
SAP とともに歩む日立ハイテク社のジャーニー
株式会社日立ハイテクは、パブリッククラウドとプライベートクラウドの 2 層構造の SAP S/4HANA Cloud に投資することで、高度にカスタマイズされた多国籍ビジネス環境を置き換えました。Fit-to-Standard の方針により、同社は SAP Business Technology Platform プラットフォーム上で Side-by-Side 手法を使用して、子会社のビジネス変革のサポートに注力できるようになりました。
| 業種 | 地域 | 企業規模 |
| ハイテク | 日本・東京 | 従業員数 12,717 人 |
カスタマイゼーションのフットプリントの削減率
ソリューション更新処理を迅速化
オンサイトでのメンテナンスの必要性を排除
株式会社日立ハイテク、デジタル推進統括本部、統括本部長
将来を見据え、俊敏性を実現するために、次世代クラウド ERP に移行
株式会社日立ハイテクは、測定、分析、推論の 3 つのコアテクノロジーを活用して、顧客のハイテクプロセスをシンプル化し、さまざまな社会問題を解決することに尽力しています。同社の事業は、臨床分析機器、バイオテクノロジー製品、分析機器、半導体製造装置、分析装置の製造・販売など、さまざまな分野にわたっています。社会・産業インフラやモビリティの分野でも、付加価値の高いソリューションを提供しています。
1990 年代以降、SAP ERP アプリケーションは、国内外の事業の運営基盤を形成してきました。時とともに、日立ハイテクのカスタマイゼーションは 9,000 を超え、そのことが変化するビジネス状況に迅速に対応する上で支障になっていました。
日立ハイテクは、現在の状態を改善するのではなく、事業を再構築して理想的な管理モデルを形成することを思い描き、将来を見据えた事業運営を実現するために、次世代 ERP への投資に取り組んでいます。同社はまた、デジタルエクスペリエンス (DX-)-Pro というビジネス変革プロジェクトに着手し、適切なテクノロジーを活用したイノベーションという真の目的に集中できるようにしました。
変化を受け入れることで、日立ハイテクは従来の手法から移行しただけでなく、インテリジェントエンタープライズになるための大胆な一歩を踏み出しました。
株式会社日立ハイテク、デジタル推進統括本部、コーポレート DX 部部長
2 層構造の ERP モデルと Side-by-Side 開発を活用
世界水準のビジネスオペレーションをクラウドで構築するために、日立ハイテクは SAP S/4HANA Cloud に投資し、下図のような 2 層構造を採用しました。開発の柔軟性を強化するために、同社は日本の本社とグループ企業には SAP S/4HANA Cloud, private edition、海外の販社には SAP S/4HANA Cloud, public edition を導入しました。
SAP S/4HANA Cloud を導入することで、日立ハイテクは SAP Business Technology Platform (SAP BTP) が提供するアプリケーション開発、データ管理、自動化、統合、分析、および AI の機能を利用できます。
新しい 2 層アーキテクチャーでは、SAP BTP をハブとして使用し、日本と海外に導入された SAP S/4HANA Cloud、SAP Analytics Cloud ソリューション、および SAP BW/4HANA ソリューションを接続します。また、カスタマーリレーションシップマネジメントアプリケーション、製造実行システム、倉庫管理システム、電子データ交換など、さまざまなサブシステムにもリンクしています。
SAP BTP 上で Side-by-Side 拡張を活用することで、日立ハイテクはコア記録システムから重要な開発を分離し、標準コードを変更することなく、拡張機能を開発できるようになりました。このようにして、同社は一括登録、ワークフロー、レポートに必要な 98 の拡張機能を開発したほか、バッチ処理、電子データ交換用のインターフェース、連結および銀行接続用のサブシステム連携に必要な拡張機能も開発しました。これにより、日立ハイテクは、絶えず変化する市場環境やテクノロジーに合わせてイノベーションが進む速さで、事業を運営できるようになりました。
株式会社日立ハイテク、デジタル推進統括本部、コーポレート DX 部部長
将来の柔軟性とスピードを高めるために、Fit-to-Standard アプローチを採用
将来に向けて事業運営の準備を整え、SAP S/4HANA Cloud に組み込まれているベストプラクティスプロセスを最大限に活用するために、日立ハイテクは要件に合わせてソリューションアーキテクチャーを変更したい気持ちを抑えました。代わりに、同社は標準に合うようにプロセスを見直しました。
拡張機能が不可欠であると考えられたため、同社は SAP BTP 上で Side-by-Side 拡張を開発する統制のとれたアプローチを選択しました。SAP BTP のアプリケーション開発機能と自動化機能を活用して、同社は標準コードを変更するのではなく、Side-by-Side でカスタマイゼーションを開発しました。これにより、システムアーキテクチャーの変更を最小限に抑え、業務の安定性と信頼性を保護し、マーケットスピードでの変革に必要な俊敏性を得ることができます。さらに、標準コードの変更が最小限に抑えられるため、アップグレードサイクルが短縮され、改善された機能に以前より速やかにアクセスできるようになりました。これにより、プライベートクラウドとパブリッククラウドの 2 層の導入全体で開発を再利用できるようになり、アップグレードの問題が発生した場合に、より迅速にトラブルシューティングできるようになりました。
新しい Fit-to-Standard アプローチについて、日立ハイテクのデジタル推進統括本部、コーポレート DX 部部長の安田有里氏は次のように述べています。「新しい Fit-to-Standard の方針により、必要不可欠なカスタマイゼーションのみを実施し、それらを SAP BTP 上で開発しています。その結果、カスタマイゼーションのフットプリントが 9,000 以上からわずか 22 に減少しました。外部システムとの連携用に SAP S/4HANA Cloud 上で開発した API やカスタム CDS を含めても、カスタマイゼーションの合計数は 600 未満です。」
ハブとして機能し、SAP Integration Suite を使用してサービス、アプリケーション、イベント、データを接続するだけでなく、SAP BTP はプロセスやエクスペリエンスを向上させるための拡張性とパーソナライゼーションサービスも提供しました。ワークフロー管理機能とロボティックプロセスオートメーション機能により、複数のシステムにわたるワークフローや、Microsoft Excel ファイルのアップロードなど自動タスク実行も可能になりました。また、SAP Fiori アプリはアプリケーション全体で一貫したユーザーエクスペリエンスを確保し、プロセスやレポートへの直感的なセルフサービスアクセスを可能にするのに役立ちました。
株式会社日立ハイテク、デジタル推進統括本部、統括本部長
競争に有利な俊敏性を得るために、新しい開発手法を習得し続ける
Fit-to-Standard アプローチと、SAP S/4HANA Cloud, private edition と SAP S/4HANA Cloud, public edition の 2 層構造での導入により、日立ハイテクは最新のテクノロジーアップデートを活用しています。これにより、同社は新しい機能を利用し、ビジネスエコシステムと連携して、市場の変化に対応するための最新機能をユーザーに迅速に提供することができます。
同社は、SAP BTP 上でさまざまなイノベーションを開発する予定です。現在進行中のあるプロジェクトでは、ロボティックプロセスオートメーションによるこれまでのエクスペリエンスを拡張し、SAP Build Process Automation ソリューションを使用してデータ入力を自動化することを目指しています。別のプロジェクトでは、機械学習を活用して財務結果を予測します。日立ハイテクは、SAP Build ソリューションを使用したローコード開発のメリットについて考察しながら、システム全体を監視するモニタリング環境を確立して、開発およびプロセス自動化機能を拡張することも目指しています。