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課題から探る導入事例:東京化成工業株式会社

情報共有が、企業体質改善に多角的に波及

100余年の業歴を持つ東京化成工業は、SAP R/3の処理フローに自社の業務処理を合わせる形で 経営改革を実現。 部署単位でバラバラに管理されていた情報の壁を取り払い、正確な情報を全社で共有することで、業務を大幅に効率化しています。

会社概要
事業内容有機試薬、ファインケミカル製品の製造販売
創業1894年(明治27年)
資本金5800万円
年商非公表
社員数300名

縦割体制の弊害をERPで解消するために


東京化成工業は、業務の多角化が進むにつれて業務フローの複雑さが増し、社内の縦割体制化が顕著となっていました。同じ情報が、さまざまな部署でバラバラに保管され、しかも不必要と判断された情報は開示すべきではないとの考えも広まっていました。その結果、最新の情報の所在がなかなか把握できず、業務効率が低下していました。

また、顧客から納期の問い合わせがあっても、納期情報の精度の問題もあり適切な回答ができず、ビジネスチャンスを逃すことも頻繁に起きていました。そこで、正確な情報を社内で共有できる体制作りと、効率アップのための業務フローの見直しを目的にERPパッケージの導入を決めました。

導入の経緯(問題の所在と経営課題)

類似情報が、社内の各部署でバラバラに管理されてきたため、作業の重複、正確性の低下などが目立ち、情報共有と業務改革が急務となっていた。

問題点
  • 全社的に共有すべき情報が、個々の部署でバラバラに管理されていた
  • どれが正確な情報なのかが分からず、現場で何が起こっているか迅速に把握出来なかった
  • 海外拠点とも情報共有ができていなかった
  • 一部ベテラン社員への業務依存が生じていた
課題
  • 正確かつ最新の情報が全社的に共有される環境づくり
  • 正確な納期情報による顧客満足度の向上
  • グローバルで効率的なビジネスの展開
  • ベテラン社員依存の体質改善
  • 顧客対応力強化とスピードアップ

業務改革と十分な教育期間


東京化成工業は、SAP R/3の持っている機能をベースに業務プロセスを見直し、業務改善を実現しています。これによって、ERPシステムをスムーズに導入するとともに、カスタマイズやアドオン開発を最少にし、導入コストを大幅に抑えることに成功。さらに社員への徹底したトレーニングを行いました。

導入手法と導入範囲
導入手法
  • 業務改革と経営のスピードアップが急務という判断に基づき、トップの強力なリーダーシップによって推進
  • 自社の業務フローに合わせてERPパッケージをカスタマイズするのを避け、SAP R/3の業務処理に合わせる形で自社の業務フローを改革し導入コストを最小化
  • SAP R/3稼働後のスムーズな新業務処理を目指して、システム構築に要した以上の期間でエンドユーザー教育を実施
導入状況
  • 導入拠点:本社、2営業所、1工場、4事業所
  • 導入期間:18カ月(システム構築:8カ月、運用準備・トレーニング:10カ月)
  • 導入範囲:財務会計、管理会計、販売管理、在庫・購買管理、生産管理、品質管理

情報共有を核に、さまざまな効果が


計画生産を取り入れたことにより納期情報の把握がしやすくなり、従来1日かかっていた問い合わせへの回答リードタイムは数分に迅速化。また、業務フローが改善されたことで効率化が進み、間接部門での人員削減も一部実現しました。部署の壁を越えて情報がオープン化されたことで、社員の業務知識が増えてスキルアップが進みました。顧客や銀行、税務署などへも正確な情報が提供できるようになり、対外信用度の向上にもつながっています。また、海外事業展開をさらに強化しようとしている東京化成工業にとって、世界標準のERPシステム導入と情報共有の実現は、企業発展の可能性を大きく広げたと言えます。

SAP R/3 を選択した理由
  • 業務改革が第一目的であり、自社の業務フローをERPパッケージに合わせて変えることから、システムそのものの堅牢性を重視
  • 日本市場における導入実績と同時に、得意先業界における導入実績を評価。併せて、パートナー、コンサルタントの質も評価
  • 海外展開をさらに推し進めていく上で、世界的なサポート拠点を持っているという安心感

SAP R/3導入による定性効果


定性効果
導入状況
  • 情報の正確性・信頼性の向上
    →従来の場当たり的な生産・出荷体制から計画生産体制に移行
  • 企業の安定性/オープン性を外部にアピール
    →とくに、公的機関の信頼性が向上
  • 事実情報の可視化
    →隠れていた課題(過剰在庫、納入リードタイム)が顕在化
  • 若手社員のスキルアップ
    →横断的な業務フロー見直しにより、社員同士が問題解決という共通テーマのもとで、コミュニケーションを図り、相互の協調性を向上させた

東京化成工業がSAP R/3導入に成功した最大の要因は、経営者の強いリーダーシップのもとで導入作業が進められたことに加え、実稼働までの全社的なトレーニングに十分な時間を費やしたことが挙げられます。東京化成工業の事例は、業務革新実現には、優れたERPシステム導入に加えて、それを使う従業員たちが鍵を握っているということを実証しています。

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