効果的なIT投資のための見極め術~投資概況編
中堅・中小企業のIT投資の2006年~2011年までの年間平均成長率は4.0%
新たなIT投資を検討する場合、「どのようなシステムを導入するか」、「どのぐらいの効果が見込めるのか」など、さまざまな検討事項があるでしょう。今回からシリーズでお送りする「効果的なIT投資のための見極め術」では、各種統計データを分析した上で、効果的なIT投資を実現するためのアドバイスとなる情報をお届けいたします。第1回目はそもそもIT投資が本当に必要であるかについて考えるため、国内の投資概況について分析してみます。
IDC Japan株式会社の発表の「国内企業IT投資額前年比成長率、2007年~2011年」(*1)によると、中堅・中小企業(999人以下)のIT投資成長率は、 2006~2011年までの年間平均成長率で4.0%との見通しとなっています。この数値は大手企業、営利企業以外と比べ際立っており、中堅・中小企業は IT投資の必要性に迫られているといえるでしょう。
● 国内企業IT投資額前年比成長率 出典:IDC Japan株式会社 (2008年1月16日発表プレスリリース)
一方で株式会社ノークリサーチ 発表の「中堅・中小企業向けERP市場規模推移」(*2)を見ると、市場規模は毎年110%前後で推移しており、2010年度の予測では、1,000億円を超える見通しとなっています。「国内企業規模別IT投資成長率」と合わせて考察すると、中堅・中小企業のIT投資は、主にERPに向けられているということができます。
● 中堅・中小企業向けERP市場規模推移 出典:株式会社ノークリサーチ 「中堅・中小企業向けERP市場規模推移」
さらに株式会社アイ・ティ・アール発表の「IT投資動向調査 2008」では、「2008年度のIT戦略として最重要視されるキーワード」(*3)として「内部統制や法令順守への対応」と「売上増大への直接的な貢献」、「既存システムの統合性強化」、「業務コストの削減」が上位を占めています。「内部統制や法令順守への対応」は「コンプライアンス」、2~4位はつきつめれば「競争力強化」につながるもので、IT投資の必要性を見極めるポイントは「競争力強化」と「コンプライアンス」にあるといえるでしょう。
2008年度のIT戦略として最重要視されるキーワード
| 順位 | 項 目 | 選択比率 |
| 1 | 内部統制や法令順守への対応 | 17.1% |
| 2 | 売上増大への直接的な貢献 | 16.4% |
| 3 | 既存システムの統合性強化 | 12.5% |
| 4 | 業務コストの削減 | 10.7% |
| 5 | 顧客サービスの質的な向上 | 9.2% |
| 6 | システム性能や信頼性の向上 | 8.8% |
| 7 | 情報の活用度の向上 | 8.8% |
| 8 | ITコストの削減 | 5.0% |
| 9 | 社内ユーザーの満足度の向上 | 2.6% |
| 10 | プライバシーや機密情報の保護 | 2.2% |
| 11 | 事業継続計画や災害対策 | 1.1% |
| 12 | プロジェクト管理手法の改善 | 1.1% |
| 13 | IT組織の再編(子会社含む) | 0.9% |
| 14 | IT部門スタッフの人材育成 | 0.7% |
| 15 | ITベンダーやパートナーとの関係強化 | 0.4% |
| 16 | IT部門の地位向上 | 0.2% |
| ─ | その他 | 2.4% |
次回からはこの2つのポイントにフォーカスして、IT投資の必要性をさらに掘り下げてみたいと思います。
(*1) 出典:IDC Japan株式会社 (2008年1月16日発表プレスリリース)
(*2) 出典:「2007年 中堅・中小企業向けERP市場の実態調査報告」 株式会社ノークリサーチ (2007年11月20日発表)
(*3) 出典:「IT投資動向調査 2008」CIO Magazine,株式会社アイ・ティ・アール