測の新しいモデルにより、Zalando Payments 社は、予測精度を高め、リスクを軽減する体制が整い、金融サービス企業としての規制に準拠しながら、間接費を削減できるようになりました。また、サービスプロバイダーがリソース配分をより正確に行い、未処理の支払に対して「日次バックログゼロ」を実現できるようになったため、サービスプロバイダーとの関係性も強化されました。
さらに、SAP と緊密に連携しながら、プロジェクト全体を社内で管理したことにより、このプロジェクトを通じて得られた知識が社内に蓄積されました。テクノロジーに対する理解が深まり、SAP ソリューションに組み込まれている機械学習や人工知能 (AI) ツールを導入することに対して、組織内での自信も高まることになったのです。
新しい支払配分予測モデルが本稼働して以来、5,000 万を超える Zalando 社の顧客と銀行が、20 種類を超える多様な支払オプションにおいて購買の解決を迅速化できるというメリットを得ています。
SAP が提供する機械学習ライブラリーの機械学習機能を継続的に使用することで、予測の精度を継続的に高めることができるだけでなく、将来的に SAP AI Services を活用していくための道も開かれます。
Zalando Payments 社、カスタマーエクスペリエンス担当責任者
機械学習を超える新しいアプリケーションを構築
Zalando Payments 社は、機械学習と人工知能を活用した新しいソリューションの開発を継続しており、モンテカルロシミュレーション手法を使用したリスク評価ツールの設計に重点を置いています。その目的は、実際の結果を模倣するさまざまな結果を導き出すために、十分な数のシミュレーションを実行することです。
その他にも、ディーラーパートナーの信用リスクを計算するソリューションを開発したり、データ管理における人工知能のユースケースを作成したりしています。
Zalando Payments 社の SAP Business Intelligence およびアナリティクス担当責任者であるロビー・フィンケ氏は、次のように述べています。「チームの重要なプロセスを SAP ソリューションでどのように強化できるかについて直接的な理解が深まったことで、ビジネスの強化に向けた新たなアイデアや提案が生まれつつあります」